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神経発達症の子への「早寝早起き、夜バタンキュー」、効果に驚き

最終更新日:2021年2月15日

神経発達症の子への「早寝早起き、夜バタンキュー」、効果に驚き

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓 先生

大学で小児の救急医療に従事していた頃は睡眠医療への関心や知識がありませんでした。2000年に研修で瀬川記念小児神経学クリニックを訪れたとき、故・瀬川昌也先生が神経発達症や神経疾患の子どもや家族に「早寝早起き、朝ごはん、朝うんち、日中大活躍、夜はバタンキュー」といつも話していました。それを聞いて、最初はどのような意味だろうかと思っていましたが、その後、がらりと子どもたちの様子が変わったのには驚かされました。発作の回数やチックが減ってきたと言う患者さんを診ながら、睡眠の効果はすごいと感じました。

「夜行性の人間」がこれからも登場しない根拠

 人間は「昼行性の動物」であることを強調したいです。夜遅くまで明かりがつき、インターネットで24時間繋がる時代であってもこの事実は変わりません。今後も「夜行性の人間」は、簡単には現れないと思います。

 その理由は、人間の体内時計は地球が誕生して、太陽の回りを約24時間で自転する周期ができたときから存在するシステムだからです。「ヒトには目が2つある」、「ヒトの血液は赤い」のと同じくらい強固な事実です。夜行性の生き物や、日中に咲く花のサーカディアンリズムについても、人間の体内時計と同じことが言えますし、そのリズムが10年20年単位で変わることはあり得ません。

 現代の生活環境の変化によりサーカディアンリズムや睡眠サイクルが乱れている場合には正しい事実を伝える必要があります。

メラトニン小児製剤の処方上の注意

 治療が必要な睡眠障害のある外来患者さんに対しては、基本的に非薬物療法を行います。最初に本人を含めた家族の乳幼児期からの生活リズムの評価と問題への介入、夜間の授乳の評価と介入、鉄の補充療法を行います。神経発達症の子どもは、健常児と比べ鉄や血清フェリチンが低値であることが多いです。鉄はモノアミン系神経系の合成や代謝に関わるので、鉄補充により睡眠改善がみられます。

 今年、小児の神経発達症に伴う睡眠障害改善薬として、メラトニンが承認されました。承認申請前の第2相試験、第3相試験に協力し、治療薬の安全性や効果の検証をしました。臨床試験への参加を検討した当時、治療薬が承認されると薬の不適切使用が増える懸念がありました。しかし、神経発達症の子どもはメラトニン分泌のリズムが障害されるため、睡眠サイクルや生活習慣を整えるだけでは睡眠障害が改善しにくいです。メラトニン承認により保険診療により処方が可能になったのは非常に良いことと評価しています。

 メラトニンは患者本人の「早寝早起きにきちんと取り組む」意思と実践が確認できた場合のみ処方しています。メラトニンは、飲みたいときに飲む薬ではなく、寝たい時に飲むのは絶対ダメですと説明します。そして早寝早起きのリズムを整えるため、夜8時または夜9時に飲むように伝えています。

 メラトニンの休薬、中止については、反跳性の不眠などの副作用もほぼみられないので、睡眠サイクルが整えば、医師に相談のうえで中止して構わないと考えています。早寝早起きが実行でき、昼間の覚醒状態が良くなれば、夜眠る際に脳内でメラトニンが十分合成されています。メラトニン製剤の位置付けは「良い睡眠サイクルを作るきっかけとなるお手伝い」として捉えています。

 神経発達症の睡眠障害の治療は、睡眠衛生の実践が第一と考えています。数年前から、「子どもの早起きをすすめる会」の共同代表である鈴木みゆき先生の監修で兵庫県豊岡市が「めらとにんじゃ」という動画紙芝居を公開しました。ストーリーは「めらとにんじゃ」が早寝早起きの修行に家族で取り組み、「朝食」や「夜寝る前の儀式」として部屋を暗くするなどの行動によりメラトニンの脳内での合成が増加し、良い眠りをもたらし早起きにつながることなどが紹介されています。子どもの「早寝・早起き」が健康な発達や成長に大切ですので、今後も情報提供やさまざまな取り組みを続けたいです。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。