最終更新日:2021年12月14日
しんせいじいっかせいたこきゅう新生児一過性多呼吸
まとめ
新生児一過性多呼吸とは、新生児の呼吸障害のひとつです。胎児は肺のなかの肺胞が肺水で満たされていますが、分娩時に産道を通る際、胸が圧迫されて排出されたり、毛細血管から吸収されます。この肺水の排泄・吸収がうまくいかず、肺に羊水が残っているため、肺に十分な空気を送りこめずに十分な過呼吸になる状態となります。
この病気の原因
早産、陣痛がおこる前に行われた帝王切開、骨盤位経腟分娩、新生児仮死などが原因で引き起こされます。早産の場合は肺胞が未成熟であること、帝王切開の場合は産道を通らないことが肺水の排泄・呼吸がうまくいかない理由となります。
主な症状
肺水から空気への入れ替わりがうまくいかず、肺胞内に肺水が残り呼吸しづらくなります。そのため呼吸回数が増え、80~120回/分の多呼吸がみられます。呼吸の際、肋骨や鎖骨のあたりが凹む陥没呼吸、皮膚の色が青紫色になるチアノーゼがみられます。
検査/診断の方法
視診・聴診にてチアノーゼ、多呼吸(80~120回/分)、陥没呼吸が認められる場合、新生児一過性多呼吸を疑い、胸部エックス線検査を行い、肺の中に水分が溜まっているか、他の呼吸器疾患の合併の有無を調べます。また、他疾患との鑑別を行うため血液検査を行います。
主な治療方法
保育器内で酸素投与を行うと改善することが多いですが、症状が深刻な場合は経鼻的持続陽圧呼吸療法や人工呼吸管理が必要な場合があります。出生から24時間以内に改善することが多いですが、数日間続くことがあります。
治療後に注意すべき点/予防対策
多くは適切な処置を行えば改善され、その後の成長に影響することはありませんが、極めて早産の場合や慢性的な呼吸障害がある場合は、風邪などの呼吸器疾患にかかると重症化しやすいことがあります。