'continue'と'give up'のビジネスイメージ
(画像=takasu/stock.adobe.com)

成功のためには、正しく行動し、しかもそれを継続することが必要です。しかし、継続することはとても難しいものです。正しいことがすべて楽しいことではないからです。実はこの「正しい」と「楽しい」は人間の脳においては、大きな違いがあります。ここに、人が行動を継続するための秘密があるのです。脳科学の視点から、行動を継続できる状態とはなにか、そして、継続できる状態にする方法について、考えていきます。

目次

  1. あなたが「継続」できないのは、脳の仕組みに関係がある
  2. 脳科学から見る、脳の三層構造
    1. 大脳新皮質(知性脳)
    2. 大脳辺縁系(感情脳)
    3. 脳幹(反射脳)
  3. 私たちの「行動」は「感情」が決める
  4. 「感情をコントロールする」というのは、扁桃体をコントロールすること
  5. 人は「正しい」ことより「楽しい」ことしか続かない
  6. 楽しくなる工夫で、ドーパミンの効果を利用する
  7. まとめ:仕事や目標達成は、ワクワクが成功のカギ

あなたが「継続」できないのは、脳の仕組みに関係がある

成功のために目標達成をするためには、「やるべきこと」に対して行動に移すことが大事です。あきらめずに継続しなければなりません。

ビジネスでも成功のカギは「行動」です。多くの成功者が「行動なくして成功なし」と仰っています。私もそう思います。しかし、わかっているけど「行動」に移せない……と言う方も多いのではないでしょうか。

目標を達成するためには、やるべきことを「継続」する必要がありますが、飽きてしまったり、辛くなってしまったりして、最終的にフェードアウトしてしまう。この「継続」ができない理由は、すべて脳の仕組みに関係があります。

脳科学から見る、脳の三層構造

脳は複雑ですが、目標達成のための仕組みは簡単です。私たちの脳は三層構造になっています。目標達成の仕組みを理解するために、まず脳の構造と、それぞれの役割を確認しましょう。

大脳新皮質(知性脳)

一番外側の脳。左脳と右脳に分かれており、脳梁で繋がっています。左脳は論理的、意識など過去を分析して物事をじっくり考える脳です。対して右脳は、感覚的、イメージ、ひらめきの脳です。「相手の気持ちを考える」などの人間らしさを担う脳です。

大脳辺縁系(感情脳)

真ん中にある脳。喜怒哀楽を担う脳です。

脳幹(反射脳)

内側にある脳。呼吸や睡眠、体温調節、代謝などの生命維持を担う脳です。神経伝達物質(脳内ホルモン)を分泌します。

私たちの「行動」は「感情」が決める

成功のための目標達成をするには、何事も「続ける」ことが必要ですが、長続きしない、途中であきらめてしまうなど、続かないことは往々にしてあります。

このとき「自分は続かない人間だ」と自分を責める必要はありません。これには、脳の仕組みが大きく関係しています。

プラス感情/マイナス感情と脳の各部位の動き
(画像=プラス感情/マイナス感情と脳の各部位の動き)

感情がマイナスなら、思考(考え方)もマイナスになり、体調を管理する脳幹からは、コルチゾールというストレスホルモンを分泌します。

感情がプラスなら、思考(考え方)もプラスになり、体調を管理する脳幹からは、ドーパミンやセロトニンなど体によいホルモンを分泌します。

「感情をコントロールする」というのは、扁桃体をコントロールすること

感情をつかさどる大脳辺縁系(感情脳)は情動を担っていますが、特に情動に関わっているのが、大脳辺縁系にある1.5cmのアーモンド形をした「扁桃体」という原始の脳です。魚にもある原始的な脳で、生存するための選択をする脳です。

敵に襲われたときに「逃げるのか」「戦うのか」を決める脳の名残なのですが、現代の私たちは、この扁桃体で「好き」「嫌い」を決めています。「どちらでもない」はありません。二択です。

もともと、襲われたときなどの生存に関わる判断なので、反応スピードが驚異的に速いのです。わずか0.2秒、それ以上ともいわれています。そして、残念ながら、そのほとんどが「嫌い(不快)」の反応です。

また、「ひと目ぼれ」や「生理的に受け付けない」のは、扁桃体が判断しているといわれています。

人は「正しい」ことより「楽しい」ことしか続かない

例えば、趣味や好きなことには、ウキウキして、早起きも平気、少々熱があっても出かけてしまう。「楽しい」ことは、率先して行動でき、継続も苦痛ではない。

逆に仕事や勉強は「正しい」ことなのに、イヤイヤ行動し、だるい・やる気も起こらない。継続も難しいなんてことは往々にしてあると思います。これも脳の仕組みに関係があります。

人間は正しいことではなく、楽しいことしか続きません。いくら意識で正しいと思っていても、脳には正しいという基準がないからです。

「楽しいことは続くに決まっている、でも、仕事や勉強は正しいことだから、やるのが当たり前でしょ?」

そう言われるかもしれませんが、いくら、意識で「正しい」と思っても、無意識の脳には「正しい」という基準がないので、意識で頑張るには限界があるのです。仕事や勉強が、万国共通で最優先される正しいことなのかといえば、そんなことはありません。国や地域、また、時代によっても異なります。

「仕事をすることが正しい」「勉強することは正しい」は、今の私たちの価値観で正しいと思っているだけで、無意識の領域には存在しないのです。

楽しくなる工夫で、ドーパミンの効果を利用する

「楽しい」というのは、扁桃体が快になっている、脳が肯定的な状態でワクワク状態になっているので、神経物質のドーパミンを分泌します。ドーパミンは報酬系と呼ばれるホルモンで、快を感じると活性化し、集中ややる気にもつながります。

依存症はドーパミンが過剰分泌してしまう状態で、それを薬で出そうとするのが覚せい剤などの薬物です。止めようと思ってもやめられない、意志の力ではどうにもならないというのがドーパミンの力です。この「ドーパミン」は「正しい」では分泌しません。

私たちはすべて自分の意志で選択して行動していると思いがちですが、脳内ホルモンの影響を受けて行動しています。

夢や目標、仕事、勉強、スポーツ、ダイエットをすることは「正しい」ことです。正しいことですので、無理をしてもかんばれば、一定の成果は出ます。

しかし、「やらなければいけない」と「無理して頑張っている」と、燃え尽き症候群や最悪の場合は、うつ症状になってしまいます。

また、ガマン状態は、ストレスホルモンのコルチゾールを分泌します。分泌し続けると、体調を崩すことにもなっていきます。

まとめ:仕事や目標達成は、ワクワクが成功のカギ

楽しみながら行うことで、能力も開花し、驚くような結果を出すことができます。

脳がワクワク状態は、脳幹からはドーパミンが出ているので、楽しくて仕方がない状態になっています。つまり、無理をして頑張るよりもドーパミンを分泌させるよう、楽しくなるように工夫をすることが「継続」させる秘訣なのです。

私たちは、真逆なことを教わってきました。結果を出すには、「苦しいこと」「辛いこと」でも、無理をしても歯を食いしばって、がんばることが大事だと、教わってきました。しかし、どんなに無理をしてがんばっても「楽しんでやっている人」には、かないません。

最近、アスリートが試合の前や後に「楽しんできます」「楽しかったです」と、コメントをするのを聞くことがあると思います。

ひと昔前には、試合の前後に「楽しい」なんて言葉を発するのは不謹慎だと怒られていました。しかし、今では楽しみながら行う方が、脳科学的にも能力が出せると証明されているので、楽しむ気持ちを引き出す指導をされるコーチも多くなってきました。

仕事や目標は、楽しむ工夫をしてワクワク状態で達成へ進んでいきましょう。

金子 晶美
金子 晶美(かねこ・まさみ)
ポジティブライフ研究所代表、「最強ブレインメンタルプログラム」主宰。ブレインメンタルコーチ、ビジネスコーチ、ポジティブライフコーチ、JADA協会 スーパーブレイントレーニング1級コーチ。 30年間のビジネスパーソンのとしてマネジメント、人財育成の経験。9年間で約3万件の相談実績。「脳の仕組みを知らないという理由で夢を諦める人をゼロにする」をモットーに、セミナーやコンサルティングを中心に活動。「的確なアドバイス」に定評。
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