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最終更新日:2021年10月9日

たかんしょう多汗症

多汗症

まとめ

過剰に汗をかく疾患を多汗症という。全身の発汗量が増える全身性多汗症と、手の平、足の裏、脇、顏など、体の一部の発汗量が増える局所性多汗症に分けられる。基礎疾患が原因で過剰に発汗する場合と、基礎疾患がなく過剰に発汗する原発性多汗症に分けられる。厚生労働省の研究班の2011年度調査では、手の平や足の裏に過剰に発汗する原発性掌蹠多汗症の有病率は人口の5.3%、脇に過剰に発汗する原発性腋窩多汗症は5.7%である。発症者は高い疾患だが、医療機関で治療中の人は全体の約1割と推定される。

この病気の原因

基礎疾患があり発症する多汗症(二次性多汗症)は、感染症、内分泌代謝異常、神経疾患などの全身性疾患、外傷や腫瘍などの局所的な神経障害の症状のひとつとして現れる。原発性多汗症の発症原因は、はっきりと解明されず、脳内の何らかの異常により、発汗を促す交感神経が通常より興奮しやすい状態が原因と指摘されている。これまでの海外および国内の調査結果では、家族内に同じ症状をもつ人が複数名存在する家族内発症例の報告が多数あり、遺伝性疾患の可能性が指摘されている。現在、原因遺伝子の研究が行われている。家族内発症率は調査により異なり、遺伝が発症にどの程度影響するかの詳細は不明である。脇の臭いは、汗腺のアポクリン腺から分泌された汗の脂肪酸が細菌により分解され生じる。脇の臭いの強い人はアポクリン腺が大きく、その分泌量が多い傾向がある。

主な症状

日常生活に支障を来すほどの過剰に発汗する。重症例ではしたたり落ちるほどの発汗する。大量の発汗は、足や脇の不快臭、汗による指先の冷え、手足の水疱の出現、表皮がめくれるなどの皮膚症状を引き起こす。また、発汗によりさまざまな精神的苦痛を受ける。仕事、学習、対人関係に悪影響を及ぼし、QOLが著しく低下する。精神的な苦痛が大きい場合、うつ病などの精神疾患を合併することもある。多汗症は幼児期から思春期にかけ発症者が多く、10~30歳代の発症率が高い。

検査/診断の方法

問診にて自覚症状を確認し、発汗の程度や発汗量を測定して、基礎疾患の合併症による発汗が否定された場合に原発性多汗症と診断する。自覚症状は、①まったく気づかず、気にならない、②おおむね我慢できるが、たまに気になる、③どうにか耐えられるが、時々気になる、④耐えがたく、常に気になる、の4段階に分類され、③あるいは④に該当すると多汗症に当てはまる。発汗測定法は、汗の成分に反応するヨードとでんぷんを発汗部位に塗り、変化をみるヨード・でんぷん法、手の平にカプセルを置き空気を送り、湿度変化で発汗量を測る換気カプセル型発汗計などがある。発汗を測定して重症度を判定し、それに応じた治療を行う。

主な治療方法

基礎疾患が原因で多汗症がみられる場合、基礎疾患の治療を優先する。原発性多汗症は治療ガイドラインが定められ、手の平や足の裏の原発性多汗症には外用薬の塩化アルミニウムの塗布、あるいは水道水を入れた容器に手足をつけ、微弱な電流を流す治療のイオントフォレーシスを行う。治療効果が得られない場合は、ボツリヌス毒素局所注射療法を行う。重度の手の平の多汗症で患者から強い希望があれば、内視鏡で胸部の交感神経を遮断する手術療法を行うことがある。脇の原発性多汗症には塩化アルミニウム外用薬を塗布し、治療効果が得られない重症例の場合はボツリヌス毒素注射療法を行う。この際のボツリヌス毒素注射療法は保険適用される。このほか、多汗症全般に対し、皮膚に炎症を起こした場合は抗炎症薬、精神症状を伴う場合は抗精神薬にて治療する。神経ブロック、内服薬などを併用することもある。

治療後に注意すべき点/予防対策

治療に適した診療科目

皮膚科

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