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最終更新日:2022年10月2日

じかういるすかんせんしょうジカウイルス感染症

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

ジカウイルス感染症

概要

ジカウイルス感染症は、ネッタイシマカ・ヒトスジシマカなどヤブカ属の蚊によって媒介されるウイルス感染症です。アフリカ・中南米・アジア太平洋地域で流行していますが、日本での感染例はなく、2014年に3例の輸入例があるのみです。ジカウイルスは感染しても80%は症状がみられず、症状があっても軽度です。また、性行為・輸血・臓器移植などによっても感染します。さらに妊娠中に母体から胎児へ感染し、新生児に小頭症など先天性の異常をおこすことがあります。ですから、妊娠している女性ならびに妊娠の可能性がある女性は流行地への渡航を避けるべきです。やむをえず流行地へ渡航する場合は蚊に刺されないように気をつけてください。流行地へ渡航して帰国後、6カ月間は性交渉を控えるか、コンドームを使った性交渉が推奨されます。

原因

ジカウイルス感染症は、ヒトスジシマカ・ネッタイシマカなどヤブカ属の蚊によって媒介されるウイルス感染症です。ヒトスジシマカは日本にも生存し、ジカウイルスをもった蚊に刺されることで感染します。ヤブカは日中とくに早朝と夕方に活動することが多いようです。ジカウイルス感染症は、アフリカ・中南米・アジア太平洋地域で流行しており、日本国内での感染例はみられていません。日本では2014年に輸入例が3例あるのみです。ジカウイルスは、性行為・輸血・臓器移植などによっても感染し、妊娠中に母体から胎児へ感染することもあります。ただし、症状のないジカウイルス感染者から感染するかどうかはわかっていません。

症状

潜伏期間は3~14日であり、ジカウイルスに感染しても80%は症状がみられず、症状があっても軽度です。症状としては、発熱・皮疹・結膜炎・筋肉や関節の痛み・身体のだるさ・頭痛がみられます。また、嘔吐・腹痛・下痢をみることもあります。通常はこういった症状が2∼7日続くのみです。ただし、まれにギランバレー症候群・脊髄症・脊髄炎を合併する例があり、基礎疾患があるヒトがかかると死に至ることもあるため注意が必要です。さらに問題になるのは、妊娠中に感染すると流産や早産の原因となったり、新生児に小頭症などの先天性の異常をおこしたり(先天性ジカウイルス感染症)することです。先天性ジカウイルス感染症の発症確立は5~15%と推定されています。脳の発達異常・目や耳の異常・四肢筋肉の緊張などをおこします。

検査・診断

症状と流行地への渡航歴からジカウイルス感染症を疑い、血液・尿・精液の検査で診断します。検査方法としては、PCR法によるジカウイルス遺伝子検出、IgM抗体検査などの血清学的検査などがあります。デング熱・チクングニア熱との症状が似ているため、鑑別目的で検査が必須です。

治療

ジカウイルス感染症の治療法はなく、対症療法をおこないます。十分に休み、水分をとり、脱水症状が強い場合は輸液をします。熱や痛みに対して消炎鎮痛薬を投与することがあります。

予防/治療後の注意

ジカウイルス感染症の予防のため、流行地へ渡航する場合は蚊に刺されないように気をつけてください。肌を露出しない明るい色の服を着て、網戸あるいはドアや窓をなるべく閉めるようにします。DEETを含む虫よけ剤・殺虫剤や、昼寝の時は蚊帳を使用するのも効果的です。妊娠している女性ならびに妊娠の可能性がある女性は流行地への渡航を避けてください。やむをえず渡航する場合は前述の対策が必要です。また、男性の場合、流行地の妊娠女性および妊娠の可能性がある女性との性交渉は、コンドームを使用するか性交渉を控えてください。男女とも、流行地へ渡航して帰国後6カ月間は性交渉を控えるか、コンドームを使った性交渉が推奨されます。さらに流行地から渡航した妊娠女性の場合は、妊娠中の性交渉を控えるか、安全な性交渉をおこなうことが推奨されています。WHOはジカウイルス感染症の制御対策を取り組んでおり、日本においては感染症法で4類感染症に指定されています。ジカウイルスに対するワクチンはありません。ヤブカの発生を防ぐため、水たまりをなくす、貯水槽にふたをする、植木鉢に残った水をすてるといった対策が重要です。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)