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最終更新日:2022年10月2日

まらせちあもうほうえんマラセチア毛包炎

こちらの記事の監修医師
いなばクリニック
稲葉 岳也

マラセチア毛包炎

概要

マラセチア毛包炎とは、マラセチアと呼ばれる真菌(カビ)に感染することで発症する疾患です。(※体の皮膚の表面で増えると癜風(でんぷう)といいます。)マラセチアは、人間の毛穴に生息するカビになります。健康的な皮膚にも存在しており、特に毛穴の皮脂腺が発達して脂分の多い環境を好んで生息しています。そのマラセチア(カビ)が、毛穴の中で増殖すると炎症を引き起こし毛包炎となります。顔にできるニキビがばい菌(アクネ菌)によるのに対して、マラセチア毛包炎はカビによるニキビといったイメージになります。マラセチア毛包炎は、脂の分泌が多いとされる思春期に好発します。また、マラセチア(カビ)は高温の状態を好むため、気温が高くなる梅雨時期から夏頃にも好発します。また、スポーツをよくする人や高温の職場で働く人は夏の時期以外においても生じます。

原因

マラセチア毛包炎は、マラセチア(カビ)が、通常よりも増殖し、活発的になることで炎症を引き起こし、皮膚病を生じるようになります。

症状

マラセチア毛包炎は、軽症の場合、長径2〜3mmの赤いポツポツとした皮膚の変化が出現します。症状が強くなると白い膿もみられるようになります。多くは無症状ですが、痒みや痛みを伴うこともあります。背中や胸に皮膚の変化がみられることが多いですが、汗の量が多かったりすると、首まわりに症状が出現する場合もあります。また、ステロイドホルモン剤の使用によって、皮膚のマラセチア(カビ)を増やしてしまうことがあります。内服薬や湿疹などで外用剤としてステロイドホルモン剤を使っている方も同じように生じやすくなります。それとは別に、抗生物質の使用においても、皮膚の常在菌叢バランスを崩す要因になります。その為、マラセチア毛包炎を引き起こすリスクに繋がります。

検査・診断

マラセチア毛包炎は、KOH直接鏡検法といった、鏡検検査にてカビ胞子を確認することで確定診断します。臨床的には、ニキビ(細菌感染症)とよく似ており、治療方法も異なってくるので、鑑別が重要となります。

治療

マラセチア毛包炎は、軽症の場合には、主に抗真菌剤の外用(1〜2回/日)を塗ることで治療いたします。とにかく根気強くぬることで改善いたします。また、深くまでマラセチア(カビ)が侵入して膿疱を作るような重症化している場合には、抗真菌剤の内服にて治療を行います。現在は、抗真菌剤が入ったボディソープも売られるようになり、そういったものも有効な場合もあります。しかし、マラセチア(カビ)は、強力な治療を長期にわたり実施したとしても完全に消滅することは不可能です。根治は難しく、マラセチア(カビ)が増殖しやすい条件がそろってしまうとマラセチア毛包炎は、再発いたします。

予防/治療後の注意

マラセチア毛包炎は、マラセチアが異常増殖している環境に対しては、脂や汗をこまめに拭く、清潔を保つためにお風呂やシャワーを利用する、温度環境を適切に保つ、マラセチア増殖を抑える薬剤が含まれたシャンプーを利用する、といったように皮膚を清潔に保つように心がけましょう。1度、完治したあとの注意としては、脂や汗の分泌を少なくするように環境を整えて生活することが大切になります。また、「カビ」ということで、他人への感染を心配される方もいますが、マラセチアは全ての人の毛穴に存在している常在菌になります。なので、タオルの使いまわしなどを含めても生活をする上での制限はありません。また、ステロイドホルモン剤の使用により、発祥のリスクを高めている場合もありますので、医師に相談するようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

いなばクリニック

稲葉 岳也

【専門】
耳鼻咽喉科、皮膚科、アレルギー疾患のレーザー治療等

【経歴】
慈恵医大卒
慈恵医大付属病院聖路加国際病院で勤務

【資格】
医学博士
日本耳鼻咽喉科学界専門医
日本レーザー医学会認定医
日本アレルギー学会専門医