最終更新日:2022年12月3日
こつにくしゅ骨肉腫
こちらの記事の監修医師
新宿ホームクリニック
名倉 義人

概要
骨肉腫とは、骨を起源として発症した悪性腫瘍です。発症年齢としては10〜20歳代が多く、女性に比べて男性にやや多い傾向があります。日本での発生頻度は人口100万人あたり1~1.5人といわれており、悪性腫瘍全体からみると頻度は低く、まれな病気とされています。致死的病とされていましたが、近年では化学療法(抗がん剤治療)によって治癒する可能性のある疾患に変わりました。生命予後が改善し、長期的に生存できるようになった為、合併症やメンタルケアなどQOL(生活の質)へのアプローチが必要となります。
原因
骨肉腫について完全に解明されておらず、原因は不明です。網膜芽細胞腫の二次癌の多くが骨肉腫であることや家族性にがんを多発する遺伝症候群で骨肉腫を高率に発症することから遺伝子異常が原因になっているのではないかと推測されています。さらに放射線照射やある種の化学物質(ベリリウム化合物など)やウイルスなども骨肉腫の発生に関わっているのではないかと推定されていますが、全てのケースでみられるわけではありません。
症状
骨肉腫の好発部位は、大腿骨遠位部・脛骨近位部・上腕骨近位部などであり、典型的には膝や肩周囲の疼痛や腫脹を主訴に受診に至ることが多いです。しかし、実際は痛みや腫れの原因がスポーツなどでの関節や靭帯の損傷、成長痛、変形性疾患であることのほうが圧倒的に多く、発症頻度から考えると症状だけで骨肉腫と診断することは非常に困難です。湿布など消炎鎮痛治療をしても痛みや晴れなどの症状が長期にわたる場合は病院受診を検討しましょう。また骨肉腫が進行すると骨が弱くなり、軽いけがでも骨折しやすくなります。そのため、骨折をきっかけに骨肉腫が発見されることもあります。
検査・診断
まず、問診や触診、X線(レントゲン)写真を撮り、骨内部の異常から骨肉腫が疑われた場合にCTやMRIなどの精密検査を行います。骨の局所での病変の進行度合いの評価に加えて全身臓器への転移や周囲組織(神経や血管など)との位置関係をより正確に評価することが可能です。診察・画像検査の結果から、病変がどのようなものなのかある程度予想することができます。最終的に確定診断を行うためには生検という病変部の組織や細胞を採取して顕微鏡で検査を行う必要があります。
治療
骨肉腫の治療方法は①腫瘍の原発巣を完全に切除すること②腫瘍とともに切除した骨や関節を再建し患肢機能を回復することを目標とし、骨肉腫のタイプや病気の進行具合に応じて、手術・化学療法・放射線療法などから選択されます。放射線療法は腫瘍に放射線を照射し、腫瘍を死滅させる方法です。腫瘍の大きさや場所によって、手術のみでの完全切除が困難な場合に、補助的な治療法として使用されることがあります。化学療法は腫瘍の組織型に応じて複数の薬剤を組み合わせて行います。現在の骨肉腫に対する標準治療は手術による局所制御と術前・術後化学療法による微小転移の制御を組み合わせた1年に及ぶ集学的な治療です。骨肉腫に対する手術は広範切除術が行われ,化学療法と組み合わせることにより切断とほぼ同等の局所根治性が得られるとされており、長期生存率の向上が図られています。
予防/治療後の注意
治療が終わったあとも、再発や転移の有無を確認するために10年程度は定期的に外来で経過をみる必要があります。近年では化学療法の導入により、初診時に遠隔転移のない場合の5年生存率は70%を超えるまでに改善しました。しかし、それ以外の遠隔転移や治療後に再発・転移を来した症例では依然として予後不良です。切除範囲や部位により日常生活に支障をきたす場合があり、可能であれば人工関節など外科的に再建を行います。そして長期的な生存において患者のQOLを高める為に筋力訓練、可動域訓練、歩行訓練、日常生活に必要な動作訓練などが総合的に行われ、術後早期の歩行獲得・日常生活への復帰を目指します。
こちらの記事の監修医師
新宿ホームクリニック
名倉 義人
《診療科》
内科・整形外科
《経歴》
平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間専門医として勤務
平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務
令和元年 新宿ホームクリニック開院
《資格》
救急救命専門医
《所属学会》
日本救急医学会
日本整形外科学会



