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最終更新日:2022年10月14日

きしょうびょう気象病

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

概要

気圧や気温などの気象変化によって引き起こされる心身の不調や持病の悪化などさまざまな症状の総称を「気象病」と呼びます。その中に「天気痛」という天気によって発症したり消失する痛みがあります。痛みの部位はさまざまで頭痛・首や肩の痛み・関節痛・交通事故など過去の怪我や手術による傷痕の痛みなどが気圧が低くなることで悪化します。日本では約1000万の人が気象病に悩んでいると考えられており、比較的発症頻度が高い病気です。発生機序は明らかになっていませんが、私たちの体は常に気圧と気温に晒されており、それらが急激に変化することで体内のバランスが崩れてしまい、全身に様々な症状を引き起こすと考えられています。

原因

気圧と気温の変化により自律神経が乱されることで気象病は起こります。自律神経には心身の活動を高め、痛みにも関与する「交感神経」と心身を休める「副交感神経」があります。身体の平衡感覚に関わる"内耳の気圧センサー"が気圧の低下を感知すると交感神経が刺激され痛みが生じやすくなります。また急激な気温の低下でも交感神経が刺激され頭痛などが引き起こされます。さらに、冷気に晒された全身の血管は収縮するため血行が悪くなり、肩や首が凝りやすくなります。前述した体の平衡感覚を司る内耳への血流も低下するため、めまいや耳鳴りなどの症状を引き起こすことも少なくありません。

症状

気象病では、身体症状や精神症状など様々な症状が出るのが特徴です。自律神経の乱れにより、目眩や動悸などの自律神経失調症状、気分の落ち込み、集中力・注意力の低下などの精神症状が引き起こされます。また急激な気圧の低下により血液中の水分が血管の外に押し出され浮腫が現れます。それが誘因となり、痛みの原因となるプロスタグランジンやヒスタミンなどの物質が産生されることにより、頭痛や関節痛といった症状があらわれます。気管支喘息の悪化も気圧の急激な低下によって起こります。これは、気管支に加わっていた圧力が低下することにより、気管支内の圧力が低下して気管支内部が狭くなるためです。

検査・診断

気象病は気候の変化による諸症状のことであり、多くは一時的な頭痛やめまいなどの症状が生じるのみで“病気”と呼ぶような重篤な変化は見られません。このため、医療機関では血液検査や画像検査などの一般的な検査は行わない場合がほとんどです。しかし、日常生活に支障をきたすほど強い症状があるケースや脳卒中・心筋梗塞・気管支喘息の悪化など明らかな病気として現れたケースではそれぞれの症状に合わせて頭部CT検査、血液検査、心電図検査などが行われます。

治療

天気によって引き起こされるものなので根本的な治療はなく、それぞれの症状に合わせた“対症療法”が主体となります。一方で気象の変化によって強く体調の変化が起こる場合は、事前にそれらの症状を予防するための薬物療法などが行われます。具体的には内耳の血流を改善する抗めまい薬や体内の水分循環を改善する漢方薬を使用します。これらは乗り物酔い対策としてよく処方されるものです。また、ストレスや疲れ、睡眠不足など不規則な生活習慣も気象病による自律神経の乱れなどを助長することがあるので、発症を予防するための生活習慣改善も大きなポイントです。

予防/治療後の注意

予防としては普段から自分の体調と気圧の変化を把握することが重要です。いつ来るかわからない痛みへの不安やストレスが痛みを増悪させる為、天気予報に注目して天気と自分の痛みの関係を知っておきましょう。気圧の変化は天気に左右されます。晴天時は高気圧、雨天時は低気圧となり、さらに、雷雨・豪雨・台風などでは気圧はかなり下がります。悪天候など気圧の変動が事前に予想される場合は、なるべく外出を控えた方がよいでしょう。雨や台風が多い季節では事前にめまいの薬や鎮痛薬などを備えることも有効です。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)