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最終更新日:2022年4月12日

たはつせいきんえん・ひふきんえん多発性筋炎・皮膚筋炎

こちらの記事の監修医師
東京リウマチクリニック
久米 健介

概要

多発性筋炎は、筋肉に炎症が生じることで筋肉が破壊され、力が入りにくくなったり、疲れやすくなったり、動作時に痛みが出現する疾患です。筋肉の病変とともに皮膚症状が発現することがあります。手指の関節背側の表面が、がさがさとして盛り上がった紅斑であるゴットロン丘疹、肘関節や膝関節外側のがさがさした紅斑であるゴットロン徴候、上眼瞼の腫れぼったい紅斑であるヘリオトロープ疹など、特徴的な皮膚症状が出現している場合は、皮膚筋炎と呼ぶこともあります。多発性筋炎・皮膚筋炎は、自己免疫の影響によって発現する膠原病(こうげんびょう)の一種であることが知られており、指定難病に登録されています。 膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、 結節性多発動脈炎などが存在し、多発性筋炎・皮膚筋炎もこのグループに属しています。多発性筋炎・皮膚筋炎も他の膠原病と同様に女性の発症率が高いことが知られており、男女比はおおよそ1:3といわれています。発症年齢は、15歳以下が3%、60歳以上25%であり、中年での発症が大半を占めています。日本の患者数は約2万人と推定されており、発症数は増加傾向にあります。

原因

多発性筋炎・皮膚筋炎も膠原病と同様に、自己免疫系の異常が原因となる自己免疫疾患です。本来、自己免疫とは、自分の体を外敵(細菌やウイルスなど)から守るための重要な生体機能であり、身を守るためには必要不可欠なものです。自己免疫を上げる、免疫力を強くするというのは、疾患を予防するためには欠かせません。しかし、何らかの原因によって自己免疫のシステムに異常が生じることで、自己免疫が自分自身を攻撃してしまう現象が起こります。多くの自己免疫疾患では、免疫が自分の細胞を攻撃するという不具合が発生しています。しかし、なぜ自己免疫が自分の体を標的にして攻撃するようになってしまうのかという原因は明らかになっていません。

症状

多発性筋炎・皮膚筋炎の全身症状として、倦怠感、疲労感、食欲不振、発熱などが生じる可能性があります。多発性筋炎の場合、力が入らない、疲れやすい、運動時に筋肉が痛むなどの症状が生じます。皮膚筋炎の場合には、赤い発疹がまぶたにできる、手の指や肘、膝などが赤くカサカサになる、寒い時期に手足の指先が白くなる、などの皮膚症状が出現する可能性があります。筋肉の症状と皮膚の症状が両方出現する場合もあれば、どちらかの症状が強く発現する場合もあります。症状の出現パターンは個人差が大きく、症状に応じた治療やケアが重要となります。また 多発性禁煙、皮膚筋炎は発症早期に癌の合併が知られており、しっかりしたスクリーニング検査が必要です。

検査・診断

症状や病歴(基礎疾患)、薬剤の服用歴などを調べる他、血液検査や尿検査、レントゲン検査やCT・MRIなどの画像検査を組み合わせて検査を行います。血液検査を行うことで、筋炎に特徴的な酵素の値を測定して筋炎の有無を確認するだけではなく、血液中の自己抗体を検査することも可能です。必要に応じて、筋肉や皮膚の組織の一部を採取する筋生検や皮膚生検とよばれる細胞診検査(病理検査)を行います。

治療

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療の基本は薬物療法です。主にステロイドとよばれる薬を使用して治療を行います。ステロイドに加えて、免疫抑制剤などを使用して自己免疫の活性化を抑制するための治療が行われることもあります。筋肉の病変や力が入りにくいといった症状に対しては、理学療法などのリハビリテーションを組み合わせた治療を行います。皮膚病変に対してはステロイドの軟膏剤(外用薬)を使用するなど、状態に応じて対応します。その他痛みや炎症などに対して、鎮痛薬などによる対症療法が行われる場合もあります。

予防/治療後の注意

多発性筋炎・皮膚筋炎は、治療後にも筋力の低下が残存する場合も多く、日常生活に影響を及ぼす可能性もあります。適切なリハビリテーションを長期的に継続する他、必要に応じて生活環境を整えるなどの取り組みが大切になります。自己免疫の状態が不安定な疾患であるため、日頃から健康的な生活を心がけ、体力をつけておくことが病気の予防には肝心です。

こちらの記事の監修医師

東京リウマチクリニック

久米 健介


【経歴】
広島大学医学部卒業

【専門】
リウマチ、整形外科

【資格】
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
日本リウマチ学会指導医
日本アフェレシス学会専門医

治療に適した診療科目

内科 神経内科 リウマチ科

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