オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

最終更新日:2022年2月24日

でんぐねつデング熱

こちらの記事の監修医師
高座渋谷つばさクリニック
武井智昭 院長

概要

デング熱はデングウイルスによる感染症であり、デングウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)が媒介となります。ヒトからヒトに直接感染することはありません。ウイルス感染後、1週間程度の潜伏期間を経て、38度を超える発熱、激しい頭痛や筋肉痛、発疹が発現します。しかし、デング熱は比較的予後良好な感染症であり、通常1週間程度で症状が改善し、解熱直後に点状出血が生じることが多いです。現在のところ、デング熱には特効薬などの有効な治療方法はなく、症状や重症度に応じた対処療法が行われます。ワクチンなどの予防方法も存在しないため、熱帯地域などの流行域へ渡航する際には、長袖や長ズボンを着用し、蚊に刺されないように注意するというのが現実的な予防策となります。

原因

デング熱の原因となるデングウイルスは、「蚊媒介性」という感染経路をもっており、ネッタイシマカ・ヒトスジシマカと呼ばれる蚊がウイルスの媒介となります。ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖します。その後、ウイルスを持った蚊が他者を吸血することでウイルス感染が成立し、感染が拡大していきます。ヒトからヒトに直接感染することはありません。東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多く、アフリカやオーストラリアでもデング熱の発症が報告されています。日本では、2014年に東京都立代々木公園に関連する患者が報告されています。

症状

デングウイルスの潜伏期間は2日から7日間といわれており、デングウイルス感染者の2から4割にデング熱の発症がみられます。発症後は38度以上の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹などが出現します。しかし、デング熱は体内からウイルスが消失する(約1週間程度)と症状が消失するため、比較的予後良好な感染症です。ごく稀に重症化して、出血症状、多臓器不全によるショック症状を呈する、「重症型デング熱、デング出血熱」と呼ばれることがあります。

検査・診断

デング熱は、感染症法において、都道府県知事に届け出の義務がある四類感染症に分類されています。デング熱を診断する方法として、 「PCR法によるデングウイルスの検出」 、「非構造蛋白抗原の検出」、「IgM抗体の検出」などの検査方法が行われます。流行地域(熱帯・亜熱帯地域)への海外渡航歴がある発熱患者で、白血球や血小板の減少がみられる患者ではデング熱を疑いますが、その他感染症(ジカウイルス感染症など)との鑑別は困難であるため、感染症指定医療機関での検査や治療が推奨されます。

治療

デング熱に対する特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。関節の痛みや発熱に対しては、解熱鎮痛剤を使用して対応します。解熱鎮痛剤使用時の注意点としては、アスピリン等のサリチル酸系の解熱鎮痛剤の使用することで出血傾向が悪化する可能性があるため、アセトアミノフェンの使用が推奨されています。アスピリンの投与は、出血傾向増悪やライ症候群発症の可能性があるので禁忌です。重症例に対しては、ショックなどに迅速に対応できる体制(集中治療室など)での加療が必要になります。血漿漏出などの症状が出現した場合は、血漿漏出による循環血液量の減少を輸液により補うことが治療の中心になります。

予防/治療後の注意

デングウイルスに対して日本国内で利用可能なワクチンはありません。そのため、流行地域へ渡航する際には、蚊に刺されないように注意するというのが現実的な予防方法となります。長袖・長ズボンの着用や虫除けスプレーを使用するなど、できる限り対応しておくことが大切です。とはいえ、たとえ流行地域であっても、全ての蚊がウイルス持っているわけではありませんので、渡航中に蚊に刺されたからといって、過度に不安を感じる必要はありません。心配な場合は、帰国した際に空港等の検疫所で相談する、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等に相談するなどの対応が勧められます。

こちらの記事の監修医師

高座渋谷つばさクリニック

武井智昭 院長

〇経歴
2002年    慶應義塾大学医学部卒業
2004年    立川共済病院勤務
2005年    平塚共済病院小児科医長として勤務(内科)
2010年    北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室兼任
2012年    横浜市内のクリニックの副院長として勤務 (スマイルこどもクリニック)
2015年    小谷クリニック 内科・小児科(訪問診療部)部長
2017年    「なごみクリニック」内科・小児科・アレルギー科 院長
2020年4月~ 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任

〇専門医・認定医
・小児科専門医・指導医
・日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)
・臨床研修指導医(日本小児科学会)
・抗菌化学療法認定医
・プライマリケア学会認定医
・認知症サポート医

治療に適した診療科目

内科・感染症内科