最終更新日:2021年12月14日
だいちょうけいしつしゅっけつ大腸憩室出血
まとめ
大腸憩室出血とは、大腸壁が大腸内の圧力で外側に押し出されて袋状の憩室となり、そこから出血した状態を指します。発症原因は抗血栓薬の服薬、食の欧米化による食物繊維の摂取不足とされ、高齢者の発症が増加しています。
この病気の原因
便秘などにより大腸の内圧が上昇すると腸管壁の弱くなった部分が飛び出し袋状になるのが憩室でそこから出血をおこします。憩室ができる箇所は血管が通る場所に多いため出血して、下血します。高齢者、特に抗血小板薬や抗凝固薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤を服薬中の人が発症しやすいです。
主な症状
突然下血があり、鮮血や赤黒い出血が多量にみられます。どの憩室からの出血かを調べるには検査を行っても困難で、自然に止血することも多くありますが、再出血することも多く、出血が大量の場合は輸血が必要な場合もあります。
検査/診断の方法
憩室からの出血がみられた場合は、血液検査にて造影CT検査や内視鏡検査を行います。CT検査にて造影剤の血管外漏出が認められたら内視鏡検査を行い、出血した箇所を調べ止血を行います。大腸がんなどの他疾患の鑑別診断を行うこともあります。
主な治療方法
出血量が少なく自然に止血するような場合は絶食して安静にして様子をみることもあります。内視鏡にて憩室の出血箇所が分かった場合は内視鏡によりクリップで挟む、あるいは結紮法といって憩室部分を吸い込んで止血します。出血が大量の場合は腹部血管造影などで出血した箇所を確認のうえ、動脈塞栓術による止血を行うほか、手術により出血した腸管を切除します。
治療後に注意すべき点/予防対策
有効な予防法はみつかっていません。非ステロイド性消炎鎮痛剤は胃腸の粘膜障害があり、発症しやすくなるため、一度発症した人はアセトアミノフェンなどの鎮痛剤に変更できるか医師に相談します。肥満や内臓肥満は発症リスクとなります。便秘や下痢のある人も発症しやすいので、野菜や食物繊維を十分に摂り、適度な運動をしましょう。