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最終更新日:2023年2月18日

しろうせいかくかしょう脂漏性角化症

こちらの記事の監修医師
成増駅前かわい皮膚科
河合 徹

概要

脂漏性角化症は、加齢とともに増える皮膚の良性腫瘍であり、皮膚の老化現象のひとつとされています。顔などにできる、茶色から黒色の少し盛り上がったできもので、表面は少しざらついています。形状はわずかに盛り上がるものから突出したしこりになるものまで様々です。早ければ30歳代から、主には40歳以降に出現します。80歳以上ではほぼ全員にあり、別名、老人性いぼとも呼ばれています。通常のいぼ(尋常性疣贅)のように、ウイルスが原因でおこるものではありませんので、人に移ることはありません。シミと混じって存在することが多く、最初シミだったものが盛り上がって脂漏性角化症となることもあります。脂漏性角化症は自然に消えることはなく、悪性化して癌になることもありません。しかし、脂漏性角化症が短期間に全身に多数出現し、痒みを伴う場合は、レーザートレラ兆候と呼ばれ、内臓に悪性腫瘍がある可能性がありため注意が必要です。

原因

脂漏性角化症の発生の原因は、紫外線の影響や皮膚の老化とされています。紫外線によって、皮膚の表皮基底細胞の遺伝子に異常が起こります。異常が起こった表皮基底細胞は増殖して皮膚表面から盛り上がるようになり、さらに表皮の色素細胞を刺激して大量のメラニンを作らせて、濃い色の「シミ」となっていきます。一般にいう「シミ」は、平坦な形状の「老人性色素斑」と、盛り上がっている「脂漏性角化症」とに分けられますが、脂漏性角化症の一部は、老人性色素斑が盛り上がって発生することもあります。しかし年齢が高くなると、日光にさらされない部位にも脂漏性角化症はできることがあり、加齢によって表皮の遺伝子に異常がおこってできたものと考えられています。

症状

脂漏性角化症は、顔面や頭部、前胸部、上背部など、日光にさらされる部位によくみられます。しかし、脇腹や脇の下、腹部、鼡径部や陰部、大腿部など、日に当たらない部分にも発生します。手のひらと足の裏には発生しません。色は褐色調から黒色で、大きさは直径数mmから2~3cmくらいで、形状は盛り上がっているのが特徴です。たまに痒みをともなうこともありますが、ほとんどは痒みも痛みもありません。また、大きくなるときに痒みが出ることがあります。脂漏性角化症が悪性化して癌になることはありません。

検査・診断

脂漏性角化症は、見た目の観察や、ダーモスコピーを用いた観察により診断されます。他の疾患や悪性腫瘍などの可能性がある場合には、組織を一部採取または全部切除して検査を行います。

治療

脂漏性角化症は、放置してもやがて癌になるようなものではないため、刺激感や痒みが気にならない場合や、整容上の問題がなければ、特に治療の必要はありません。治療を行う場合には、手術や凍結療法、レーザー治療、電気外科的治療などが行われます。液体窒素を用いて病変を凍らせる凍結療法は、他の治療法と違って麻酔を必要とせず、簡便なためによく行われます。凍結後は、1~2週で表面から自然に病変部がとれてきますが、一度ではとりきれず、数回の処置を要することが多いです。手術を行う場合には、日帰りの局所麻酔手術で切除します。

予防/治療後の注意

脂漏性角化症の原因は、紫外線による皮膚細胞の異常増殖と、メラノサイトの活性化によるメラニン産生亢進が主体と考えられています。そのため、顔や手足などの日光にさらされる部分に関しては、日焼け止めを塗って遮光することが予防のために有効です。野外でスポーツや作業をする時には、日焼け止めを使用するとよいでしょう。日光にさらされない部位の予防法で明確なものはありませんが、入浴時にタオルで皮膚をゴシゴシ擦ることをやめるなど、慢性的な刺激を加えないことで大きくなるのを防ぐことは期待できます。

こちらの記事の監修医師

成増駅前かわい皮膚科

河合 徹

【経歴】
・台湾生まれ、東京都板橋区出身
・台湾大学医学部卒業
・日本国医師免許および台湾医師免許のダブルライセンス
・東京大学医学部皮膚科助教(2017年〜2019年)
・2020年 成増駅前かわい皮膚科開業

【資格】
皮膚科専門医・がん治療認定医・産業医