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人口比の病床数 世界一なのに…コロナ病床逼迫 日本の弱点

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2021年2月15日

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い大都市圏を中心に患者用の病床数が逼迫しているが、国内の感染者数は欧米諸国に比べれば桁違いに少ない。医療設備や人材を有効活用するために医療体制の立て直しを図ることが急務である。

ダムの決壊寸前のような医療現場

 東京医大病院では新型コロナの重症患者用6床、中等症用20床があるが、年明け以降は満床が続き、患者の受け入れを断る日もある。

 感染拡大が続く東京都では、年末年始の1週間に入院・療養先が決まらず調整中の感染者数はのべ3000人を超えた。大都市圏を中心にコロナ患者用の病床使用率が急上昇している。

 日本の人口あたりの病床数は、OECD加盟国の中でも非常に多く、集中治療室(ICU)などの病床数も人口10万人あたり13.5床で、フランス11.6床、英国6.6床などに比べて多い。また、1日あたりの感染者数は20万人超の米国や約6万人の英国と比べると、日本は桁違いに少ない。

 他国と比べ病床数が多く、患者数が少ない日本で病床が逼迫する背景には、コロナ患者が一部の大病院に集中する事情がある。現在、コロナ患者用に確保された病床数は計2万7650床で、手術・救急用の急性期病床(約73万床)のうちの4%にすぎない。

 コロナ病床が少ない要因の一つは、民間経営の病院が7割と他国に比べて多いことだ。公的病院は都道府県を通じて病床確保の要請がしやすく体制を整えやすいが、民間病院はそうではない。集団感染や風評被害による経営への影響を懸念し、患者の受け入れには慎重である。厚生労働省の調査では、公立・公的病院では7~8割がコロナ患者受け入れ可能としてが、民間病院では約2割にとどまった。

 また、国内の病院の7割が200床未満の中小病院であり、患者の受け入れが難しいという調査結果もある。

 もう一つは、病院数が多く医療従事者が分散していることが原因だ。人口当たりの医療従事者数はOECD加盟国の平均並みだが、病院毎にみると体制が薄く、特に中小病院では人手のかかるコロナ患者の受け入れが難しい。

このような日本の医療体制の問題点が浮き彫りになっていることから、将来的には人材集約のため病院を再編・統合する必要もある、との声もあがっている。

 一方、欧州各国では大規模な公立・公的病院が多く、行政により病床数をコントロールしやすい。ドイツでは昨春、政府主導でICUを1万床以上増床し、スウェーデンでも行政主導でICUを増床して入院調整を行っている。

 民間・中小病院が多い日本では欧州のような対策を取れず、国からの指示を待っていては対応が遅れてしまうことから、都道府県が主体となり、非常事態を乗り越える必要がある。

 地方自治体でコロナ患者用の基幹病院を決定し、他施設から医療者を集中させることが有効だと指摘する声もある。また患者の重症度により病院の役割分担を行い、医療連携の体制を整えることも必要とされる。

 すでに地域で効率的に病床を活用する取り組みが行われている自治体もある。横浜市では昨年末から入院患者の転院調整をコロナ以外の他の疾患も含めて一元化した。

 コロナ患者以外の疾患に対応可能な医療機関に患者を移送することで、重症化したコロナ患者の転院先が確保できるように調整する。年末年始限定の予定だったが、緊急事態宣言中も体制を一部変更して継続する。担当部署の横浜市救急・災害医療担当課長は「コロナも、他の病気も患者の命をできる限り救える体制にしたい」と話している。

 病床の確保についても様々な工夫が登場している。

 東京医科歯科大病院は昨年夏、ICUを改装し、大部屋をコロナ用12床とそれ以外の患者用14床に分けた。ゾーニング(区画分け)によってコロナ治療と一般診療を両立させたことで、ICU担当の医師や看護師は、役割分担しながら安心して仕事に取り組めるようになった。厚生労働省はこうした病床増床への取り組みを財政支援の対象としている。

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