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頚椎症性脊髄症【イシャチョク】

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最終更新日:2022年10月2日

けいついしょうせいせきずいしょう頚椎症性脊髄症

こちらの記事の監修医師
平塚共済病院
増田 謙治

頚椎症性脊髄症

概要

頚椎症性脊髄症とは、頚椎(首の形)の変形により、神経の通り道になっている脊柱管が狭くなることで脊髄が圧迫され、様々な神経の障害を引き起こす疾患です。主な原因としては、加齢によって頚椎が変形することです。頚椎の不安定化が存在する場合においては、動的な圧迫も脊髄に加わり障害を増大させます。症状が進行すると、手術をしても前のように生活をするのは難しくなってきてしまいます。早期に専門医に相談することが重要となってきます。

原因

頚椎症性脊髄症の原因は、加齢とともに頚椎(首の形)が変化することにより、頚椎の脊柱管の中にある脊髄が圧迫されて症状が出現します。日本人は、脊柱管の大きさが欧米人と比べて小さく、頚椎症性脊髄症が好発しやすいです。

症状

頚椎症性脊髄症は、頸部や背部の痛みに加えて、上肢の痛みやしびれ、そして感覚や筋力低下が生じます。特徴的なものとして、手指巧緻運動障害があります。日常生活動作としては、ボタンのはめ外しが上手く出来ない・お箸が使いにくい・字を書くことが不器用になることがあります。その他の症状としては、痙性の歩行障害として、つっぱったような歩き方になる・階段の昇り降りに手すりを必要とするようになる、といったように症状が進行すると平地での歩行の際にも杖がないと不可能になってきます。また、膀胱直腸障害としては、頻尿・失禁・開始遅延といった症状があります。こういった場合においては、早期の手術を必要とすることが多くなっています。

検査・診断

頚椎症性脊髄症の診断で最も大切なものは、神経所見になります。症状と四肢の反射の亢進といった診察所見を確認した上で、単純X線(レントゲン)検査を行い、頚椎の変化の程度や脊柱管前後径の度合いを確認します。中年以降の年齢層においては、単純X線検査にて頚椎の変化はほとんどの人に見られるものになります。その為、MRIにて頚椎症性脊髄症の確定診断をします。

治療

頚椎症性脊髄症は、軽度なしびれや感覚障害・痛みといったものだと消炎鎮痛剤・ビタミン剤などの薬物療法、または頸椎装具の装着といった保存療法を行います。症状が進行し、箸の使いにくさ、字の書きづらさ、ボタンの留めづらさなどの手の使いにくさを感じた場合や歩行困難や排尿排便の障害などが出現している場合は、頚髄の障害が出現しているため、手術が必要とされています。手術は大きく分けて頚椎固定術(前方固定と後方固定)と脊柱管拡大術の2種類があります。多く実施されているのが、神経の通り道を広げる脊柱管拡大術になります。脊柱管拡大術は日本で開発されたものであり、そこから世界に広まっている術式になります。また、手術用顕微鏡を用いて筋肉をできる限り温存するし、術後の痛みが少なくすむとされる手術(skip laminoplasty)も行われています。多くの方が、術後1~2週間で退院となります。手術実施の際には、前述した歩行障害や膀胱直腸障害が出現しているものに加え、保存療法をしていてもしびれ・痛みが辛いままの場合も考慮されます。

予防/治療後の注意

頚椎症性脊髄症は、加齢とともに頚椎が変化することで発症する疾患のため、確実に発症を抑えるといったことは難しいです。日常生活においては、頚部(首)を後屈(後ろに反る)する姿勢は、脊柱管が狭くなる傾向にあります。その為、首を後ろに反らすような動作をしないように注意しましょう。頚椎症性脊髄症を発症して症状がある場合は、転倒などの軽い外傷においても四肢麻痺(脊髄損傷)になる可能性が存在します。その為、転倒しないように注意しましょう。

こちらの記事の監修医師

平塚共済病院

増田 謙治

【経歴】
平成13年横浜市立大学医学部卒
医学博士、
日本整形外科学会 整形外科専門医、
日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医、
日本脊椎脊髄病学会 指導医、
身体障害者福祉法第15条指定医、
難病指定医、
臨床研修指導医講習会修了


おもに背骨(脊椎)の病気を中心に診察しています。脊椎の症状でお困りの方がいましたら是非ご相談ください。