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香川 靖雄 ドクターの独自インタビュー取材記事

最終更新日:2022年3月26日

香川 靖雄 ドクターの独自インタビュー取材記事

【専門分野・研究課題】
生化学・分子生物学・人体栄養学。
主に生態エネルギー学を中心に、ATP合成酵素とその周辺の反応を研究。特に高齢者の心身機能の低下はミトコンドリアの活性低下が大きな要因であるので、その解明を行っている。

女子栄養大学教授 香川靖雄 ドクター

松本アナ

松本アナ

こんにちは。ドクターインタビューの時間です。今回のゲストは女子栄養大学教授香川靖雄ドクターです
本日はどうぞよろしくお願い致します。

香川靖雄ドクター(以下:香川ドクター)

こちらこそ、よろしくお願いします

松本アナ

松本アナ

東京大学医学部を卒業後、聖路加国際病院、アメリカコーネル大学生化学分子生物学客員教授、自治医科大学生化学教授などを経て、現在は自治医科大学名誉教授並びに女子栄養大学の教授、副学長も務めていらっしゃいます。あの突然ですけれども、香川ドクターのご趣味が鉱物収集と伺ったのですけれども、本当ですか。

香川ドクター

私は東大の教養学部にいました。その前に戦争の末期に父が亡くなったものですから、母に万が一のことがあったら、兄弟4人が食べていかなくてはいけません。ですから、その当時一番給与が高そうだったのが鉱山で働くことなんですよ。(写真を出して)あのこれが見えますか。これは鉱山の実習をやっているところです。その後生活が落ち着きまして、母の大学、短期大学(女子栄養大学)なんですけれども、起動に乗りましたので、それで安心して医学部に進んだわけです。(石を出して)これは鉛の方鉛鉱です。神岡鉱山に行って採ってきました。医学部に進んだんですけど、鉱山実習の経験から鉱山学というか、あの正式には地学ですけども、それが身について趣味になっているわけです。

医師を目指した理由

松本アナ

松本アナ

どうして医学・医師の道を目指されたのですか。

香川ドクター

やはりですね、医師になって大勢の人たちを助けたいと思ったんですね。それは両親が医師だったからです。父が東大の第一内科の講師だったんですけども、戦前に母と一緒に「女子栄養学園」という栄養士を養成する学校を創ったのです。東大ですから、ただのお医者さんではなくて、脚気(かっけ)の研究をしていたのです。脚気の患者さんを治す研究をしながら、内科医をしていました。

「医化学」とは?

松本アナ

松本アナ

先生のご専門の「医化学」というのは、どんなものなのでしょうか。

香川ドクター

あの「医化学」というのは医学の医に化け学ですね。「化学」というのは物質の学問で、「医」は人体の機能や病気を扱う学問ですから、「医化学」といのはその両者の設定なんですね。そして私の場合は、「どうやったら人間の体からエネルギーが出てくるか」ということを調べたわけです。ですから「医化学」の中でも「生態エネルギー学」と言うんですけれども、それが専門です。

香川ドクターの研究によって改善できるようになった病気

松本アナ

松本アナ

ドクターの研究によって、どのような病気を改善できるようになってきたのでしょうか。

香川ドクター

まずですね、人体のエネルギーの大部分は、細胞の中にあるミトコンドリアという小さい器官があるんですね、1つ細胞の中に。そのミトコンドリアには、いろいろな病気が起こります。まず調べたのは、病気の時にミトコンドリアの遺伝子のどこが変わったかということを発見したんです。そして、その病気をどうしたら防いでゆくことが出来るかを研究をしてきたんです。まぁちょっと話すと長いんですけども、病気との関係でお話しますと、今は皆さん、随分と歳をとってからお子さんを生みますので、ミトコンドリア遺伝子が傷ついてしまうんですね。そのために大勢の人が生まれながらにして、病気を持った人が多いわけです。若い女性の卵子の中には、たくさん元気なミトコンドリアがあります。それを置き換えることによって、元気な子供を作ろうという一種の遺伝子治療です。これは日本ではまだ許されていませんが、欧米では非常に早い時期から私共のその方法を使って、元気なお子さんが大勢育っています。

松本アナ

松本アナ

これは日本でも、これから行われていく治療ということでしょうか?

香川ドクター

そうですね。日本では遺伝子を入れ替えて行う「遺伝子治療」と言うのですが、私は「遺伝子治療学会」の会長もやっていたのですけど、倫理的な問題があるだろうということなのです。つまり、2人のお母さんができるわけです。ミトコンドリアを別のお母さんから貰って、それから核の大部分の遺伝子は実際の母親から貰うということになります。ただ、ミトコンドリアのDNAというか遺伝子は、量が非常に少ないのです。ですから欧米では、そういうことは問題にしない。ミトコンドリアを供給してくれたお母さんの方は、母親ということではなくて、ただの臓器の提供者という考えで進めています。ただ日本では非常に晩婚化が進んでいます。そのために障害児が年々増えています。今は初産の年齢が30歳越えているわけです。人類というのは大体20代のはじめくらいに子供を作るというのが一番いいんですね。でもこれから女性の社会進出もありますし、晩婚化が進むと欧米はそれに対して、もし障害児が生まれるなら、防いでゆこうという考え方があります。

研究の醍醐味

松本アナ

松本アナ

研究をされている中での醍醐味は、何になりますでしょうか。

香川ドクター

それはやっぱり、新しい発見をしていくというところが一番感激します。なかなか実験っていうのは、考えたようにうまくはいきません。でも時々大変うまく出来て、そして論文が書けて、皆も喜んでくれることありますので、たいへん苦労が多いですけれども、それを乗り越えて問題を解決したことが、やっぱりうれしいと思いますよ。

若いドクターに伝えたいこと

松本アナ

松本アナ

たくさんの経験をされましたけれども、これからの若いドクターに伝えたいことは何でしょうか。

香川ドクター

これはもう持論ですけれども、私の時代は戦争の非常に貧しい時代でしたね、戦後の。例えば東大の食堂で食事をしようと思っても、その時は米穀通帳がないとダメなんです。そのくらい日本は貧しくて大変な時に、みんなは非常に研究をしていたんです。そして日本の研究によって、アメリカに次いで科学技術が進んで行きました。日本という国は貧しい国です。貧しいと言うか、資源がなくて国土も狭い、災害も多い。そういう国が生きてゆくためには、科学技術しかないということで、みんなが非常に研究をしたのです。
良い論文を日本は世界でもアメリカに次いで出していたのに、今では世界で10番目に落ちてしまいました。論文の数が先進国で減ったのは日本だけです。中国は今、世界を圧倒しています。科学研究でも論文の数でも、論文の質でもアメリカよりも上なんですよ、中国は。なぜか、それは中国は日本の戦後の発展を見て、どんな困難があっても科学技術を発展させなければいけないと思っているのです。日本の今の大学制度では、もう大学には国がお金を出さない法人化にして、自分たちで寄付金を集めなさいという形にしたものだから、いっぺんに研究は衰えてしまったのです。

香川ドクター

ですから、どんな困難でも医学部でも理学部でも、もっと研究を進めて、昔の日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われたような科学技術で生きていくより他はありません。ですから若いドクターにも、今の日本の医学制度は、研修とかそういうものがあって、もう研究はできないような仕組みになっています。ですから、是非「研究が出来るような体制に戻さないと」という危機感を持って、若い人たちには、どんな苦労があっても研究を進めてもらいたい。それが私の考えです。

松本アナ

松本アナ

ありがとうございました。本当に貴重なお話をたくさんお聞きいたしました。今回は半世紀以上にわたり生命の神秘を追い続ける香川靖雄ドクターにお話を伺いました。香川ドクター本当にありがとうございました。

香川ドクター

ありがとうございました。みなさんに是非意見を伝えて下さい。

インタビュアー

松本志のぶ

静岡県浜松市出身。上智大学外国語学部卒業後、日本テレビに入社。「24時間テレビ」総合司会、「行列のできる法律相談所」レギュラーMCなどを務め、報道・情報・ニュース・バラエティ各種番組で活躍。2009年よりフリーアナウンサーとして、TBS「教科書にのせたい!」レギュラーMCなども務め、また、テレビだけでなく、報知新聞「報知映画賞」選考委員や、クラシックコンサートの司会、子どものための読み聞かせコンサートでの朗読など、活動の場を広げている。

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