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最終更新日:2022年10月2日

れじおねらしょうレジオネラ症

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

概要

レジオネラ症は、レジオネラ・ニューモフィラを代表とするレジオネラ属菌という細菌が原因で起こる感染症です。主な病型として、「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」が知られています。ポンティアック熱は一過性で自然に改善することが多い一方で、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」では、急激に重症化して死亡することもあります。レジオネラ属菌は、河川や湖水、温泉や土壌などの自然界に広く存在している細菌です。自然界でレジオネラ属菌だけが多量に増えるということはありませんが、循環式浴槽や加湿器、貯湯槽などの人工的な環境下で、衛生的な維持管理がされていない時などに、こういった設備の中でレジオネラ属菌は繁殖します。こうしてレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(細かい水滴)を吸引してしまうことで感染しますが、人から人へ感染した事例は報告されていません。日本での発生例は一年中みられますが、特に7月と9月に多く、温泉への入浴や旅行と関連してみられることがあります。衛生管理など適切な対策を行い、レジオネラ症の発生を防止することが重要です。

原因

レジオネラ症は、レジオネラ属菌に汚染された水のエアロゾルを吸入したり、浴槽内で溺れるなどして汚染水を気管に吸引・誤嚥することで感染します。また、レジオネラ属菌で汚染された腐葉土の粉じんを吸い込んだことが原因と推定される感染事例も報告されています。人から人へ感染した事例は報告されていません。元々レジオネラ属菌は自然界に広く存在している細菌です。自然界でレジオネラ属菌だけが多量に増えることはありませんが、消毒されていない水や、入れ替わりの少ない水、また水温 20℃以上の人工環境下での水などで増殖するおそれがあります。循環式浴槽や冷却塔、加湿器、貯湯槽や水景施設などでレジオネラ属菌が見つかっています。

症状

レジオネラ症には主に2つの病型があり、「ポンティアック熱」と「レジオネラ肺炎」が知られています。ポンティアック熱は一過性で自然に改善することが多く、発熱や咳、頭痛、筋肉痛などの症状があらわれますが、一般的に軽症です。潜伏期間 は1〜2日(平均38時間)です。一方で問題となるのは、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」です。高熱や、咳、痰、呼吸困難などの呼吸器症状、また頭痛や吐き気、筋肉痛、下痢、意識障害、精神神経系症状などの症状もみられます。軽症例もありますが、適切な治療がなされなかった場合には急速に症状が進行し、生命に関わることもあります。レジオネラ肺炎の潜伏期間は2〜10日(平均4〜5日)です。

検査・診断

レジオネラ症は、培養、尿中レジオネラ抗原検査、遺伝子検査(LAMP法)や血液中の抗体検査などにより診断が可能です。ただし尿中レジオネラ抗原検査は、過去に感染したことがある場合にも検査結果が陽性となることがあるため、検査結果が陽性であったとしても、必ずしも現在の感染を示しているわけではありません。

治療

レジオネラ肺炎は、マクロライド系、ニューキノロン系やリファンピシン等の抗菌薬を使用して治療することができます。有効な処置がなされないと重症化することもあるので、早期診断と早期治療が重要です。一方でポンティアック熱は自然に軽快することが多く、抗菌薬を使用しなくても数日以内に改善します。

予防/治療後の注意

レジオネラ症を予防するためには、感染源でのレジオネラ属菌の増殖を防ぐことが重要です。お風呂のお湯は適宜取り替え、清掃を行い浴槽を清潔に保ちましょう。また、浴槽に入る前には、体の汚れを落としてから入るようにしましょう。 加湿器の水はこまめに取り換え、水道水など衛生的な水を使用しましょう。また定期的にノズルの清掃やタンクの洗浄を行い、加湿器を使用しない期間は水を抜いて清潔を保つようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)