オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

最終更新日:2021年10月12日

こうじょうせんきのうていかしょう甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症

まとめ

甲状腺機能低下症は、体全体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンが何らかの原因で不足した状態である。甲状腺ホルモンは新陳代謝の促進作用のほか、脳や胃腸の活性化、体温調節作用があり、体の活動に必要なエネルギーの産生、代謝に関与する。甲状腺ホルモンが不足すると活動性が鈍く、低体温となり、全身倦怠感や眠気、むくみなどが生じる。甲状腺機能低下症は女性に多く、40歳以降の女性の約1%に発症するといわれる。成人以降に発症することが多いが、先天性の場合はクレチン症と呼ばれる。

この病気の原因

甲状腺機能の低下で起こる原発性甲状腺機能低下症と、甲状腺をコントロールする甲状腺刺激ホルモンの分泌減少により起こる中枢性甲状腺機能低下症がある。原発性甲状腺機能低下症が原因となる代表的疾患が橋本病(慢性甲状腺炎)で、その他ヨウ素の摂取過剰や、バセドウ病のアイソトープ治療、甲状腺手術後に発症することがある。また、抗がん剤や不整脈の治療薬、インターフェロンなどの薬剤、悪性リンパ腫、アミロイドーシスなどの甲状腺浸潤性病変により発症することがある。

主な症状

甲状腺ホルモンが不足して代謝が低下し、全身機能に低下がみられる。疲労感、倦怠感、汗が出ない、食欲低下、寒気のほか、無気力、眠気、記憶力低下、抑うつ、動作緩慢などの症状が現れる。その他、皮膚の乾燥、抜け毛、眉毛が抜けることがある。甲状腺全体が腫れ、硬く表面がゴツゴツした状態になることがある。顔や全身がむくみやすく、徐脈となる。重症例では心臓周囲にに水が溜まり、心機能にも影響する。精神症状が現れることがあり、うつや認知症に間違えられることがある。

検査/診断の方法

血液検査にて甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの値を調べる。甲状腺ホルモン値が正常より低値の場合、甲状腺機能低下症と診断される。甲状腺ホルモン値は正常で甲状腺刺激ホルモンが高値の場合、潜在性甲状腺機能低下症の可能性がある。甲状腺ホルモンが低値の場合、血中コレステロール値や中性脂肪の値がが高くなり、放置すると動脈硬化が進行して心疾患の発症リスクが高まる。超音波検査にて甲状腺の大きさや腫瘍性病変の合併の有無を確認することも必要である。中枢性甲状腺機能低下症では下垂体、視床下部のMRI撮影を行う。

主な治療方法

甲状腺ホルモン不足を補う薬(甲状腺ホルモン薬)にて治療する。原発性甲状腺機能低下症では、一過性、あるいは慢性かを判断する。一過性甲状腺機能低下症で軽症の場合、治療の必要はなく、症状が強い場合は数ヵ月間甲状腺ホルモン薬を服用する。ヨウ素の過剰摂取が発症原因の場合、ヨウ素の摂取制限を行うと甲状腺機能の回復がみられることがある。慢性、持続性の甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの内服治療を継続的に行い、心疾患などの基礎疾患がある人や高齢者では少量から内服治療を開始し、薬の量を調節しながら治療を行う。潜在性甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンは正常であるため、強い症状がみられたり、脂質異常があれば内服治療を行うが、無症状の場合は経過観察として、定期的に検査する。妊娠中、もしくは妊娠を希望する女性が発症した場合は、速やかにホルモン補充療法を始める。潜在性甲状腺機能低下症では、妊娠による甲状腺ホルモン量の増量を考慮しながら、ホルモン補充療法を行う。

治療後に注意すべき点/予防対策

海藻や昆布のサプリメントなどヨウ素を多く含む食品の摂取過剰により、甲状腺機能低下症悪化のリスクがあるため、注意する。甲状腺ホルモン薬によるホルモン補充療法は長期にわたることが多く、定期的な検査とホルモン補充量の調整が必要となる。

治療に適した診療科目

内科 内分泌内科 外科

内科、内分泌内科、外科のおすすめクリニック