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最終更新日:2021年10月6日

きんいしゅくせいそくさくこうかしょう(えーえるえす)筋萎縮性側索硬化症(ALS)

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

まとめ

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、体を動かす筋肉が痩せていく疾患で、筋肉ではなく運動神経系に障害が起こる進行性の神経疾患である。脳から運動神経への伝達が不能になることで体が動かず次第に筋肉が痩せていくが、感覚や内臓の機能は多くは正常に保たれる。国内の患者数は約1万人と報告され、難病に指定されている。遺伝しない疾患とされる一方で、発症者の約5%は家族内で発症しているため、家族性ALSと呼ばれる。60~70歳代に発症しやすく、比較的男性が多い。かつて発症すると死亡までの期間は約2~5年であったが、医療の発達により長期療養が可能となり、10数年にわたり緩やかな経過を辿る症例もみられる。

この病気の原因

ALSはフランスの神経病研究者により1869年に発見され、発症メカニズムなどの詳細は判明していない。神経の老化との関連が指摘され、興奮性アミノ酸の代謝異常、フリーラジカルとの関係が挙げられているが、決定的な医学的根拠は見つかっていない。筋肉を動かす運動神経のニューロンが広範囲に変異して障害されると「体を動かせ」という脳の指令が伝達されず、筋肉が徐々に痩せていく。全症例の約5%は遺伝性で、家族性ALSと呼ばれる。家族性ALSの約20%はスーパーオキシド・ジスムターゼという酵素遺伝子の異常が関連し、その他の原因遺伝子についても少しずつ明らかになっている。

主な症状

脳から脊髄、末梢神経を通じて筋肉を動かす伝達を行う運動神経に不具合が生じて体が動かせないため、四肢の筋力が次第に低下する。腕に症状が現れるとふたを開けたり挙手が困難になり、足に症状が現れると歩行、起立、座位に困難となる。発話、咀嚼にも運動神経が関わるため、発声しづらくなる構音障害、水や食物の飲み込みが困難となる嚥下障害などが現われ、よだれ、痰が増えて呼吸困難を引き起こす。患者の約20%に認知症が現われ、性格の変化等がみられる。一方で、眼球の筋肉は維持され、感覚神経・自律神経も正常に保たれ、視聴力、内臓・排尿機能も正常に機能する。

検査/診断の方法

呼吸筋のまひや運動ニューロンに障害を来すさまざまな疾患との鑑別診断を行い、ALSの確定診断となる。レントゲン、MRI、CT等の画像診断、筋電図検査のほか、鑑別診断に必要であれば脳脊髄液を採取する髄液検査を行う。神経系および臨床検査の所見、脳腫瘍、脊椎症、末梢神経障害などの神経変性疾患の可能性を除外し、総合的に診断する。特に針筋電図などの電気生理学的検査は、運動ニューロン障害の有無を判断する上でも重要である。発症初期の診断は難しく、経過観察により数年後に診断が確定することもある。

主な治療方法

現在の医療では完治療法はなく、リルゾール内服、エダラボン点滴投与にて疾患の進行を抑える薬物治療を行う。同時に筋肉痛、関節痛への対症療法を行い、症状の緩和が大変重要となる。毎日のリハビリテーションで残存機能を維持し、必要に応じ補助具やロボットスーツを使用したリハビリが保険診療で行える。また症状発症の前から呼吸筋を鍛えておくと、呼吸障害が遅延できる。疾患への不安などで発生する不眠に対しては睡眠薬や安定剤を投与する場合もある。呼吸困難が生じた場合は、鼻マスクや気管切開を行う。嚥下障害には食物の形態や食べ方の工夫にて対処する。さらに症状が進行すると、胃瘻による栄養補給を行う。症状が進行して会話・動作困難になる前に、家族との新しいコミュニケーション手段を覚えておくことも必要である。

治療後に注意すべき点/予防対策

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

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