最終更新日:2021年12月14日
だいたいこっかぶこつえし大腿骨顆部骨壊死
まとめ
大腿骨の内側の顆部に骨壊死が生じる疾患です。発症すると激痛を伴うことがあります。詳しい発症メカニズムは不明ですが、60歳以上の中高年女性の発症が多いです。痛みが強くなると歩行困難になり、正座ができなくなるなどの症状がみられます。
この病気の原因
大腿骨顆部の骨髄には血管の経路が限定されるためと考えられます。ステロイド剤の影響により発症することもありますが、原因不明の場合もみられます。60歳以上の女性に多く発症する理由として、高齢および閉経によるホルモン分泌の変化により骨が脆弱になり骨折するのではないかと推測されていますが、詳しい発症メカニズムは不明です。
主な症状
発症初期は膝の痛みが強いことが多いですが、エックス線検査では変形性膝関節症との鑑別がつかないことがあります。進行すると骨の壊死した部分が陥没を起こし、激痛を伴い、歩行困難となり、変形性膝関節症に進行することがあります。
検査/診断の方法
エックス線検査で骨の状態を確認しますが、発症1~2カ月ではエックス線では異常が確認できないため、変形性膝関節症と間違われることもあります。エックス線では内顆の関節面に変化がみられ、関節軟骨の舌の骨が透けてきて骨硬化像が確認できます。診断にはMRI検査が有用です。
主な治療方法
保存療法と手術療法があります。症状の進行度、壊死の大きさ、年齢を考慮して治療法を選択します。壊死の範囲が小さい場合、痛みが強い時期には消炎鎮痛薬の内服や湿布、ブロック注射を行います。筋力をつけ、可動域を訓練するための自宅でのリハビリ方法を指導します。骨粗鬆症治療薬を用いる場合もあります。歩行時の足にかかる負担を減らすために靴に中敷きを入れて対策します。症状が進行し、壊死が進んでいる場合は手術療法となり手術治療を行います。手術には関節を人工骨に置換する人工膝関節置換術のほか、関節を温存する手術もあります。関節鏡舌滑膜切除術では痛みの原因となる滑膜組織や半月板を取り除く手術で、高位脛骨骨切り術は脛骨を切り角度を変える手術です。
治療後に注意すべき点/予防対策
手術治療後は歩行訓練のリハビリを行います。特に人工膝関節置換術は末期症状の場合に行われるため、手術を受けるのは高齢者のことが多く、リハビリには時間がかかることが多いです。膝が痛む前に対策するようにしましょう。膝に負担をかけないように和式から洋式の生活に変え、正座は避け、膝を冷やさないようにします。