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子供の便秘 対処法

最終更新日:2021年2月15日

子供の便秘 対処法

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓 先生

「子供の便秘! 親子のやる気を引き出すアプローチ」

「近道はない」便秘治療に大切な4つのゴール

服薬、浣腸、坐薬を完全に止めてから数カ月~1年は観察を

1 便秘治療のゴール1:便塞栓除去

 ●便塞栓がある場合、除去が第一目標となる。

 ●初診時、もしくは治療開始1週間以内に治療達成する必要がある。

 ●摘便は浣腸以上に恐怖心を与えるため、適切ではない。

 ●便塞栓除去は、排便時のいきみがない、便漏れがない、腹部に硬い便塊を触知しないなどで確認する。

 ●グリセリン浣腸による便塞栓除去を行う場合、排便した便性・便量・大きさの確認で推測可能である。外来のグリセリン浣腸のみでの治療が難しい場合には、自宅でも浣腸を繰り返し実施することになる。

2 便秘治療のゴール2:苦痛なく排便できる

 慢性便秘症では、過去に排便時の痛みでつらい経験がある子が多く、「うんち=苦痛、恐怖」と脳にプログラムされ、これが排便への忌避や我慢の原因となる。しかし、苦痛がない排便ができれば、「うんち=気持ちいい、すっきり」と脳の情報が書き換えられる。

 したがって、規則正しい排便のための第1歩は、苦痛なく排便できる環境づくりをすることである。

 「いきんでもうんちが出ない」ことがなく、トイレットレーニング前の子は、知らない間におむつにうんちが出ている。トイレットトレーニング後の子は、便意を感じたらスルっとうんちが出る。お尻が切れて血が出ることがない。お尻を痛がらない。

 このゴールの達成の大前提として、便塞栓除去の必要がある。

 また、確実に服薬可能な薬剤や投与方法を用いる必要がある。

 「嫌がって飲んでくれません」と養育者が訴えれば、まずは投薬方法や処方内容を検討する。きちんと服薬できていないことを医師に伝えない養育者もいるので、問診で服薬状況を確認する。

 脳に書き込まれるプログラムは、心理学的にはインパクトの強さと回数で決定される。例えば小さい頃に犬に噛まれた人が犬恐怖症になり、成人しても犬を怖がることがある。人によく慣れた小型犬にも恐怖を感じ、犬を見ただけで冷や汗が流れ、心拍数は上がり、逃げ出したい気持ちになる。自分に噛み付いた犬ではなく、たとえ噛まれても大したことはないと頭では理解していても、体が反応する。犬に噛まれたインパクトが大変強烈だと、1回の経験で犬恐怖症になってしまう。

 慢性便秘症の子供達は、過去に大きな硬い便を排泄した際、痛くつらい経験をした子が少なくない。1回の強烈な経験で排便恐怖から便秘になる子もいれば、繰り返しの経験による排便恐怖から便秘になる子もいる。強烈なインパクトで排便の快感を与えることは難しく、排便により「気持ちいい、すっきり」した体験を、できるだけ速やかに、多く繰り返すことである(T)。そのことで脳のプログラムが「うんち=苦痛、恐怖」から、「うんち=気持ちいい、すっきり」に書き換えられる。

3 便秘治療のゴール3:溜め込まない排便習慣の獲得

 ゴールは肯定文で述べる必要がある。ゴール3を肯定文に言い換えると、「直腸がふだんは空っぽ、直腸にうんちが降りてきたら排便してまた空っぽにする」が継続して達成された状態を指す。否定形で「溜め込まない排便習慣」とすると、「おなかが痛く苦しく、うんちが漏れても、溜め込まなければ良し」となってしまう。ゴール3の本来の目的は、直腸のセンサーの回復である。

 「直腸がふだんは空っぽで、直腸にうんちが降りてきたら排便してまた空っぽにする」排便習慣が数年間持続できると、真の目的の「溜め込まない排便習慣の獲得」が達成されるが、道のりはなかなか難しい。問診からは治療が順調に進んでいるようにみえて、エコーでは直腸に糞便を溜め込んだ状態が確認できることはめずらしくない。

Bristol便スケール

 ゴール3の達成の問診上の目安としては、以下の5つがある。

①うんちがパンツに付着していない

②うんちを我慢せず、便意を催したら(おなかが痛くなったら)すぐにトイレに行く

③硬い便(Bristol便スケール1~3)を出すことがない

④大きな、または太いうんちが出ることがない

⑤毎日、まとまった排便がある

 上記5項目がすべて達成されている。

 生理的には朝がもっとも排便しやすい時間だが、ライフスタイルに合わせ、1日1回うんちを出せていればよい。決まった時間に排便があるのが理想的だが、本人が排便しやすい環境を整えることが重要である。

 「直腸がふだんは空っぽ、直腸にうんちが降りてきたら排便してまた空っぽにする」排便習慣は、できるだけ速やかに身につけたほうがよい。トイレットトレーニング前もしくはトレーニング中の子は、トレーニング完了までに「直腸がふだんは空っぽ、直腸にうんちが降りてきたら排便して空っぽにする」排便習慣を身につける。トイレットトレーニング完了後の子は、遅くとも数年以内に「直腸がふだんは空っぽ、直腸にうんちが降りてきたら排便して空っぽにする」排便習慣を身につけるようにする。

4 便秘治療のゴール4:服薬中止

 自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、その他便秘になりやすい基礎疾患のある症例は、一部でゴール2もしくはゴール3の達成でとどめたほうがよい場合を除き、ゴール4の服薬中止を目指す。親御さんは早期の服薬中止を希望することが多いが、ゴール3が未達成だとゴール4の達成は難しい。

 早期の服薬中止を希望しながら、ゴール3を忘れて自己判断で減薬・服薬中断することがある。当然であるが、確実に排便回数は減り、おなかに多くの糞便を溜め込むようになる。ゴール3達成は遠のき、ゴール4も当然、達成できない。

 「『早く薬を止めたい』気持ちはよくわかりますが、急がば回れですよ」と外来では繰り返し伝えている。最終ゴールを山の頂上にたとえるならば着実に一歩ずつ登る必要がある。ヘリコプターで一気に頂上まで登る方法もあるが、ヘリコプターを手配、ヘリポートに行き、ヘリコプターに乗りこむ手順が必要である。「薬=体に悪いもの」という信念・価値観がある親御さんは、テレポーテーションのような手段で頂上に登りたがるが、そんな方法は存在しない。

 「薬を早く止めたい気持ちはわかりますが、中途半端な状態で減らしたり止めると、うんちを溜め込む習慣から抜け出せず、体に悪いですよ」と繰り返し伝え、養育者が「近道はない」ことを理解してもらう。

 「服薬の中止」とは、服薬や浣腸、坐薬を完全に止めた状態で数カ月~1年間観察し、ゴール3の継続が確認できた状態である。

 服薬の中止は突然中止せず、ゴール3の維持を確認しながら投薬量を漸減する。

 服薬中止のタイミングの1つとして、小学校入学後、学校生活に馴れた頃を勧める。2~4歳から治療を開始した場合、小学校1年生の9~10月頃の服薬中止を目標とする。この場合は、小学校入学前のゴール3の達成を前提とする。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。