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最終更新日:2022年10月2日

しきそせいかんぴしょう色素性乾皮症

こちらの記事の監修医師
いなばクリニック
稲葉 岳也

色素性乾皮症

概要

色素性乾皮症とは、日光によって皮膚にしみや乾燥が生じる疾患です。また、高率で皮膚がんが生じます。これは、日光によって引き起こされます。通常は遺伝子の傷を修復するしくみを所有している中、これらに障害があるために、遺伝子の傷が修復されないまま残ってしまう遺伝性の疾患になります。原因遺伝子によって、A~G群・V型の8つの病型に分けられており、タイプにより様々な神経症状を来すこともある全身疾患になります。日焼けの症状が、出ることが多いとされていますが、日焼けの症状が出ないまま進行する場合もあります。日中の眩しさなど、紫外線による眼の障害も併発することもあり、日本においては、色素性乾皮症患者の6割以上に原因不明の神経症状が合併されています。2.2万人に1人の発症とされており、患者数は300~600人と推定されています。また、両親のうちの両方がこの疾患の遺伝子を持っている(保因者)場合においては、子供が発症する確率は1/4となっています。この疾患は、厚生労働省の特定疾患(指定難病)に指定されており、公費から医療費補助を受けることができます。

原因

色素性乾皮症の原因は、A~G群・V型の全ての原因遺伝子が判明しています。A~G群の遺伝子は、紫外線によって生じたDNA損傷修復における蛋白作成、V型の遺伝子は損傷乗り越え複製における蛋白作成をしています。これらが欠損していることにより、傷をもったままの遺伝子が増え、発癌に至ると考えられています。しかし、強い日焼け症状の出現や多形皮膚萎縮についての発症原因は不明であり、合併する神経症状の出現も未だ不明になっています。

症状

色素性乾皮症は、各群によって症状は異なります。共通する症状は、いずれも日光露光部の皮膚がん発症になります。すぐに皮膚がんが発症されるわけではなく、最初は露光部の皮膚にしみが増える・皮膚が乾燥するといったものになります。重症例では、生まれてすぐの日光浴にて5分程度の日当たりで、顔がパンパンに赤く腫れあがります。また、早い例では10歳頃から皮膚がんの発生がみられます。神経症状は、A群に多くみられており、早期に症状が出現する場合は、首のすわり・ひとり立ち・言葉の発達といったものが遅れる傾向がみられます。3~5歳頃からは、難聴・転びやすいといった症状が出始めますが、通常の意思疎通が取れるため、気付かれないまま過ごす場合もあります。また20歳頃には、高度な歩行障害・誤嚥等が頻発するようになります。いずれの病型おいても放置すると小児期から青年期に皮膚がんを発症します。

検査・診断

色素性乾皮症は、最少紅斑量(minimal erythema dose : MED)の低下・光線過敏症状・生後早期の著明な日焼けが見られた場合、この疾患を疑います。皮膚の真皮にある細胞(線維芽細胞)を用いて、不定期DNA合成能の低下・紫外線致死感受性試験などといった細胞学的修復能テストを実施します。そして、臨床症状・鑑別を進めた上で遺伝子診断によって確定診断となります。

治療

色素性乾皮症は、いまだに根本的治療は確立されていません。しかし、皮膚症状については、遮光を確実にすることで皮膚がん発症をかなり防げるようになっております。

予防/治療後の注意

色素性乾皮症は、遮光を行うことで皮膚がんの発症をかなり防げるようになってきています。家庭や学校などの日常生活空間において、紫外線カットフィルムを貼ったり、外出時には、帽子・衣類・サンスクリーン剤によって厳重な遮光を行ったりと様々です。生命予後を決めるのは神経症状であることが多いとされていますが、遮光を適切に行わなければ若年で皮膚がんの発症に繋がることになります。

こちらの記事の監修医師

いなばクリニック

稲葉 岳也

【専門】
耳鼻咽喉科、皮膚科、アレルギー疾患のレーザー治療等

【経歴】
慈恵医大卒
慈恵医大付属病院聖路加国際病院で勤務

【資格】
医学博士
日本耳鼻咽喉科学界専門医
日本レーザー医学会認定医
日本アレルギー学会専門医