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新生児の最初の呼吸が重要な理由 乳幼児突然死症候群の原因解明につながり得る知見

最終更新日:2021年2月15日

新生児の最初の呼吸が重要な理由 乳幼児突然死症候群の原因解明につながり得る知見

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓 先生

新生児が初めて呼吸を始めるとき体に起こることを調査した研究から、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因解明につながるような知見が得られた。バージニア大学医学部のDouglas Bayliss氏らは、脳幹内のシグナル伝達システムが出生直後に作動し、生後間もない段階での呼吸開始をサポートしていることが判明したとして、12月2日付け「Nature」で報告した。

 本研究より、胎内での脆弱な呼吸状態から、安定して全身に酸素を供給する生理システムへと変化する仕組みの一部が判明するかもしれない。

 著者らはマウスを用いた実験により、呼吸を選択的に制御するニューロンのクラスター内で、ある遺伝子の発現が、出生後すぐにオンに切り替わることを発見した。この遺伝子により、PACAPと呼ばれる神経伝達物質が出生と同時に産生され、肺呼吸の調節が行われると考えられた。

 胎内で呼吸の必要がなかった胎児は、出生直後から肺呼吸への移行期間は極めて不安定な状態に置かれる。著者らは「新生児にとって、出生は衝撃的なイベントである。出生を機に呼吸をはじめとした重要かつ多岐にわたる身体機能を制御しなければならない」として、「出生時にサポートシステムが作動して、肺呼吸に切り替わる間、新生児を守る要因となると考えられる」と述べた。

 マウスでの実験ではPACAPの働きを抑制すると呼吸障害や無呼吸状態が引き起こされ、さらに環境温度の変化に伴い無呼吸状態が悪化することが分かった。この結果から、神経ペプチドシステムの障害により乳児のSIDSなどの呼吸障害へのリスクが高くなると示唆されるが、動物実験の結果は人間には必ずしも当てはめられないことに注意する必要がある。

 1歳未満の乳児が原因不明の突然死となるSIDSは、西欧諸国で乳児の主な死因となっている。SIDSには遺伝的因子および気温などの環境要因が関与すると考えられる。PACAPは出生時に呼吸ネットワークによって大量かつ特異的にスイッチがオンに切り替わるシグナル分子であり、過去の研究でも乳児のSIDSに遺伝的な関連が報告されていた。一方で、SIDSの原因には他にも重要な要因が存在する可能性がある。

 著者らは「呼吸を含めた重要な機能の制御システムのほかにも出生に伴う変化が起きている可能性がある」と指摘し、「新生児の重要な移行期にさまざまな障害を防ぐサポートシステムが作動する基本原理であるのかは今のところ判明しないが、サポートシステムの解明が進んでいくと新生児のシステム障害に対する良い治療法が見つかる可能性がある」と述べた。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。