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がん治療による「外見の悩み」を軽減するアピアランスケアとは?

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最終更新日:2022年2月17日

がん治療による「外見の悩み」を軽減するアピアランスケアとは?

こちらの記事の監修医師
アピアランスビューティクリニック院長
堀口 和美 先生

(写真=PIXTA)

がん治療に伴う脱毛、爪の変色や変形、お肌の色素沈着、手術のきずあと…。多くのがん患者さんが悩んでいるこうした外見の変化に対して、医療者によるケアが提供されていることをご存じでしょうか? 「がんでもキレイをあきらめないで」。がん治療の専門医であり、最新の美容医療を修めたアピアランスビューティクリニック®院長・堀口和美医師が、がん治療にも美容医療にも高い専門性をもって届ける「アピアランス(外見)ケア」について解説します。

2人に1人が罹患…実は身近にある、がん

最新のがん統計予測データによると、2021年のがん罹患数は1,009,800人です(国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービスより)。

つまり、1年間に100万人を超える日本人ががんにかかり、新たに何らかのがん治療を開始しているのです。

いまや、国民の2人に1人が、人生で一度はかかる、がん。

がんとがん治療に伴って患者さんの心と身体には一体何が起こっているのでしょうか。

がん治療の効果、その光と影

吐き気など「身体的な辛さ」は軽減されたが…

がんに関する診断技術の進化、新規薬剤の開発や大規模臨床試験のエビデンスの蓄積に伴う治療内容の進歩によって、がんの治療成績は著しく向上しています。

生存率の上昇が示す通り、早期発見・早期治療を行うことができれば、もはやがんは、不治の病ではなくなりつつあるのです。

がん治療の現場もずいぶん様変わりしました。抗がん剤投与も入院ではなく外来通院で行うことが増えてきており、がん患者さんとご家族の負担も減っています。また、抗がん剤の泣き所であった強い副作用も、吐き気などを抑える支持療法の発達や、投与方法の工夫などによってかなり軽減され、治療によるがん患者さんの身体的な辛さはやわらいできました。

しかし、実は、がん患者さんの苦痛の上位にはいつも、髪の脱毛・皮膚の色素沈着・肌荒れ・爪の変化・手術のきずあとといったがん治療による外見の変化があったにもかかわらず、長い間、命と引き換えにやむを得ないものと考えられていたのです(日本がんサポーティブケア学会編がん治療におけるアピアランスケアガイドライン2021年版)。

がん患者さんの約80%が悩む「外見の変化」

治療とわかっているけれど、こんなことになるなんて…

たとえば乳がん患者さんですと、乳房切除などの手術が必要な場合がほとんどです。

がん治療のためとはいえ、この手術は患者さんの外見に大きな変化をもたらし、患者さんのお胸にも心にも深いきずを残します。

細胞障害性(殺細胞性)抗がん剤による治療を開始すると、数週間のうちに頭髪は脱毛し、次第に眉毛や睫毛も抜け落ちていきます。これらの脱毛は、がん治療が終わってもなかなか元通りにならない場合もあり、長期間にわたってウィッグを装用するわずらわしさに悩む患者さんもいらっしゃいます。

また、抗がん剤は皮膚のメラノサイトにも影響を及ぼすので、肌は色素沈着を来し、シミ・そばかすなどが急に増えて一気に老けた印象になってしまいます。特に女性の患者さんから、外出どころか、鏡に向かってお化粧するのも辛いとご相談をうけることもしばしばです。抗がん剤によっては、副作用として、顔に、ひどいニキビが高い確率で出てしまうものもあり、患者さんのストレスを増やしてしまいます。

頭髪や肌の不調に加えて、両手両足の爪が黒く変色し、脆く、割れやすくなったり、分厚く変形したりすることも多く、外見に加えて機能の面でも日常生活に支障を来します。このように、治療による何らかの外見の変化を苦痛に感じているがん患者さんの割合は、全体の実に80%に及ぶのです(Nozawa K, et al. Psycooncology.2013;22(9):2140-7)。

辛い外見の変化を軽減する「アピアランスケア」

「アピアランスケア」という言葉を、ご存じでしょうか。

「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」と定義づけられています。

私たちアピアランスビューティクリニックでは、がん治療による外見の変化に悩み、アピアランスケアを望むがん患者さんに、専門性を活かした医学的介入を行っております。

最も大切にしているのが、カウンセリングです。患者さんのがんのご病状・これまでの治療の経緯をしっかり聞き取りさせていただいたうえで、外見のお悩みについてお聞きします。それから、おすすめの治療についてご提案していきます。

アピアランスケアに関しては、保険収載されていないので、基本的には自費診療がメインとなりますが、保険診療の範囲でできる治療であれば、保険診療で行っております。

髪の毛の再発毛促進治療であれば、内服薬・外用薬・注入療法・医療アートメイクの技術を応用したヘアラインのパラメディカルピグメンテーション(医療補助色素形成)といった、複数の治療内容から、患者さんのがん治療の状況に応じて、カウンセリングで治療方針を決めていきます。

眉毛や睫毛の脱毛については、外用薬・医療アートメイクのアイブロウ・アイラインの施術を行っておりますが、抗がん剤治療中の患者さんの場合は、私の専門性を活かして、薬剤の種類や白血球の推移を把握したうえで、スケジュール決定しておりますので、安心して受けていただいています。

その他、お肌のシミ・くすみなどには、各種内服薬・外用薬・点滴療法に加え、レーザー治療、IPL(Intense Pulsed Light)治療やクライオエレクトロポレーションという導入治療を行っております。

手術によるきずあとに対しては、脂肪注入や、修正手術を行っております。特に乳がん術後の患者さんに対しては、医療アートメイクの技術を応用して、再建乳房の乳輪・乳頭のパラメディカルピグメンテーション(医療補助色素形成)を行っておりますが、「他人に見せるところではないけれど、ずっと悩んでいた、本当に受けてよかった」と患者さんから喜んでいただいています。

また、当然ながら、がん治療を行っているがん拠点病院などの医療機関との医療連携を行っておりまして、広い意味でのチーム医療の実践であると自負しております。

ここまで、私たちのアピアランスケアのごく一部をご紹介いたしましたが、このように、とても個別性が高く多様性に富んだ治療です。AYA(Adolescent and Young Adult)世代はじめどの世代でも、外見の変化に悩むがん患者さんにとってアピアランスケアは、がんと共に生きる上で心理・社会面において必要不可欠だと考えております。

がんと共に生きる患者さんおひとりおひとりの、外見のお悩みに寄り添って、笑顔になっていただくために、日々頑張っております。

がんでもキレイをあきらめないで。

がんと共に生きるあなたに、あなたらしい美しさを。

こちらの記事の監修医師

アピアランスビューティクリニック院長

堀口 和美 先生

日本外科学会 外科専門医
日本乳癌学会 乳腺専門医
日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
麻酔科標榜医
医学博士
Biotouch Japan 顧問医師
Allergan ボトックスビスタ 各種ヒアルロン酸 研修終了医師
内閣府認定公益社団法人国際化粧療法協会代議員

1971年 熊本生まれ。1998年 熊本大学医学部卒業。

熊本大学医学部附属病院 第二外科(当時)、国保水俣市立総合医療センター 外科、社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院 外科などを経て、2002年よりがん・感染症センター都立駒込病院乳腺外科に勤務し、16年間にわたって乳がん診療に従事。駒込病院でのアピアランス(外見)ケア活動をきっかけに、がんサバイバーの方々へより充実したアピアランスケアを届けるべく、2018年、大手美容クリニックに入職。分院長を務めたのちに、2020年、がん治療と美容医療いずれにも高い専門性をもつ、アピアランスケアに特化したアピアランスビューティクリニック開院。