オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員

最終更新日:2022年7月6日

そうはつらんそうふぜん(そうはつへいけい)早発卵巣不全(早発閉経)

こちらの記事の監修医師
板橋中央総合病院
都築 まどか

早発卵巣不全(早発閉経)

概要

早発卵巣不全(早発閉経;以下POI;)とは、40歳前に月経の永久的(長期的)な停止が起こる疾患です。POIでは、何らかの原因によって卵巣の活動が停止した結果、ホルモン分泌能に異常が生じ、卵胞の発育や排卵をしなくなるため、月経が発来しなくなります。非常に低い頻度で卵胞発育や排卵が起こる場合もありますが、永久に月経が停止することも少なくありません。おおよそ100人に1人の割合で発症する疾患であると言われ、要因は様々です。主な症状は月経不順や無月経で、深く考えないで経過をみている方も多いですが、早期に閉経が起こるのと同様の病態であるため、妊娠ができなくなったり、更年期障害と同様の症状が出現し、骨粗しょう症や高脂血症などになり易くなったりしますので、きちんとした対応や治療が必要になります。

原因

POIの原因は様々です。エストロゲン(いわゆる女性ホルモン)を中心とした性ホルモンの分泌がなくなる(著しく減少する)ことが発症の原因ですが、根本的な原因ははっきりとは分かっておらず、原因が明らかなものは1-2割程度といわれています。明らかなもののうち比較的多いのは、卵巣の手術(部分切除や摘出)や抗がん剤治療(がん化学療法)・放射線治療などの外的要因です。 内的要因としては自己免疫系の異常や遺伝子の異常が挙げられ、甲状腺や副腎の病気を持つ人に多い傾向があるといわれています。 その他にも糖尿病などの代謝性疾患、ウイルス感染症、薬物やホルモン剤、喫煙、アルコールの多飲など、多くの要因が性ホルモンの分泌に影響を及ぼすと考えられています。

症状

POIの病態は自然な閉経時期の月経不順と似ています。月経周期が乱れ(周期がまず短縮したり延長したりと不規則になり、のちに徐々に月経間隔が延長していく)、経血量も減少したりしながら無月経になっていきます。必ずしも強い症状があるわけではないため、ただの月経不順であると思っている方も多いです。もともと月経不順がある場合はさらに気付きにくかったりもします。不妊はひとつの症状であり、不妊症の原因検索をした結果、POIと診断されることもよくあります。エストロゲンの低下により、更年期障害と同じようにさまざまな症状が出現する場合もあり、この段階でPOIと診断されることもあります。月経不順の他に異常な発汗、ホットフラッシュ(顔が異常にほてる)、頭痛、めまい、動悸、肩こり、関節痛、冷えなどの身体的な症状のほか、不眠やイライラして感情が抑えられないなどの精神症状が認められる場合には、POIを疑ってみる必要があります。低エストロゲン状態が持続すると、骨粗鬆症のリスクが高まったり、メタボリックシンドロームや高脂血症になりやすくなるため、年齢の割に健康診断などでこうした異常が指摘されるようなら、POIの可能性も考えなくてはなりません。

検査・診断

月経の状態や経過を問診することでPOIの発症を疑うことが、はじめの一歩となります。POIの可能性が考えられる場合には、採血で血液中のエストロゲンや卵胞刺激ホルモンなどの性ホルモンのレベルを測定したり、超音波で卵巣の状態を観察したりします。その他にも原因を特定するための総合的な検査が行われますが、明らかな原因が不明な場合も多いです。必要に応じて、低エストロゲン状態がもたらす合併症(高脂血症や骨粗しょう症など)に対する検査を行います。

治療

妊娠を希望する場合には、自然妊娠はほぼ望めません。また、通常の排卵誘発剤に対する反応も著しく不良であるため高度な技術を駆使する必要があり、POIを専門的にあつかう医療機関で不妊治療を行う必要があります。低エストロゲン状態が続くと、下記のようなさまざまな危険性が増しますので、妊娠の希望の有無によらず、ホルモン補充治療が必須となります。(低エストロゲン状態が続くと、骨粗しょう症やメタボリックシンドロームを含めた生活習慣病に罹患しやすくなり、結果、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの心血管系疾患の発症リスクが上昇します。)また、ホルモン補充治療を行うことで、さまざまな更年期障害類似の症状も緩和されます。ホルモン補充治療では、適切な量のエストロゲンの補充が重要になります。上述のリスク回避および症状緩和ができるエストロゲンを、最低限必要な量で投与することがのぞましく、これを、一般的な閉経の時期(日本人では50歳頃から数年間)まで継続します。ただし、エストロゲン単独の投与では(子宮がある場合。子宮摘出後では単独投与でよい)、子宮内膜がん発生のリスクがあがるため、黄体ホルモン(プロゲステロン)を同時に投与し、月経と同様の周期的な出血を来させる必要があります。ホルモン補充をおこなっている限りは永続的に月経様の出血がきますので、一般的な閉経期を過ぎたら徐々に漸減して中止終了としていきます。

重要事項

早発卵巣不全を未然に予防するための明確な方法はありませんが、もし、抗がん剤治療や放射線治療など、性ホルモンの分泌に影響を及ぼすような治療を行う際には、事前にPOIのリスクを主治医と確認してください。将来の妊娠を希望する場合には、可能であれば治療開始前に卵子または卵巣の凍結を行うなど、必要な手だてを講じておくことが重要です。(小児がんの治療時も同様。不妊治療は日々進化しており、将来的な妊娠に備えることが可能となっています。詳しくは厚生労働省の 小児・AYA世代のがん患者などの妊孕性温存療法研究促進事業 のウェブサイトを参照ください)なによりもまず、月経不順が悪くなってきている;無月経が続いているような場合には、POIの可能性を考え、一度婦人科に受診相談をしてみてください。POIと診断されても、それは決してご自身のせいではありません(自分の生活などが悪くて発症するものではない)ので、その点を気に病むことはしないでください。上述のようなリスクを回避するため、きちんとホルモン補充治療をおこなったり漢方や精神安定を得られる投薬を受けたりすることが重要になりますので、長期的な視点から捉えて是非通院を継続してください。

こちらの記事の監修医師

板橋中央総合病院

都築 まどか

〇アクセス:東京都板橋区小豆沢2-12-7
〇診療科 :産科 婦人科一般

【専門医認定/資格等】
日本産科婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
日本産科婦人科学会 女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラム修了
厚生労働省 臨床研修指導医養成講習会修了
厚生労働省 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
公益財団法人 日本医療機能評価機構 CVC研修会修了

治療に適した診療科目

産婦人科

産婦人科のおすすめクリニック