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最終更新日:2022年10月2日

まんせいかつどうせいーびーういるすかんせんしょう慢性活動性EBウイルス感染症

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

慢性活動性EBウイルス感染症

概要

慢性活動性EBウイルス感染症は、EBウイルス(エプスタイン・バールウイルス)が感染したT細胞・NK細胞が増殖し、多くの臓器が侵される難治性疾患です。慢性活動性EBウイルス感染症が生じる機構が最近解明されてきました。原因となるEBウイルスは、ヒトからヒトへ感染するために必要な遺伝子を失っていて、異常に活性化されています。この遺伝子を失ったEBウイルスがヒトの細胞をがん化するのです。発症すると発熱・身体のだるさ・リンパ節の腫れ・肝臓や脾臓の腫れ・皮疹などの症状をみます。適切に治療しないと、再発を繰り返し、合併症をおこして、十数年以内に死に至る病気です。T細胞やNK細胞にEBウイルスが感染していること、侵された組織にEBウイルス量が増加していることを確認して診断します。抗がん剤治療と造血幹細胞移植で治療するのが効果的ですが、遺伝子変異に対する特別な治療薬を検証中です。

原因

EBウイルスはヒトの唾液から感染し、ヒトのもつリンパ球であるB細胞・T細胞・NK細胞のうち、B細胞に感染をおこします。EBウイルスが感染しても、通常は軽い上気道炎をおこす程度です。一部で発熱・肝障害などをしめす伝染性単核球症をおこすことがあります。軽症の病気であり、ほとんどのヒトはEBウイルスに感染しているのです。ところがごくまれに、EBウイルスがT細胞やNK細胞に感染して、EBウイルスが感染したT細胞・NK細胞が異常に増殖し、体内の免疫能に異常をきたすことがあります。これを慢性活動性EBウイルス感染症と呼び、伝染性単核球症とは全く違った悪性の病気です。慢性活動性EBウイルス感染症が生じる機構は最近解明されてきました。原因となるEBウイルスは、ヒトからヒトへ感染するために必要な遺伝子を失っていて、異常に活性化されています。このEBウイルスがヒトの細胞をがん化するのです。EBウイルスに感染された血液細胞の遺伝子には、がんのような突然変異がみられます。さらに病気が進行するにつれて、新たな遺伝子変異が追加されていきます。つまり、慢性活動性EBウイルス感染症は、がんの性質を備えているということです。地域別では日本をはじめとした東アジアに多くみられ、一年間に23.8人という報告がありますが、100人はいると推定されます。

症状

発熱・身体のだるさ・リンパ節の腫れ・肝臓や脾臓の腫れ・皮疹などの症状がみられます。適切に治療しないと、再発を繰り返し、合併症をおこして、十数年以内に死に至る病気です。合併症として、悪性リンパ腫や白血病、急変して多臓器不全で命を落とすこともある血球貪食症候群、蚊に刺されると発熱や全身のリンパ節が腫れる蚊アレルギー、日光を浴びると発熱や全身のリンパ節が腫れる重症型種痘様水疱症、間質性肺炎、消化管の潰瘍や出血、心臓や大動脈の壁を侵されるなどがあります。

検査・診断

症状から慢性活動性EBウイルス感染症を疑い、次のような検査結果を確認して診断します。抗EBウイルス抗体価の高度な上昇、血中EBウイルス量の著明な増加、T細胞やNK細胞にEBウイルスが感染していること、侵された組織にEBウイルス量が増加していること。また他の先天性・後天性免疫不全症候群を否定することも必要です。

治療

慢性活動性EBウイルス感染症の治療法として、抗ウイルス薬は効果がありません。また免疫抑制療法は効果が薄いとされています。現在のところ最も効果的があるのは、抗がん剤治療でEBウイルスが感染したT細胞・NK細胞の減少をはかり、造血幹細胞移植で健全な造血能を回復させる治療法です。

予防/治療後の注意

治療効果がでれば90%の人は元気に生活できるようになります。しかし、治療効果が薄い場合は救命率が20%未満です。現在のところ、遺伝子変異に対する特別な治療薬を検証中です。さらに、EBウイルスの異常な活性化をおさえる治療法の開発も望まれます。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)