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腎不全の症状と原因、治療法を解説|初期症状~末期腎不全まで

最終更新日:2021年7月31日

腎不全の症状と原因、治療法を解説|初期症状~末期腎不全まで

こちらの記事の監修医師
クリスタル医科歯科クリニック
中島 ゆみ 先生

(画像=eddows/stock.adobe.com)

腎不全は生活習慣病と密接な関係があり、進行すると機能の回復が見込めなくなります。しかし初期段階で治療を開始すれば多くの場合は回復可能なので、検診などによる早期発見が重要です。今回は段階ごとの腎不全の症状や治療法、原因、予防法などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

腎不全とは

腎不全とは、正常時に比べて腎臓機能が30%以下になった状態のことをいいます。腎臓は以下のようにさまざまな役割を果たしているため、機能が低下すると全身に影響を及ぼします。

【腎臓のおもな働き】

  • 血液をろ過して尿を作り、体内の水分量を一定に保つ
  • 血圧を調整するホルモン「レニン」を分泌する
  • 老廃物や余分な水分や酸、電解質を体外に排泄する
  • 骨を維持するために必要なビタミンDを活性化させる

なお、腎不全は進行パターンによって急性腎不全と慢性腎不全の2種類に分類されます。

急性腎不全

急性腎不全は急激に腎臓の機能が低下した状態です。急性腎不全の場合は、適切な治療によって原因を除去できれば機能が回復する可能性があります。

慢性腎不全

慢性腎不全は数か月~数十年という長い年月をかけて腎臓の働きが徐々に悪化する状態です。進行すると腎臓の機能が徐々に失われ、回復する可能性はほとんどありません。 慢性腎不全は糖尿病やメタボリックシンドロームとの関連性が高く、国内では約1,330万人の患者がいると考えられています。

腎不全の症状と治療法

腎不全は進行によって5つのステージに分類されていますが、早期に治療を開始すれば多くの場合は末期腎不全に至らずに済みます。ステージごとの症状や治療法は以下のとおりです。

ステージ1~2(初期症状)

腎不全のステージ1と2では自覚できる初期症状がほとんど現れません。そのため、健康診断などで発覚するケースが多いのが特徴です。

  • ステージ1:腎臓に障害はあるが、働きは正常
  • ステージ2:軽度の機能低下

ステージ1~2の状態では回復の余地があるため、この段階でしっかりと治療を始めることが重要です。

ステージ1~2の治療法

腎不全のステージ1~2の治療は糖尿病や脂質代謝異常、高血圧、肥満、喫煙などの危険因子を減らす健康管理が基本です。

  • 食事療法
  • 普通体型(BMI24以下):1日あたりの摂取エネルギーを標準体重×30~35kcalに抑える
  • 肥満(BMI25以上)の場合:1日あたりの摂取エネルギーを標準体重×25kcal以下に抑える
    ※標準体重:22×身長(m)×身長(m)
    また、場合によって塩分やたんぱく質の摂取制限も必要になります。
  • 薬物療法
    食事療法だけで改善しない場合は血圧管理や脂質管理、糖尿病管理のための薬などが処方されます。

ステージ3(専門医による治療が必要)

腎不全のステージ3は腎臓の機能が正常時に比べて50%程度低下している状態で、腎臓専門医による治療が必要です。 自覚症状としては以下のような例が挙げられます。

  • むくみ
  • 尿の異常(夜間に何度もトイレに行く)
  • 貧血
  • 疲れやすい
  • 血圧上昇

5段階あるなかでもステージ3の腎不全患者が最も多いといわれていますが、生活習慣を改善して適切な治療を行えば進行を防げる場合があります。

ステージ3の治療法

ステージ3では腎機能悪化の原因疾患を治療するとともに、血圧や血糖を管理して腎機能の悪化を防ぎます。

  • 原因疾患の治療
  • 生活習慣の改善(食事療法を含む)
  • 薬物治療

ステージ3ではカリウムの排出がスムーズに行われにくくなります。そのため、エネルギーや塩分、たんぱく質のほかにカリウムの制限も行い高カリウム血症のリスクを抑える必要があります。

ステージ4(腎臓機能が約30%以下)

ステージ4は腎臓の機能が約30%以下まで低下している状態で、機能の回復が不可能な段階です。ステージ4では以下のような自覚症状が現れます。

  • むくみ
  • 尿の減少
  • 高血圧
  • 貧血

ステージ4の治療法

ステージ4の治療は、できるだけ透析治療の開始を遅らせることが目標となります。合併症(尿毒症・心臓病・脳卒中など)に注意しながら以下のような治療を行います。

  • より厳格な食事療法と生活習慣の改善
  • 血糖・血圧の管理
  • 薬物治療(貧血や電解質異常の治療薬など

ステージ5(末期腎不全) 

ステージ5の末期腎不全は、腎臓がほとんど機能しない状態(正常な腎臓の15%未満)です。末期腎不全になると体内の老廃物や余分な水分を排泄できなくなり、老廃物が体中を巡って尿毒症と呼ばれる症状が現れます。尿毒症の症状としては以下のような例が挙げられます。

  • 食欲低下
  • 吐き気
  • 頭痛
  • だるさ
  • むくみ
  • 動悸・息切れ・息苦しさ
  • 尿量の減少
  • 貧血
  • 高血圧
  • 脈の乱れ・血管の石灰化

ステージ5の治療法

ステージ5の末期腎不全になると、腎代替療法として透析療法か腎移植のいずれかが必要です。現時点では日本で腎移植が行われることは少なく、ほとんどの方が透析療法を受けています。透析療法には人工腎臓を利用する「血液透析」と患者自身の腹膜を利用する「腹膜透析」があり、透析患者の9割が血液透析を受けています。

ただ、いずれの透析療法にせよ補える腎機能は1割程度なので、食事制限や薬物治療の継続も継続する必要があります。

  • 血液透析
    血液透析ではまず動脈と静脈をつなげる手術を行い、手首にシャントという血液の出入口を作ります。
    そこから血液を抜いて取り出し、ダイアライザーという機械でろ過して血液中の老廃物や余分な水分を除去し、必要な物質を補充します。 その後きれいになった血液を再び体内に戻すのが一連の流れで、治療時間は1回4~5時間、頻度は週に2~3回が目安です。
    腹膜透析に比べて通院頻度は多くなりますが、数十年間続けられる治療です。
  • 腹膜透析
    腹膜透析は腹膜という袋の中にカテーテルという管を挿入し、透析液を出し入れすることで老廃物を取り除く治療法です。
    患者自身や介護者が老廃物の溜まった透析液を空のバッグに排出し、もうひとつのバッグに入っている新しい透析液を体内に入れます。
    腹膜透析は1回30~45分、1日4回必要ですが、通院は月1~2回程度の定期検査のみで済みます。ただ、自分自身の腹膜を使うため血液透析に比べて続けられる期間が制限されます。
  • 腎移植
    腎移植は患者自身の腎臓は取り出さないまま、亡くなった方や血縁者などのドナーから腎臓の1つ提供してもらい、移植する治療法です。肝臓はふたつありますが、ドナーがひとつ提供しても健康を維持する働きを果たします。

腎不全の原因と予防法

ここでは、腎不全の原因と予防法について解説します。

腎不全の原因

急性腎不全、慢性腎不全の原因は以下のとおりです。

▼急性腎不全の原因

  • 下痢
  • 出血
  • やけどなどによる急激な脱水
  • 血圧低下
  • 重症の感染症
  • 尿が出なくなる病気(腎結石など)

▼慢性腎不全の原因

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 腎臓の病気(糸球体腎炎や多発性嚢胞腎など)
  • 加齢による腎臓の変化
  • 尿路結石や前立腺肥大などによる排尿困難
  • 薬物性の腎障害
  • 慢性の腎盂腎炎や逆流性腎炎(小児の場合)

慢性腎不全の原因としては糖尿病が最も多く、高血圧や高コレステロール血症によって悪化することもあります。

腎不全の予防法

腎不全を予防するには、以下のような生活習慣の改善が必要です。

  • 肥満や運動不足の解消
    肥満やメタボリックシンドロームの状態になると腎不全が起こりやすくなります。カロリーの過剰摂取に注意し、軽く汗ばむ程度の運動を週2回30分程度行うと効果的です。
  • 減塩
    塩分を摂りすぎると血圧が上がり、腎臓に悪影響を及ぼします。塩分摂取量は1日6gを目安にし、塩分の多い食事を控えることが大切です。
  • 節酒
    アルコールの過剰摂取は腎臓に負担を与えるので、1日の適量を守ることが重要です。日本酒なら1日約2合以下、ビールなら500ml缶2缶、ウイスキーなら約220mlが目安です。
  • 禁煙
    禁煙も腎不全の予防につながります。腎臓は心臓、肺と密接に関係しているため、喫煙によって心臓や肺に悪影響を及ぼすと腎機能も低下してしまいます。

腎機能の悪化を指摘されたら早めに医師に相談を

末期腎不全になると腎臓機能の回復が不可能になり、手術して透析療法や腎移植を受けなくてはなりません。しかし、初期段階のうちに適切な治療を開始すれば回復可能なので、健康診断で腎機能の悪化を指摘された場合は早めに医師に相談してください。

また、腎不全にならないために生活習慣を改善し、肥満やメタボリックシンドロームを解消することも大切です。

こちらの記事の監修医師

クリスタル医科歯科クリニック

中島 ゆみ 先生

所属:クリスタル医科歯科クリニック
診療科目:内科・美容皮膚科・アレルギー科など
・ニューヨーク州バッファロー市生まれ
・金沢医科大学 医学部 卒
・金沢医科大学病院にて小児科・内科研修
・大阪・神戸・東京・福岡の病院で内科と皮膚科を担当
・2018年8月クリスタル医科歯科クリニック内に内科、美容皮膚科、アレルギー科を開設