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最終更新日:2022年11月29日

ぎょうちゅうしょう蟯虫症

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

概要

蟯虫症とは、人間の腸(主に盲腸)に寄生する寄生虫です。寒冷地から温暖地まで世界中に広く存在し、およそ10億人が感染しているとされています。体長はオスで2~5mm、メスで8~13mmの細長いもので、人にしか寄生せず、そして人と人との間で広がります。肉眼で見ることは出来ず、虫卵が口に入ると約2週間から3週間ほどで成虫となり、メスは30~50日間で産卵を開始します。夜間に腸管を加工し早朝に肛門周囲に産卵します。虫卵を産み付けられた時点で既に発育しており、数時間で卵の中で幼虫となって感染可能となり、数週間から数カ月の感染力を有します。小学生や幼児に好発するために以前は、学校健診として小学3年生以下の児童に寄生虫卵検査が義務つけられていましたが、平成26年度の東京都内での陽性率が0.08%まで低下したため、平成27年度で廃止となっています。

原因

蟯虫症の原因は、人の睡眠中にメスが肛門周囲で産卵し、その周囲に痒みを感じかくことで、虫卵が手指や爪の間に付着し感染が拡大します。そして、下着、寝間着、畳や床の上に散らばり、それらが何かの拍子に空中に舞い上がり吸い込むことで感染します。また、家庭内にばらまかれた虫卵は、身体や衣服につくことで、保育園や会社などに運ばれ、人から人への感染に繋がります。

症状

蟯虫症は、夜間の激しい痒みが主な症状になります。また、痒みによって落ち着きがなくなったり、搔き続けることで肛門周囲にかき傷や皮膚炎を引き起こしたりします。子どもの場合は、肛門周囲の痒みのために寝不足や夜泣き、記憶力低下などを引き起こすこともあります。また、感染したとしても少数の蟯虫の場合では、ほとんどが無症状です。主に盲腸に寄生するため、間違って虫垂に入った場合には、虫垂炎を発症することもあります。女性の場合では、産卵するために肛門外に出たメスが膣・子宮・卵管・腹腔に間違って侵入することもあります。

検査・診断

蟯虫症は、蟯虫検査用セロファン紙を肛門に押し付け顕微鏡にて虫卵がないか調べる、肛囲検査法があります。起床直後の排便前に実施し、検出率向上のために3日連続しての実施が望ましいとされています。

治療

蟯虫症は、ピランテルパモ酸塩(商品名:コンバントリン)という駆虫薬を内服治療します。駆虫薬は、成虫に対し有効であり、幼虫には無効になります。そのため、1回目の治療時点で残った幼虫が成虫となる2週間後に同じ内服治療を繰り返すことで治療効果を高めます。1回の内服治療で90%の駆虫率であり、これを2週間あけて2回内服治療することで根治します。しかし、陽性者本人だけ治療しても、家族内に感染者がいると、再感染を繰り返します。また、陽性者以外の家族を検査しても偽陰性といった、陽性に出ない場合もあります。その為、家族全員の一斉駆虫が必要となります。

予防/治療後の注意

蟯虫の虫卵には、通常の消毒液は効果がないとされています。しかし、乾燥と熱に弱いとされているため、熱湯消毒や直射日光による乾燥が有効となってきます。また、爪を短く切り清潔な状態を保つようにし、食前やトイレあとの手洗いや朝の入浴、毎日の下着交換も予防になります。そして、お風呂場の脱衣所やトイレ等には蟯虫が落ちていることが多いとされているので、掃除機でしっかり掃除をしましょう。治療期間中は、毎朝お風呂にて肛門部を洗い流すようにしましょう。家族内感染や再感染を防ぐためには、徹底的に家庭内清掃を行うことが大切です。電気のスイッチ・水道の蛇口・冷蔵庫の扉・ドアノブ・トイレのふたや水栓レバーといった、朝起きて手を洗う前に触れるような部分の清掃を徹底し、テレビやリモコンなど家族が共有するようなものの拭き取りも大切になってきます。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)