腱鞘炎(ドゥ・ケルバン病、ばね指)

最終更新日:2021年10月1日

けんしょうえん(どぅ・けるばんびょう、ばねゆび)腱鞘炎(ドゥ・ケルバン病、ばね指)

腱鞘炎

まとめ

骨と筋肉をつなぐ組織の「腱」が通るトンネルの「腱鞘」が、何らかの原因で炎症を起こして厚く狭くなり、腱がスムーズに腱鞘を通過できない状態が腱鞘炎である。狭窄性腱鞘炎が腱鞘炎の代表で、親指を伸ばす伸筋腱が狭窄されて起こる「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」や、指を曲げる屈筋腱に炎症が起こる「ばね指」などが多い。妊娠・出産期や更年期女性で、ホルモンの変化をきっかけに発症しやすい。スポーツや仕事で手や指をよく使う人にも発症しやすい。近年はスマートフォンの長時間利用による発症が増えている。

この病気の原因

ドゥ・ケルバン腱鞘炎は、親指を大きく広げたとき、手首に出る2本の腱(短母指屈筋腱と長母指外転筋腱)と、手首の背にある腱鞘の間に摩擦が生じ、炎症が起こり発症する。親指の使い過ぎにより負荷がかかり、腱鞘が分厚くなり、腱の表面が傷つくことが炎症の原因となる。負荷のかかった状態が継続するとさらに刺激され、悪循環に陥る。手首の一部には2つの腱を分けて通すための隔壁があるが、腱・隔壁の数には個人差があることから、狭窄の起こりやすさにも個人差がある。そのほか環境要因としてテニスや楽器の演奏、家事による手の酷使なども発症の一因となる。妊娠・出産期や更年期のホルモンの変化も発症に関係するため、20歳から30歳、50歳前後の女性に発症者が多い。指が伸びにくく、無理に伸ばすとばねのような現象が起こるばね指も、慢性的に指を酷使してきた中高年に多くみられる。

主な症状

ドゥ・ケルバン腱鞘炎は、手首の親指側が腫れて痛みを感じ、物をつかんだり握るとより痛みが増す。ガングリオンなどの腫瘍をきっかけとして症状が現れることがある。炎症が起こると腱がスムーズに動かせず、炎症を起こした腱に近い関節が動かしにくく、腫れたり、動かすと痛みを感じる。腱鞘炎が進行すると曲げ伸ばしが困難になるばね指となり、指を伸ばそうとすると引っかかったのち、急に音を立てて伸びる「ばね現象」が起こる。親指に最も起こりやすく、3指、4指に出ることもある。悪化すると指が動かせなくなる。

検査/診断の方法

問診、視診を行い診断する。日常生活で手指を使う状況や病歴を聴取し、痛みの様子や関節の動作などを確認して総合的に判断する。ドゥ・ケルバン腱鞘炎の場合、圧痛を感じる部位に腫れがみられ、親指を小指の方向に向かって曲げた際、痛みが強くなるかを確認するする「アイヒホッフ(Eichhoff)テスト」で診断する。自己判断する場合は、手首を小指側に90度に曲げた状態で親指を下に引っ張り確認する。ばね指の診断は、指の付け根に腫れや圧迫痛、ばね現象があるかを確認する。リウマチ・糖尿病、透析治療中の患者に多いため、注意が必要である。

主な治療方法

症状緩和のため、発症の原因となる作業や運動、スマートフォンの使用などを控え、患部を安静にする。手首や指を固定する器具を装着することもある。湿布、投薬、腱鞘内ステロイド注射などで保存的療法を行う。注射による治療は通常、複数回行う。良性疾患であれば、ほとんどの症例で軽快する。治療効果が見られない場合や再発した場合は、炎症を起こした腱を切開する腱鞘切開術を行う。局所麻酔を行った上で腱鞘を離し、隔壁の切除などを行い腱を開放する手術で、入院の必要はない。出産前後の女性は授乳後に改善することが多いため、経過観察の上、早めの離乳を検討する。術後は腱が腱鞘をスムーズに通るようにするためのリハビリを行い、回復に努める。

治療後に注意すべき点/予防対策

発症予防のため、手指、特に親指の使い過ぎに注意する。パソコンやスマートフォンの操作、家事による手指の酷使、手首を使うスポーツ、楽器の演奏には特に注意する。手指を使った後のストレッチが推奨される。

初診に適した診療科目

整形外科

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