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最終更新日:2022年9月6日

しんすぷりんとシンスプリント

こちらの記事の監修医師
医療法人社団恵光会 たかの整形外科
高野 勇人

概要

シンスプリントは、脛骨(すねの骨)の筋肉が炎症している状態であり、「脛骨過労性骨膜炎」とも呼ばれます。運動時および運動後に、ふくらはぎの中央から下1/3の内側を中心に、縦長に広い範囲で痛みが起こります。疲労が溜まったときに発症しやすく、陸上選手をはじめ、走ったり飛び跳ねたりすることの多いサッカーやバスケットボールの選手に多く起こります。女子の場合にはチアリーディングやエアロビクスでも多く起こります。特にシーズン初めや新人に起こりやすい疾患であることから、「初心者病」とも呼ばれます。好発年齢は12歳〜16歳の若い世代であり、女性の方が男性の約1.5〜3倍多く発症すると言われています。また、疲労骨折でもシンスプリント同様にすねの内側が痛くなりますが、治療方法が異なるため鑑別が重要です。

原因

シンスプリントはスポーツによる過労性障害です。ひらめ筋、後脛骨筋、長趾屈筋などの、足関節を底屈(つま先と足首を下に向ける動き)する筋肉や筋膜が繰り返し牽引されることにより、脛骨の骨膜に過剰な負担がかかり炎症を起こします。運動量や質の急激な変化が原因であり、初心者が急に走り始めたときや、経験者であっても急に激しい運動を再開したとき、競技者でもシーズン初期や走り込みの時期などに多く起こります。また偏平足や回内足など、足に形態異常があることも発症リスクとなります。また、くるぶしなど足関節の柔軟性の低下や、下腿(膝からくるぶしまで)の筋力不足も発生の要因となります。硬いグランドや路面で練習を行うことや、すり減ったかかとやクッション性の悪いシューズを使用することも要因となります。

症状

初期の段階では、運動後にだけ痛みを感じる程度ですが、次第に運動中も痛みを感じるようになり、やがてスポーツ活動や日常生活に支障をきたすようになります。症状がでる箇所は、すねの下にある筋肉(内側)あたりに痛み・腫れ(運動後などにジーンとする痛み)、すねの下の筋肉(内側)を押すと痛い・圧痛がある、安静にしていても痛みを感じて歩けなくなるなどの症状があります。walsh分類では、シンスプリントを痛みによって4つのステージに分類しており、ステージ1は「運動時のみ痛みがある」、ステージ2は「運動前後に痛みがあるが、スポーツ活動に支障はない」、ステージ3は「運動前中後に痛みがあり、スポーツ活動に支障をきたす」、ステージ4は「痛みが強くスポーツ活動は不可能」としています。ステージ3以上では運動を中止する必要があります。

検査・診断

シンスプリントは、症状と身体診察および、レントゲンや超音波画像診断、MRI検査などの画像診断の結果から診断されます。画像診断は疲労骨折との鑑別に有効です。

治療

シンスプリントの治療としては運動制限、下腿後面筋群ストレッチング、筋力強化などが行われます。本症はスポーツによる過労性障害なので、基本的には患部を休めることが必要です。初期段階であれば2週間程度の安静によりほとんどが改善します。さらに痛みに応じて、足底・足関節周囲の筋力強化やストレッチを行います。足底板を使用したり、クッション性の良いシューズ、踵の安定したシューズを履くことも有効です。

予防/治療後の注意

シンスプリントの予防のためには、下肢の柔軟性の改善や筋力強化が重要です。タオルギャザーやチューブによる筋力トレーニングも有効です。また水泳や自転車などは、足の衝撃と体重負荷が一度にかからずに筋肉強化ができるので効果的です。痛みが出た場合は無理して競技を続けず、症状が軽いうちに適切な処置を受けましょう。痛みに応じて運動を制限したり、安静期間を設けるなどの対策が必要となります。痛みに対しては患部のアイシングや外用薬の使用が有効です。練習量を急激に増やすと再発することもあるため、症状が落ち着いた場合も、いきなり元通りにするのではなく段階を経て徐々に復帰するようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団恵光会 たかの整形外科

高野 勇人

〇病院名 :医療法人社団恵光会 たかの整形外科
〇医師  :髙野 勇人
〇アクセス:東京都世田谷区桜3丁目16−7 ドウェルフジ 1F
〇診療科 :整形外科

<院長経歴>
平成15年 東京慈恵会医科大学医学部医学科 卒業
東京慈恵会医科大学附属病院 整形外科入局

平成17年 富士市立中央病院 整形外科

平成19年 東京慈恵会医科大学附属柏病院 整形外科
東京慈恵会医科大学附属柏病院 救急部

平成20年 社会保険 桜ヶ丘総合病院 整形外科

平成23年 駒沢病院 整形外科

平成26年 たかの整形外科 開院