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最終更新日:2022年4月12日

うぃりあむずしょうこうぐんウィリアムズ症候群

こちらの記事の監修医師
小児科医・新生児科医
今西洋介

概要

ウイリアムズ症候群とは、遺伝子の異常によって生じる希少疾病の一種であり、指定難病にも登録されている疾患です。染色体7q11.23微細欠失部分を原因とするということが分かっていますが、根本的な治療方法が見つかっていないのが現状です。症状としては、大動脈弁上狭窄及び末梢性肺動脈狭窄を主徴とする心血管病変、特徴的な妖精様顔貌、精神遅滞、新生児高カルシウム血症、成長障害など、様々なものが合併します。出現した症状に対して治療を行っていく対症療法が、基本的なウィリアムズ症候群の治療となります。特に大動脈弁上狭窄や末梢性肺動脈狭窄など、重要血管の狭窄を呈する可能性があるため、心血管系の定期的なフォローアップがとても重要になります。発症頻度は約2万人に1人ともいわれています。

原因

ウイリアムズ症候群は、染色体の異常を原因として発症する遺伝子疾患です。第7番染色体(染色体7q)の異常がウイリアムズ症候群の原因となることが知られており、FISH法とよばれる特殊な検査によって、この遺伝子の変異(異常)を検出することができます。遺伝的な関与も報告されており、両親のどちらかがウイリアムズ症候群を発症している場合には、その子供は50%の確率でウイリアムズ症候群を発症すると考えられています。

症状

ウイリアムズ症候群の症状は多種多様です。成長障害や精神発達の遅れ、妖精様顔貌と呼ばれる特徴的な顔(太い内側眉毛、眼間狭小、内眼角贅皮、腫れぼったい眼瞼、星状虹彩、鞍鼻、上向き鼻孔、長い人中、下口唇が垂れ下がった厚い口唇、開いた口など)、社交的な性格、視空間認知障害、高カルシウム血症などが出現します。また、大動脈弁上狭窄、末梢性肺動脈狭窄などの心血管病変が出現する可能性もあり、致死的な心血管疾患を合併する場合もあります。その他には、腎動脈狭窄や泌尿器疾患(尿路結石や尿路感染症)などを発症しやすくなるという特徴もあります。心血管疾患から性格まで、心身に症状が出現する可能性があるため、全身的なフォローアップが重要となります。

検査・診断

ウイリアムズ症候群は、成長障害や精神発達遅延、妖精様顔貌、高カルシウム血症などによって発見されることが多いです。ウイリアムズ症候群が疑われた場合には、原因である染色体の異常を検出するためには、FISH法やマイクロアレイ染色体検査と呼ばれる特殊な検査が必要となります。全身の臓器機能や機能異常を検査するために、CTやMRI、心電図検査など、必要な検査を組み合わせて実施していきます。

治療

ウイリアムズ症候群に対する根治的な治療方法はなく、症状や出現する可能性のある症状を未然に防ぐための治療(予防)が基本となります。高カルシム血症や各種臓器への治療はもちろんのこと、心血管の狭窄などを早期に発見するための定期的なフォローアップ検査がとても重要です。また、合併症だけではなく、成長障害や精神発達遅延などへのサポートも重要となります。視空間認知障害(空間を上手く把握できない)が多くの症例で認められるため、他人への接触や交通事故などのリスクが高くなります。社会生活を送る上で必要なサポートを行うことも大切です。

予防/治療後の注意

ウイリアムズ症候群を未然に予防することはできませんが、ウイリアムズ症候群と診断された患者さんに対して定期的なフォローアップを行うことで、重篤な心血管疾患などの発症を早期に発見して予防することは可能です。また、社会生活や集団生活を送る上での長期的なサポートが必要になる場合も多く、様々な診療科やカウンセラー、日常生活をサポートする人々などが力を合わせて疾患の治療を行うことが重要です。

こちらの記事の監修医師

小児科医・新生児科医

今西洋介

【経歴】
2006年富山大学医学部卒業

石川県立中央病院 新生児科勤務
りんくう総合医療センター 新生児科勤務
大阪府医療センター 新生児科勤務

講談社モーニング連載漫画「コウノドリ」のドラマの医療監修を務める。
2022年4月ヘルスプロモーション会社を起業。

現在は一般社団法人チャイルドリテラシー協会の代表理事も務める。

【資格】
日本小児科学会専門医
日本周産期新生児学会新生児専門医