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原発性アルドステロン症【イシャチョク】

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最終更新日:2023年2月18日

げんぱつせいあるどすてろんしょう原発性アルドステロン症

こちらの記事の監修医師
めじろ内科クリニック
久野 伸夫

概要

アルドステロンは副腎で作られ分泌されるホルモンの一種です。腎臓に信号を送り、ナトリウムと水をより多く保持して、カリウムをより多く排出するように促す作用があります。これにより循環血漿量(体をめぐる血液の量)を増やし、血圧を上昇させる働きがあります。原発性アルドステロン症とは、アルドステロンが過剰に分泌されることで高血圧が引き起こされる病気のことです。高血圧の患者に占める割合は5%程度と考えられており、重症の高血圧患者の中では、その割合はさらに上昇します。

原因

原発性アルドステロン症は原因により2つに分類されます。1つは副腎腫瘍が原因であり、もう1つは過形成といって左右両側の副腎全体からアルドステロンが過剰分泌される状態です。前者のタイプでは、特定の遺伝子変異が腫瘍内に存在することが確認されており、原因が明らかになりつつあります。しかし後者のタイプは現時点ではほとんど原因が分かっていません。

症状

アルドステロンには血圧を上昇させる作用があり、アルドステロンが過剰な状態となる原発性アルドステロン症では、高血圧が引き起こされます。しかし、もともと低血圧傾向の人は、血圧上昇を認めても高血圧の診断に至らないことがあります。またアルドステロンの作用により、腎臓におけるカリウムの排泄が亢進するため、カリウム値が低下します。カリウム値が低値になると、無症状のことも多いですが、脱力感やチクチク感、筋肉のけいれん、一時的な麻痺などが認められることもあります。のどが激しく渇いて排尿が頻繁になる場合もあります。低カリウム血症の出現は5割未満とされていますが、塩分負荷や利尿薬使用などに誘発されて引き起こされることもあります。この病気を治療せず放置すると、脳卒中や虚血性心疾患といった高血圧関連の合併症のリスクが増大します。

検査・診断

原発性アルドステロン症は、健康診断などで高血圧を指摘されることがきっかけで発覚することがほとんどです。まず血液検査を行い、血液中のナトリウム値、カリウム値、レニン値、アルドステロン値などを測定します。血液検査の結果からARR(アルドステロン・レニン比)という値を算出し、ARRが200以上の場合には原発性アルドステロン症の疑いがあります。確定診断のために、薬剤を投与したときのホルモンの反応を見る検査であるカプトプリル負荷試験や立位フロセミド負荷試験といった薬剤負荷試験を行います。また、腹部CT、MRIや副腎シンチグラフィーで副腎の形の異常の有無を調べます。負荷試験が1つ以上陽性の場合は、原発性アルドステロン症と診断されます。また、治療方針決定のために、腹部造影CTを行ったうえで副腎静脈サンプリングという検査を入院して行い、手術適応を検討します。

治療

原発性アルドステロン症のうち副腎腫瘍が原因となるタイプは、手術治療により病気を根治することができます。手術治療が原則ですが、多くは良性腫瘍なので、高齢者や手術治療のリスクが高い患者や、患者が手術を望まない場合などでは、薬物治療を行うこともあります。一方で、腫瘍のない左右両側副腎過形成が原因となるタイプは手術治療の対象とはならず、主にアルドステロン拮抗薬という内服薬での治療を行います。この治療ではアルドステロンそのものは低下しないため、根治治療とはなりません。

予防/治療後の注意

原発性アルドステロン症を無治療のまま放置していると、高血圧関連の合併症である脳卒中や虚血性心疾患などのリスクが増大します。さらに、原発性アルドステロン症を一般の高血圧として治療を行った場合も、これらの合併症のリスクが上昇することが知られています。そのため、この病気を適切に診断し治療を行うことが重要です。

こちらの記事の監修医師

めじろ内科クリニック

久野 伸夫

〇診療科 :内科、消化器科、リハビリテーション科
〇アクセス:東京都豊島区目白3-5-11 NOBビル3階

【経歴】
H5.3月 国立山梨医科大学卒業
H5.4月 日本赤十字社医療センター内科研修
H7.4月 国立山梨医科大学大学院博士課程
H11.4月 山梨県厚生連健康管理センター内科勤務
H12.1月 日本赤十字社医療センター第1内科勤務
H18.12月 めじろ内科クリニック院長

【資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本糖尿病学会専門医
日本医師会認定産業医
労働衛生コンサルタント(保健衛生)
電通健康管理センター非常勤医師