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最終更新日:2022年3月18日

みずまたびょう水俣病

こちらの記事の監修医師
日本赤十字社医療センター
木村 俊運

概要

水俣病は、メチル水銀の影響(汚染された魚介類を食べる)によって、中枢神経を中心とする神経系の障害を発症する中毒性疾患であり、公害病のひとつです。1956年に限定された地域(熊本県水俣市)で中枢神経症状患者の発生が相次いで確認されたことから、詳細な調査が行われ、1959年に原因物質がメチル水銀だと指摘されました。その後遅れて、1968年にメチル水銀が原因の公害として認定されたという歴史があります。体内に蓄積したメチル水銀は全身の神経系を傷害し、四肢末端の感覚障害 、小脳性運動失調、両側性求心性視野狭窄、中枢性眼球運動障害、中枢性聴力障害、中枢性の平衡機能障など多種多様の神経症状が出現するのが特徴です。また、母親が妊娠中にメチル水銀の曝露を受けることで、胎児に影響が及んでしまい、脳性小児マヒに似た症状をもって生まれる可能性もあります。

原因

水俣病はメチル水銀による中毒性の疾患であるため、他の中毒症と同じく、体内に蓄積された原因物質(メチル水銀)の量が、ある一定のレベル(発症閾値)を超えた場合に発症する可能性があります。自然界で、水銀は大部分が硫化水銀という安定な無機水銀として、一部が有機水銀として存在します。水俣病の原因となったメチル水銀は、有機水銀に属しますが、少量でも人体に影響を与える危険性があります。体内に吸収された水銀は、最終的に脳内に入り込み、中心神経系を傷害し、全身に様々な神経障害を引き起こす可能性があります。また、妊娠中に母親がメチル水銀に暴露することで、胎児の脳にメチル水銀が入りこんでしまい、児に小児マヒなどの症状を発現する場合があります。このようなケースは「胎児性水俣病」として知られています。

症状

水俣病の代表的な症状は、四肢末端の感覚障害、小脳性運動失調、両側性求心性視野狭窄、中枢性眼球運動障害、中枢性聴力障害、中枢性の平衡機能障害等の中枢神経系症状です。軽症例では、筋肉のけいれんやしびれなどの感覚異常が出現する他、味覚や嗅覚などの異常が出現する場合もあります。言語や認知機能に障害が及ぶこともあり、言葉が話せない、思うように言葉が出ない、考えることができない、などの多様な症状が出現します。神経障害によって全身に様々な合併症が出現するのが特徴です。胎児に影響が及ぶ可能性もあり、小児マヒや知的障害などの原因となります。

検査・診断

メチル水銀への暴露を調査することが重要です。特に、メチル水銀に暴露した魚介類を食べることによって人体に蓄積されるため、居住地域や生活環境、食生活などを詳しく確認する必要があります。水俣病の認定は、「公害健康被害の補償等に関する法律に基づく法定受託事務として、国が示した同法律に係る処理基準(後天性水俣病の判断条件及び小児水俣病の判断条件)により、県知事が行う」とされています。

治療

体内に吸収されたメチル水銀そのものを排泄する治療というのは存在しません。過去にはキレート剤を使用して、水銀を体外に排泄する治療が行われていたことがありますが、現代では使用されません。出現した各症状に対する治療(対症療法)が一般的であり、細胞内の活性酸素の低下などを目的としたビタミンEや、神経系への良い作用が期待されるビタミンB12などが使用されます。しびれや感覚異常、神経性の疼痛などに対しては鎮痛薬や抗けいれん薬などを使用することで症状の改善を行います。リハビリテーションや理学療法、作業療法などが有効である場合が多く、長期的かつ継続的な治療が必要になります。

予防/治療後の注意

政府の発表によると、「水俣病は、水俣湾産の魚介類を長期かつ大量に摂取したことによっておこった中毒性中枢神経系疾患である。その原因物質は、メチル水銀化合物であり、新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物が工場廃水に含まれて排出され、水俣湾内の魚介類を汚染し、その体内で濃縮されたメチル水銀化合物を保有する魚介類を地域住民が摂食することによって生じたものと認められる。」とされています。今日では、水俣湾(不知火海)産の魚介類を食べても、メチル水銀の影響はほとんどないと考えられていますが 、継続的な調査がされていないため、明確な安全性が示されていないのが現状です 。

こちらの記事の監修医師

日本赤十字社医療センター

木村 俊運

〇診療科 :脳神経外科

【認定医・専門医】
日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脳卒中の外科学会技術指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医
緩和ケア研修会修了者
AANS international membership

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神経内科

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