オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

最終更新日:2022年3月7日

せきずいそんしょう脊髄損傷

こちらの記事の監修医師
フェリシティークリニック名古屋
河合 隆志

概要

脊椎の過屈曲、過伸展や、脊椎骨折、脱臼などにより脊髄が損傷される病態です。脊髄損傷では、頚髄、胸髄、腰髄の順に多いとされています。高齢者では、骨密度が低下し、脊椎の圧迫骨折のリスクがあります。特に閉経後の女性は骨密度が低下しやすく、骨粗鬆症発症の可能性があがるため注意が必要です。しかし、脊椎の圧迫骨折のみで脊髄損傷に至ることは極めて稀です。交通事故やスポーツによる損傷が多く、一度損傷すると再生は難しいとされています。今後の再生医学の発展次第では、損傷部位の再生も可能となる日が来るかもしれません。

原因

脊髄損傷の原因は、外的要因が多く、その際に脊椎が骨折または脱臼などを起こした場合に、損傷する可能性があります。外的要因の多くは車・バイクにおける交通事故や地震、火事などにより重いものの下敷きになってしまう2次災害、スポーツによる接触プレーなどさまざまです。また、脊柱管狭窄症や後縦靭帯骨化症などの疾患がある場合、大きな衝撃がなくても、転倒をきっかけに脊髄損傷を起こすこともあります。

症状

損傷箇所によって症状は異なります。主な症状としては、上肢の麻痺、下肢の麻痺などがあります。他にも膀胱機能が障害され、排尿障害または尿閉が発現することもあります。麻痺域の発汗は減少し、麻痺域関節周囲に異所性骨化が生じやすくなります。頚髄の損傷では、異常な体温上昇が認められることがあります。他にも、完全麻痺により動けなくなった場合には、褥瘡のリスクが高まります。自分自身では体位交換を行えないため、適度な除圧をはかる必要があります。また、褥瘡は脊髄ショック期に最も発生しやすいと言われています。脊髄ショック期とは、受傷後の急性期に脊髄損傷レベル以下のすべての反射機能が一過性に消失する現象のことです。これは不完全損傷でも起こるため脊髄ショック期に患者の機能予後を判定することは困難です。ショック期を離脱すると痙性麻痺や腱反射亢進に移行します。

検査・診断

X線やCTでの検査を行い、脊椎の脱臼・骨折などの損傷具合を確認したり、MRIによる検査を行い、脊髄浮腫、脊髄軟化などの状態を確認します。また、これらの検査により、手術の適応であるか、手術の方法は何が適切かなど、情報を集め吟味します。損傷部位によって症状が異なることから、全身の症状を確認し、麻痺の程度、上半身、下半身、左右差などをチェックします。X線、CT、MRIの結果と合わせて、脊髄損傷の発生箇所や損傷の程度を総合的に判断します。

治療

急性期の治療では、安静かつ頚部の固定などを行い、脊柱を水平に保つようにします。他には、副腎皮質ステロイドの投与を行います。炎症を抑え、脊髄の圧迫を取り除きます。重症例の初期治療として、かつてはメチルプレドニゾロンの大量投与が行われていましたが、現在はあまり推奨されていません。脊髄除圧術などの手術を行うこともあります。いずれの場合も褥瘡発生には注意をし、体位変換を行います。また、排尿が障害されているケースもあるため、膀胱留置カテーテルを使用し、排尿管理をします。慢性期では、機能訓練を行ったりします。膀胱留置カテーテルが入っている場合は、なるべく早期に間欠的導尿へ移行を目標にします。長期の尿道カテーテルの留置は、尿路感染症、膀胱結石、尿道皮膚瘻などの合併症の危険があるため、可能な限り排尿の自立を目指します

予防/治療後の注意

脊髄損傷の予防は難しいです。理由としては原因にあり、多くの場合が交通事故やスポーツのケガなど、外的要因にあるからです。高齢者の場合、転倒にも注意が必要です。薬を飲んでる人は、薬によってふらついたりしやすい薬もあるので気をつけましょう。治療後は、損傷範囲を広げないようしっかり固定することが大事です。また麻痺の程度にもよりますが、リハビリテーションが有効なので継続して行いましょう

こちらの記事の監修医師

フェリシティークリニック名古屋

河合 隆志

【経歴】
1975年、愛知県出身。医学博士。
日本整形外科学会専門医
日本抗加齢医学会専門医

慶應義塾大学理工学部卒業
同大学院修士課程修了
東京医科大学医学部卒業
東京医科歯科大学大学院博士課程修了

痛み研究の最先端をいく愛知医科大学学際的痛みセンター勤務後、
米国のペインマネジメント&アンチエイジングセンターほか研修

2016年、フェリシティークリニック名古屋を開院
原因不明の痛みに悩まされている患者さんの「最後の砦」を自負し、
対処法でなく痛みを根本的に治す治療を試みている。

著書に「見るだけでしつこい痛みがすーっと消えるすごい写真」
(アスコム)、「腰痛がラクになる酸素たっぷり呼吸法」(笠倉出版社)など。

治療に適した診療科目

整形外科・リハビリテーション科