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知的障害(知的発達症)とは

最終更新日:2021年2月15日

知的障害(知的発達症)とは

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓 先生

 知的障害とは、知能が明らかに低く、様々な社会生活面での適応水準が低いなどの特徴が成人期以前に発現する。生活への支障の程度により、軽度、中等度、重度、最重度に分類される。

診断のポイント

 多くの症例では基礎疾患がなく、ときにフェニルケトン尿症などの先天性代謝異常、出産前後の感染、中毒、脳外傷、ダウン症候群、脆弱X症候群などの染色体異常が原因となり発症することもある。すでにこれらの疾患が判明していた場合は知的障害の可能性を念頭におき、心理検査等を進める。中等度~最重度の場合、乳児期の運動発達の遅れにより疾患が気づかれることがある。軽度の場合は言葉の発達などで気づかれることが多い。運動・言語の発達などを指標として、現在多くの自治体の乳幼児健康診査で知的障害が早期発見されている。

 診断では、心理検査の所見、および生活の様々な場面での適応機能についての情報を詳細に収集する。知能検査は知的障害の診断を進める上で重要である。幼児期で知的障害が疑われる場合は、「田中ビネー知能検査V」が比較的用いやすい。軽度知的障害もしくは比較的高い知的水準の場合、領域ごとの個人内乖離が評価可能なウェクスラー式知能検査(5~16歳はWISC-Ⅳ、16歳以上はWAIS-Ⅳ)が有用である。適応機能は、日本版「VinelandTM-Ⅱ適応行動尺度(VABS-Ⅱ)」などが用いられる。知能指数(IQ)がおおむね70未満だと知的障害と診断することが多いが、IQが70以上でもVABS-Ⅱで適応機能の遅れが顕著であれば、総合的に知的障害と診断する。

治療・支援の考え方

 基礎疾患があればその治療を行うが、多くの場合は成人後も知的水準が低く日常生活の適応に問題が残る。したがって、福祉や教育などの専門家と多職種連携のチーム体制を組み、地域で支援する必要がある。チームにおいて医師は全体を俯瞰的にアセスメントし、長期ゴール、短期ゴール等の指針を示すことが主な役割である。

治療・支援の実際

【基礎疾患の治療】

 新生児マススクリーニングで発見される先天性代謝異常がある場合は、早期から治療介入する(例:フェニルケトン尿症に対する低フェニルアラニン食、先天性甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモンの投与など)ことにより、知的障害の発症や進行が予防できる。

【医学的リハビリテーション】

 個々のアセスメントに基づき、医学的リハビリテーションを行う。作業療法士は運動機能および日常生活動作の支援、言語聴覚士はコミュニケーションの支援、公認心理師は認知発達の支援や本人・保護者の心理的サポートを担う。医師の役割は、それぞれの職種の関与や配分について判断し、各職種に依頼することである。

【療育】

 わが国では障害のある子どもに対する福祉サービスとして、未就学児を対象とした児童発達支援事業所や児童発達支援センター、学齢児を対象とした放課後等デイサービスなどの療育施設が用意されている。幼児期には療育施設と通常の保育園・幼稚園などの集団生活の場を計画的に利用する。たとえば、療育施設への通所は週1回、そのほかの日は保育園・幼稚園へ通園することもある。

【特別支援教育】

 わが国では、知的障害のある児童・生徒に対する特別支援教育体制として、特別支援学校や特別支援学級が用意されている。通常学級での一斉指導の教科の授業は、知的障害のある児童・生徒が十分に理解し、自分で考える力を養うのには不適切との認識から、原則として教科学習は特別支援学級等で行われる。また、特別支援学校および特別支援学級では、成人期の生活を念頭に置いた生活や作業の学習に重点が置かれる。一般の子どもたちと一緒の場で生活する「インクルージョン」の観点から、可能な限り場を共有した活動を保障することも重要であり、個別の学習と集団活動との配分を本人の状態に合わせて考えていく。

 医療は、本人、保護者、学校からの要請に応じ、アセスメントの結果や支援方針を学校に提供するなどの連携が必要である。

【保護者支援】

 知的障害がある子どもへの育児は、保護者が不安や焦りを抱きやすく、診察時には、保護者の悩みを傾聴・共感すると同時に、情報提供と具体的な助言を行う。保護者を集めたプログラム(ペアレント・トレーニング)も推奨される。

【薬物治療】

 本人の知的水準に即した生活環境でなければ、様々な情緒や行動の問題が生じるので、原則として生活環境を調整するが、それのみではうまくいかない場合の最終手段として補助的に薬物治療を行う。自閉スペクトラム症併発の場合はエビリファイ(アリピプラゾール)またはリスパダール(リスペリドン)を服用する。生活リズムを整えにくい場合は、睡眠導入薬を用いることもある。2020年3月、神経発達症の小児に起こる入眠困難に対し、メラトベル(メラトニン)の処方が承認された。実際の臨床での使用経験はまだ少ないが、知的障害の小児を対象とした国内初承認された睡眠導入薬であり、今後処方の機会が増えると予想される。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。