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最終更新日:2022年10月3日

しゅさようひふえん(すてろいどひふえん)酒さ様皮膚炎(ステロイド皮膚炎)

こちらの記事の監修医師
成増駅前かわい皮膚科
河合 徹

酒さ様皮膚炎(ステロイド皮膚炎)

概要

酒さ様皮膚炎とは、ステロイド軟膏を長期的に使用することによって起こる副作用のひとつです。顔の赤みを伴う皮膚症状(びまん性紅斑)やニキビ様のぶつぶつ(丘疹、膿疱)といった酒さによく似た症状を呈します。ステロイドの使用を中止すると症状の一過性の増悪の後に治るとされていますが、症状が治まったり悪化したりを繰り返すこともある為、長期間に渡る治療が必要となる場合もあります。ステロイド軟膏を使用している方すべてに生じるわけではなく、一部の方に発症することから遺伝子の関連性も推定されています。

原因

湿疹やアトピー性皮膚炎などの治療に用いられるステロイド軟膏の長期使用において発症します。既に「皮膚の血管が収縮し炎症が治まる」などの治療効果が得られているにも関わらず、長期的にステロイド軟膏の使用を続けていると、副作用として徐々に皮膚が萎縮し皮膚の構造が乱される場合があります。その結果、酒さに似た皮膚症状が現れるようになります。副作用が出現するまでの時間は、ステロイドの強度によるとされています。

症状

薬剤を塗っている皮膚の毛細血管が拡張することにより、毛細血管を流れる血液の色が前面に出てきます。そのため、局所的に皮膚が赤く見えるようになったり、腫れ上がりを示すようになります。腫れの程度が強くなり、浮腫状になることやニキビのようにプツプツとした盛り上がりを示すこともあります。そういった見た目の変化に加えて、酒さ様皮膚炎では皮膚の火照った感じやヒリヒリ感など感覚的な自覚症状が現れることがあります。また、原因となっているステロイド軟膏を中止した数日後に症状が悪化することも酒さ様皮膚炎の特徴です。

検査・診断

処方されているステロイドの強さや使用頻度、使用部位など現在の薬剤状況をしっかりと確認することが重要です。また、使用を中止した際の皮膚症状の悪化状況を把握することも有益です。接触性皮膚炎などその他の皮膚疾患との鑑別が必要になることもあり、パッチテストなどの検査が追加で検討されることもあります。

治療

酒さ様皮膚炎の治療期間は、数か月に渡ることが多いです。ステロイド軟膏により発症する病気であるため、治療としてはステロイド軟膏の使用を中止することが必要です。しかし、ステロイド軟膏の中止により一過性に皮膚の症状が悪化することもあるため、経過についてはあらかじめ予測を立てておく必要があります。対策として急激な皮膚症状の悪化を避けるために、あえて強度を抑えたステロイド軟膏を使用し、段階的に完全中止まで持っていくこともあります。また、免疫調整剤の軟膏や抗菌薬の内服が処方されることもあります。酒さ様皮膚炎では毛細血管の拡張が長期間残存することもあり、これに対してはレーザー治療を行う場合があります。

予防/治療後の注意

ステロイド軟膏を使用するに至った原因疾患、もともとの皮膚の状態を改善する習慣が重要です。そして皮膚を清潔に保ち、症状を悪化させないようなスキンケアを行うことが大切です。酒さ様皮膚炎があるときは、「洗顔するときには力を入れないように低刺激の泡タイプ洗顔料でやさしく洗う」「清潔なタオルで押し当てるようにやさしく水分を拭き取る」など、顔への刺激を出来るだけ避けるようにします。また血管が広がると赤みが増長する為、長時間の入浴・飲酒・喫煙・刺激物の摂取(激辛料理など)は控えるようにします。紫外線も肌への刺激になるので、帽子や日傘などの紫外線対策も大切です。ステロイド薬の副作用が疑われる症状を感じた場合、すぐに医療機関を受診することで重症化を防ぐことができるといわれています。

こちらの記事の監修医師

成増駅前かわい皮膚科

河合 徹

【経歴】
・台湾生まれ、東京都板橋区出身
・台湾大学医学部卒業
・日本国医師免許および台湾医師免許のダブルライセンス
・東京大学医学部皮膚科助教(2017年〜2019年)
・2020年 成増駅前かわい皮膚科開業

【資格】
皮膚科専門医・がん治療認定医・産業医