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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)【イシャチョク】

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最終更新日:2022年7月6日

たのうほうせいらんそうしょうこうぐん多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

こちらの記事の監修医師
板橋中央総合病院
都築 まどか

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

概要

多嚢胞性卵巣症候群は月経周期の乱れ(稀発月経や無月経含めた月経不順)や、排卵異常による不妊などの症状が出現する疾患です。未熟で小さな卵胞が数多く産生され、それらが卵巣内にとどまってしまうことで発症します。男性ホルモンの分泌量が過剰となる場合があり、肥満(体格が良くなる)、にきびができる、声が低くなる、体毛が過度に増えるなどの身体的な特徴が現れたりします。性成熟期(20代〜45歳前後) の女性の5〜8%に認められる、決して珍しくはない疾患です。

原因

多嚢胞性卵巣症候群の原因は明らかになっていません。ホルモンバランスの乱れによって排卵周期に異常が生じた病態、と考えられています。遺伝的な影響も考慮されてはいますが、はっきりとした関連性を示すデータはありません。1)脳下垂体ホルモンである黄体ホルモン(LH)の過剰分泌により排卵がうまくいかなくなり、また、2)血糖値を下げるホルモンであるインスリンに対する身体の反応が不良となり(インスリン抵抗性が上がる)、男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌をコントロールする酵素の働きに異常が生じることで男性ホルモン分泌量が増加するのが主な病態です。

症状

多嚢胞性卵巣症候群の症状は思春期に現れ始めることが多く、年齢とともに症状がはっきりしたり増悪したりします。排卵障害があるため、適切なタイミングで子宮内膜が剥離脱落しませんので、自覚症状は主に、1)無月経あるいは稀発月経(2,3ヶ月~半年くらい無月経であることもあります)、または 2)不正性器出血(月経がいつまでもだらだらと続いて止血しない、月経の切れ目が分かりづらいため月経がすぐ来てしまうなど)として現れることが多いです。男性ホルモン値が高いケースでは、多毛や肥満、にきび、声質の変化(低くなる)、筋肉量が増える などが認められることもあります。また、排卵障害のためなかなか妊娠しづらい; インスリン抵抗性が上がるため高血糖や病的肥満などメタボリックシンドロームにつながり易い、という側面もあります。

検査・診断

問診や血液検査、超音波検査などが行われます。診断基準は、1)月経異常があること、2)超音波(エコー)検査によって、卵巣内に多数の未成熟未排卵の嚢胞(多嚢胞)が確認されること、3)血中ホルモン値の異常がある(男性ホルモン高値または黄体ホルモンLH高値かつ卵胞刺激ホルモンFSHが正常値であることです。ホルモン値については、月経あるいは出血がきていない時の測定であることが必要となります。また、ホルモン値についてはこれを厳密に満たさずとも、問診やエコー所見で限りなくPCOSに近いと判断して治療を行う場合もあります。副腎にできた腫瘍が過剰な男性ホルモンを産生した結果としての二次的なPCOSである場合があるため、卵巣のみではなく副腎の超音波検査を行うことも大切です。また、糖尿病含めたメタボリックシンドロームの諸症状についても定期的検査を行う必要があります。

治療

1)妊娠を希望している場合は:排卵誘発剤の投薬や、腹腔鏡下卵巣多孔術(卵巣表面に孔をあけて排卵しやすくする腹腔鏡下手術)を行います。インスリン抵抗性(耐糖能異常といいます)がある場合はそれを改善する内服薬を投与します。2)早期妊娠を希望しない場合は:無月経状態を長期間放置すると、子宮体癌のリスクが上昇しますので、ホルモン剤を使用してホルモンのバランスを整える治療が実施されます。(低用量ピルなどを服用し、定期的に月経を来させる治療)すでに糖尿病を発症している場合には糖尿病の治療を行います。男性ホルモン過剰分泌の症状(ニキビや体毛の増加など)があれば、それら患者さんの症状に合わせた治療も必要となります。こうした男性的な身体的症状によって、精神的なストレスを抱えてしまうことも少なくなく、治療で投薬したホルモン剤の影響によって精神面が一時的に不安定になる場合もあるため、精神的なケアやサポートも合わせて行っていくことがとても重要です。

予防/治療後の注意

はっきりした原因が特定されていないため、多嚢胞性卵巣症候群の予防を行うことはできません。症状には個人差が大きく、比較的軽症例のケースも少なくありません。しかし、1)子宮内膜増殖症や子宮体癌リスクが高まる2)高血糖・肥満からメタボリックシンドロームにつながる(高血圧、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血など心血管系の疾患 を発症するリスクが高まる→将来のQOLが低下する)。 ことが知られており、こうした状態は、時間経過・経年とともに徐々に悪化していきますので、これらの疾患発症を予防・回避するための方策をたてて実行する(生活習慣や食生活改善を長期間にわたり行い、人間ドックや健康診断での定期チェックをおこなう)ことが何よりも重要になります。

こちらの記事の監修医師

板橋中央総合病院

都築 まどか

〇アクセス:東京都板橋区小豆沢2-12-7
〇診療科 :産科 婦人科一般

【専門医認定/資格等】
日本産科婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
日本産科婦人科学会 女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラム修了
厚生労働省 臨床研修指導医養成講習会修了
厚生労働省 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
公益財団法人 日本医療機能評価機構 CVC研修会修了

治療に適した診療科目

産婦人科

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