耳瘻孔

最終更新日:2021年10月12日

じろうこう耳瘻孔

耳瘻孔

まとめ

耳瘻孔は正式には「先天性耳瘻孔」といわれ、先天的に耳の付け根付近に穴が開いている状態である。一定の確率で見られる耳の奇形の一つで、何の症状もなく一生を過ごす人もいる。穴の下には管あるいは袋状の細い空間が耳介軟骨付近まで続く。この穴に汗や垢などの分泌物が溜まり悪臭がする、細菌が侵入して感染し、赤く腫れ、膿が出る、痛み、かゆみがみられることがある。慢性化すると穴の周囲に膿瘍が発生し、顔面まで感染が広がることもある。すぐに治らなければ耳鼻咽喉科か形成外科を受診する。

この病気の原因

耳瘻孔は胎児のとき、耳になる複数のパーツがぴったりと合わず、隙間ができて穴ができるとされる。生物の進化の過程で、通常はないはずの「エラ」の名残とする説もあるが、解明されていない。穴の下の細い空間(管)は、真っすぐ伸びたもの、枝分かれしたものなどさまざまで、長さも個人差がある。この管に細菌が感染すると炎症がみられる。耳瘻孔は遺伝的素因が大きく、両親に耳瘻孔があると子どもにもある可能性が高い。鰓耳腎症候群という遺伝性難病の患者にも耳瘻孔がみられることが多い。鰓耳腎症候群は、8番染色体にあるEYA1の遺伝子異常で起こるまれな疾患である。

主な症状

耳瘻孔の穴に汗や垢がたまると悪臭が発生し、白っぽい分泌物がみられる。細菌が侵入して繁殖すると穴の周りが赤く腫れ、膿が出て痛みやかゆみを感じる。感染を繰り返し慢性化すると、穴の周りがただれて硬化し、周囲に膿瘍がみられ、顔面に感染が拡大することもある。無症状で経過する人もいる。鰓耳腎症候群の場合、耳瘻孔のほかに重症の難聴があり、腎臓疾患も併発することがある。

検査/診断の方法

視診や触診にて穴とその周囲の炎症の状態、分泌液、膿を確認し、問診にて症状、過去の感染の有無、両親にも耳瘻孔があるかを確認する。親から子の遺伝であっても、無症状であれば大きく心配する必要はない。耳瘻孔の摘出手術を行う場合、局所麻酔なら血液の凝固検査など、一般的な術前の検査を行う。全身麻酔手術の場合、心電図、エックス線撮影、呼吸機能の検査も行う。鰓耳腎症候群を疑う場合、専門施設で精密検査を行う。

主な治療方法

自然に穴が消えることはないが、無症状の場合、治療は必要ない。穴の周囲に炎症、悪臭、膿、痛みの症状があれば、抗菌薬による治療や膿を出す小切開を行う。一度感染すると、再感染を繰り返すことが多く、周囲の組織ごと耳瘻孔を摘出する手術にて治療する。手術は成人の場合、一般的に局所麻酔の日帰り手術が可能である。耳の後ろ側まで切開が必要な症例は、入院による手術が必要である。小児では手術中の鎮痛・鎮静が必要なことから、入院し全身麻酔手術を行う。慢性化すると耳瘻孔の近くに膿瘍がみられることがあるが、通常は耳瘻孔の切除にて膿瘍も縮小することが多く、無理に膿瘍切除を行わなくてもよい。

治療後に注意すべき点/予防対策

初診に適した診療科目

形成外科 耳鼻咽喉科

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