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【第11回】日本一忙しい小児科医が語る…「オンライン診療」の凄さと怖さ

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2021年12月17日

患者にとって、外出しなくても医療機関にかかれる「オンライン診療」ほど便利なものはありません。コロナ後もオンライン診療のニーズが消えることはないでしょう。とはいえ、誤診リスクは高く、導入コストが大きいのに診療報酬は安いなどの理由から、なかなか普及しないというのが現状です。そこで本稿では1日200人以上の患者を診るという「日本一忙しい小児科医」が、オンライン診療のトラブルを防ぎ、たくさんの患者を無駄なく診察するためのポイントを解説します。

患者が「録画」していたら…オンライン診療の怖い点

オンライン診療では医療機関側、患者側ともに、相手の承諾なしに映像を記録することが禁じられています。ただし、患者側が診療の様子を録画する可能性は十分に考えられます。

そして、オンライン診療でなんらかの問題が発生した際に、その映像が証拠として持ち出されることもあり得ます。

こうしたトラブルを未然に防ぐため、診療内容はできるだけ記録するようにしましょう。もちろん、会話内容をすべて記録する必要はありません。診療時に交わされる可能性のあるやり取りをテンプレートとしてまとめておき、きちんと説明をしたら丸印を付けるなどの手法で効率よく処理するのがいいでしょう。

「会話の内容」や「予防接種の予定」もしっかりメモ

記録すべきなのは診療内容だけではありません。患者と交わした世間話や趣味の話などについても書き留めておきましょう。

なお、こうした情報はカルテの2号紙部分に記録すると、時間の経過とともに流れてしまい、あとで目に触れることがなくなります。

そこで、これらは電子カルテのメモ機能の部分に記入しておきましょう【図表】。

【図表】私の院で実際に使用している電子カルテ(メモ欄を活用する)
また、私はメモ欄に、予防接種のスケジュールなども書き込みます。例えば、年齢的に日本脳炎の接種期限が迫っている患者がいたら、メモ欄に記入しておき、診察の際に「そろそろ日本脳炎の接種をしなければいけませんね」と伝えるのです。こうすることで患者は接種漏れを防ぐことができますし、私たちとしても、ほかの病院で接種されて機会損失をする危険性を避けることができます。

オンライン診療はどうしても医師の記憶に残りにくい

ところで、オンライン診療の患者は外来患者に比べ、医師の印象に残りづらいものです。『人は見た目が9割』というベストセラーがありますが、人間は視覚を使って他者を記憶する傾向が強いものです。

ところがオンライン診療では、患者の姿は狭い画面の中にしかありませんから、どうしても覚えるのが難しいといえます。

それでも医師は、診療した患者の情報をきちんと覚えておかなければなりません。そのためには、やはり会話内容をしっかり記録しておくことが大切なのです。

「医師が待たされない仕組み」で効率よく診察

オンライン診療の予約システムでは、「医師ではなく患者が待つ仕組み」を構築することが重要です。

仮に患者に対し、「10時から診察を開始する」と指定したとします。もし、医師が約束の時間に間に合わなければ患者からはクレームが寄せられるため、医師は10時までにオンライン診療システムに入る必要があります。

ところが、患者のなかには約束を守らない人がたくさんいますし、ひどいときには連絡もなく診察をすっぽかす人すらいます。その場合は、医師の側がずっと待たされる羽目になるわけです。クリニックのなかで最も時給が高いのは、いうまでもなく医師です。その医師が時間を空費してしまうのは、クリニックの経営にとって大きなマイナスです。

そこで複数の患者に対し、「あなたは●時●分からX時X分までの間に診察する」というやり方を採りましょう。これなら、医師が患者の都合に合わせて待つことはなくなります。また、患者側もそれほど大きな不満をもちません。

なぜなら、オンライン診療の場合、患者は自宅などで待機しているため、テレビを見たりスマホを操作したりしながら診察時間を待つことができるからです。

私の院ではオンライン診療を15分ずつの時間帯に分け、それぞれに3人ずつ患者を入れるようにしています。こうすれば、患者の待ち時間は最小限に抑えることができますし、患者の遅刻などで医師が待ちぼうけを食らわされるリスクもほとんどなくなります。

「終わったらすぐ帰れる仕組み」でスタッフも業務改善

私の院では、看護師や事務スタッフが自主的に業務改善に取り組み、新たなやり方を導入するケースが多々あります。なぜ彼らが主体的に工夫をするかというと、担当する仕事が終わったら、すぐに帰れる仕組みにしているからです。

私の院の診療時間は、月・水・木・金・土曜日は9~12時と14~19時、日曜日は9~12時です。多くの患者が集まる日は午後診が延び、22時半頃まで休みなしで診療を行うケースもあります。スタッフは当然のことですが、遅くまで働くことを嫌います。そこで、1分でも早く仕事を終えるために知恵を絞るわけです。

私の院では新人看護師に最長2ヵ月間の研修を行っていますが、このときに指導者役を務めるのはベテラン看護師です。新人看護師の成長が遅いと、ベテラン看護師はその指導のためにずっと忙殺されます。

逆に、新人がいち早く戦力になれば、指導の仕事から解放されるだけでなく、通常業務に戻ってからの仕事量も減るわけです。ですからこの分野でも、「仕事を早く終えて帰りたい」という気持ちが、看護師のモチベーションを高めています。

私はスタッフに対し、「空き時間ができたら、そのときにできる作業を見つけなさい」「新人看護師を上手に教育して、早く一人前にしなさい」などと指導することはありません。そういった管理方法を採ると、スタッフから反発されたり、かえって仕事へのモチベーションを下げたりする危険性があるからです。

そうではなく、スタッフが自ら仕事に取り組むような仕組みを工夫することが大切なのです。

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