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エボラ出血熱

最終更新日:2021年10月6日

えぼらしゅっけつねつエボラ出血熱

エボラ出血熱

まとめ

エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症である。致死率の高さが特徴で、20%から最大で90%に達することもあり、感染地域の住民に多大な恐怖を与えている。発症するウイルスの亜属は5種が知られ、種類によって致死率が異なる。エボラ出血熱は1976年に初めて確認され、南スーダンとコンゴ民主共和国で同時発生した。近年のエボラ出血熱の発生状況は、2014年以降に西アフリカ(ギニア・シエラレオネ・リベリア)で感染拡大し、アフリカ以外にスペインやアメリカなどでも発生が確認された。2015年5月にリベリア、同年11月にシエラレオネ、12月にギニアでそれぞれ終息宣言が発表された。2018年7月にはコンゴ民主共和国北東部でアウトブレイクが発生し、2020年6月に終息した。

この病気の原因

エボラウイルスの自然宿主は、オオコウモリ科のフルーツコウモリと考えられているが、感染経路は以下のとおりである。まず、宿主や感染動物(ゴリラ、チンパンジー、サル、ヤマアラシなど)の血液や分泌物、臓器、その他の体液が人間と接触して人間社会にウイルスが持ち込まれる。そして感染者の血液、分泌液、体液、臓器、ベッドシーツや衣類などの汚染物質が皮膚の傷や粘膜に接触感染し、人から人へ感染が拡大する。「葬儀で感染者の体に直接触る」、「感染予防対策を徹底せず医療従事者が患者と濃厚接触する」なども感染拡大の大きな要因となる。また、性行為による感染リスクは調査中だが、WHO(世界保健機関)は、エボラ出血熱からの回復者やそのパートナーに対し、性行為を控え、2回の検査で回復者の精液が陰性になるまでコンドームを使用した性生活を送るよう、推奨している。

主な症状

エボラ出血熱は2~21日(通常は7~10日)の潜伏期を経て、感染の第一期では高熱、頭痛、筋肉痛、咽喉炎、全身の衰弱などが見られる。第二期では、嘔吐、下痢、発疹、多臓器不全が起こる。また、発症者の半数以下には吐血、血性の下痢、皮下出血など複数臓器での出血症状に加え、肝・腎機能の低下がみられる。結膜の充血などの症状がある場合は、他症状との総合的に診断され早期発見に役立つ場合もある。潜伏期間は感染経路により長短がある。汚染された注射器による感染は潜伏期間が短く、接触感染は潜伏期間が比較的長い傾向にある。

検査/診断の方法

感染症法でエボラ出血熱は、感染力、罹患時の重篤性などに基づく総合的な観点から危険性が極めて高い「一類感染症」に分類される。発症時は診療体制が整った第一種感染症指定医療機関に入院し、検査・治療を受ける。アウトブレイク発生時は渡航先、現地での行動に基づく疑い患者の定義(擬似症定義)が通達され、該当者は一定期間中、毎日体温を測定し検疫所に報告する義務がある。患者から発熱や症状が報告された場合は検疫所から保健所に連絡のうえ、第一種感染症指定医療機関へ擬似症患者を搬送する。症状のある患者自身がエボラ出血熱発症を懸念した、あるいは患者を診察した一般の医療機関がエボラ出血熱を疑う場合は保健所に連絡して指示を仰ぐことが重要である。エボラ出血熱は国立感染症研究所の検査で診断される。血液や尿、咽頭を拭った液から病原体の分離や遺伝子の検出、血液の抗体検査を行う。回復後も同様の検査を行い、患者の体液中に感染性ウイルスが排出されないことが退院の診断基準となる。退院後も感染拡大防止のため、患者の家族や接触者に対する追跡調査が行われる。

主な治療方法

現在、エボラウイルスに対するワクチンや有効な治療薬はなく、対処療法に限られる。治療の基本は、できるだけ長く患者の小康状態を保ち、患者自身の免疫力を高めて回復を図る。具体的には下痢で脱水症状などを起こした患者への点滴、併発感染症予防の抗菌剤、ビタミン剤や鎮痛剤、栄養治療食などの投与を行う。患者からエボラウイルスの抗体が検出されると急速に病状は回復し、免疫も機能するが、それが一生継続するかは不明である。これまでにエボラウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬が多数開発されてきたが、現時点で有効性が証明された薬剤はなく、一部を除き臨床試験段階にも達していない。

治療後に注意すべき点/予防対策

有効なワクチンや治療薬はなく、予防に努める。流行地域への訪問は避け、やむなく渡航する場合は感染が疑われる人間や死亡した人間、葬儀への参列、医療機関の受診などは極力避ける。動物(霊長類、ヤマアラシ、宿主であるフルーツコウモリなど)から感染するので、動物の死体への接近・接触、生肉の摂取を避ける。未発症者からは、性行為などの場合を除きほぼ感染しないので、過剰に心配する必要はない。

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