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最終更新日:2023年2月21日

くるびょう(こつなんかしょう)くる病(骨軟化症)

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

概要

くる病(骨軟化症)とは、カルシウム・リンの沈着障害により骨や軟骨の形成過程で石灰化障害を引き起こし、弱い骨が作られて正常に成長しなくなる疾患です。子どもの頃に発症するものをくる病といい、成人になって発症するものを骨軟化症といいます。また、リン不足から引き起こされる低リン血性くる病(別名ビタミンD抵抗性くる病)とビタミンD不足から引き起こされるビタミンD依存性くる病は、厚生労働省の特定疾患(指定難病)に指定されており、公費から医療費補助を受けることができます。

原因

くる病(骨軟化症)の主な原因は、カルシウム不足・リン不足・ビタミン不足があります。日本人は全体的にカルシウムが不足されているとされています。それと違い、リンは様々な食べ物に入っているため一般的には不足することはないとされています。しかし、遺伝子変化からくる低リン血性くる病は、リンが尿中に漏れ、ビタミンDの働きが弱まります。そのビタミンDが不足すると食べ物からカルシウム・リンを摂取したとしても体内に吸収されにくくなり、弱い骨が出来上がります。また、妊娠中は母体から、産まれた後は母乳からビタミンDが供給されます。そのためにお母さんがビタミンD不足になっていると、赤ちゃんにもそのままビタミンD不足が生じます。

症状

くる病(骨軟化症)は、骨が弱く柔らかく曲がりやすくなります。子どもの頭蓋骨を指で押しただけで凹んでしまうほど骨が柔らかい状態になります。身長が伸びなくなったり、O脚・X脚になりやすくなったり、転びやすくなったりします。その他には、乳歯の生えが遅くなる・むし歯になりやすいなどの歯への影響も出てきます。成人で発症する骨軟化症は、骨の痛みを感じることが多くなります。

検査・診断

くる病(骨軟化症)は、血液検査とレントゲン検査を行います。血液検査では、主にカルシウム・リン・ビタミンD・アルカリホスファターゼの酵素濃度を測定します。そして診察にて、歩行の仕方・O脚・X脚などの骨の変形具合等を確認します。

治療

くる病(骨軟化症)は、基本的に食事療法と日光浴を行います。骨が作られていく中で、カルシウム・リンが骨の硬さを作る成分となっています。そのため、カルシウムを多く乳製品やシラス・小松菜、ビタミンDを多く含むサケ・サバなどの魚や卵黄を摂ることが大切です。そしてビタミンDの合成を促進させるために日光浴を行います。また、重症の場合には早く治療を始めるためにビタミンD製剤・カルシウム製剤などの内服治療を行います。順調にいくと約半年ほどで血液検査の数値・骨の変形が改善されます。しかし、低リン血性くる病は継続的にビタミンD・リンの内服治療が必要となってきます。

予防/治療後の注意

くる病(骨軟化症)の予防には、妊娠中からビタミンDを多く含む食品を摂取することが大切です。母乳にはビタミンDが含まれている量が少ないために、完全母乳での赤ちゃんはビタミンD不足になる可能性があります。その予防のためにも妊娠中からビタミンDを多く含んだ食事が大切になってきます。サプリメントからの摂取も可能ですが、過剰摂取になることが危惧されるために食事から摂取することが好ましいです。そして、ビタミンD不足予防のために日頃から日光を浴びることも大切です。適度な日光浴の目安は、夏期は10~15分、冬期は1時間ほどになります。積極的に外遊びなどをするように心がけましょう。もし学校健診などで身長の伸びの悪さや乳歯の生えかわりの遅さを指摘される、日常歩行でO脚・X脚が気になるほどになった場合は、小児科または整形外科を受診しましょう。治療後の再発予防としては、食生活・生活習慣の改善が大切になります。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

〇診療科目 :内科・糖尿病内科・内分泌代謝内科・漢方内科

【所属学会・認定医など】
医学博士(自治医科大学)
日本内科学会 認定内科医・ 総合内科専門医
日本内分泌学会 内分泌代謝科(内科)専門医
日本糖尿病学会 専門医 ・研修指導医

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設