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自閉スペクトラム症などの神経発達症の早期発見に「母子手帳」が有用か

最終更新日:2021年2月15日

自閉スペクトラム症などの神経発達症の早期発見に「母子手帳」が有用か

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓 先生

自閉スペクトラム症と診断された子どもを含む720人の発達マイルストーンを分析

 弘前大学は2020年11月25日、自閉スペクトラム症などの神経発達障害の早期発見における母子健康手帳の活用についての調査結果を発表した。この研究は、弘前大の足立匡基准教授らと、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の廣田智也氏らとの共同研究によるもの。研究成果は、「Autism Research」に掲載された。

 2013年から2018年の間に5歳児発達健診の二次健診を受けた720人の子どもを対象とした。対象者は弘前大学医学部附属病院での対面による検査を受け、自閉スペクトラム症を含む発達障害の有無が精査された。その結果、自閉症スペクトラム症が124人、他の発達障害(注意欠如多動症・発達性協調運動症・知的発達症)が331人、発達障害診断なしが265人と診断された。

 研究グループは、母子手帳の発達マイルストーンに関する項目を、運動、社会的相互交流、コミュニケーション、自立(食事や衣服の着脱など)の4つに分類し、非発達障害群と発達障害群、自閉スペクトラム症とその他の発達障害群をそれぞれ比較した。

12か月時点で発達障害群は自立以外の領域で遅れ

 その結果、発達障害群と非発達障害群との比較では、12か月までに自立を除く全ての領域で、発達障害群に遅れが見られた。24か月までには、発達障害群において4つの領域全てで遅れが見られ、36か月時点でも同様の結果が示された。

 自閉スペクトラム症とその他の発達障害群との比較では、12か月時点では明らかな違いはみられなかったが、24か月までには自閉スペクトラム症群は社会的相互交流とコミュニケーションの領域でその他の発達障害群よりも遅れがみられ、12か月の「バイバイ、コンニチハなどの身振りをしますか」、18か月の「うしろから名前を呼んだとき、振り向きますか」という項目の遅れが顕著であった。36か月時点でも同様の遅れがみられた。また、自立の領域は36か月までにその他の発達障害群よりも遅れがみられた。運動の領域は、自閉スペクトラム症とその他の発達障害群の間に違いはみられなかった。

他国の発達マイルストーン項目を比較する国際研究への発展に期待

 母子手帳は乳児死亡率の低下を目的として、日本では1947年から使用が開始され、その後多くの国でも使用が拡大し、公衆衛生的に大きく貢献してきた。一方、母子手帳には多くの重要な子どもの発達マイルストーンに関連した評価項目が含まれるが、これまで発達障害の早期発見への貢献については研究されていなかった。

 「研究結果は、母子手帳の科学的利用性を証明し得るものであり、今後のさらなる研究に向けての重要な第一歩と考えられる。今後、母子手帳を使用している他国の発達マイルストーン項目と比較し、発展途上国での医療や母子保健制度において、母子手帳が発達障害の早期発見に利用・貢献可能かといった国際研究への発展が期待される」と、研究グループは述べた。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。