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無症状の小児が新型コロナウイルスを拡散させる?

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2021年2月14日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した小児は、無症状でも多くのウイルスを保有していることが、米マサチューセッツ総合病院(MGH)粘膜免疫学・生物学研究センターのAlessio Fasano氏らの研究により明らかとなった。Fasano氏らは、無症状の小児がCOVID-19の“サイレント・スプレッダー”として感染を拡大させる可能性があると指摘し、学校再開の安全性について疑問を呈した。研究報告は「The Journal of Pediatrics」8月19日オンライン版に掲載された。

 本研究の対象は0~22歳の小児~若年成人192人(平均年齢10.2±7歳)であった。内訳はCOVID-19の疑いありか、COVID-19と診断された人、多系統炎症症候群(MIS-C)でMGHに入院中の人である。このうち49人(26%)は検査により新型コロナウイルス陽性となり、18人(9%)は、COVID-19との関連が示唆されるMIS-Cを発症していた。

 対象者の鼻・喉から採取した検体や血液からウイルス量を調べると、感染者の気道からは極めて高いウイルス量が検出され、この量はICUでの治療を必要とする重症成人患者から検出されたウイルス量よりも多かった。

 また、感染例の半数以上(51%)が低所得層の小児や若年成人で、高所得層の感染例はわずか2%であった。低所得層は高齢者と同居する家庭が多く、COVID-19に感染すると重症化のリスクが高い。

 さらに、MIS-C患者の免疫反応を調査すると、重症MIS-C患者では、新型コロナウイルス以外のウイルス(インフルエンザウイルスなど)に対する抗体反応も上昇していたことから、著者らはこの非特異的な抗体反応が自己抗体の出現を誘発し、MIS-C発症を引き起こす可能性があると示唆した。

 論文の筆頭著者で、MGH嚢胞性線維症センターのLael Yonker氏は、「COVID-19に感染した小児や若年成人から、大量のウイルスが検出されたのは想定外であり、発症後2日間のウイルス量が特に多かった。COVID-19重症の成人患者の治療にあたり、病院ではさまざまな感染予防策がとられているが、重症患者のウイルス量はCOVID-19無症状の小児のウイルス量よりも、はるかに少なかった」と述べた。

 研究結果から、著者らはCOVID-19の感染拡大において、小児の影響を見落としていた可能性を指摘した。COVID-19感染拡大は、有症状の人を主な検査対象としており、ほとんどの感染者は成人だと考えられていたが、小児が新型コロナウイルス未感染の事実はなく、小児も感染源となり得ることを認識すべきだと述べた。

 著者らは学校再開について危惧しており、対面での授業を行うにあたりガイドラインの遵守が必要だと述べた。ウイルス保有量が多い小児のなかには無症状者が非常に多いと予測され、体温測定と症状の観察のみでは教師や学校スタッフの安全が保障できないと考えられる。具体的な感染拡大防止策として、無作為に抽出した生徒への検査、マスク着用、ソーシャルディスタンスを守る、手洗い、オンラインと対面を組み合わせた授業の実施などを挙げた。

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