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最終更新日:2022年9月6日

いんとうえん咽頭炎

こちらの記事の監修医師
医療法人社団仁明会安部医院
安部 浩一

概要

人間ののどは、空気や食物の通り道としての役割を担っています。食べ物は咽頭→食道→胃へと流れ、空気は咽頭→喉頭→気管→肺へと流れます。空気の通り道のうち、鼻から気管手前までを上気道と言い、鼻や副鼻腔、口腔、鼻と喉の境界である上咽頭、口蓋扁桃など中咽頭、食道との境界である下咽頭、声帯などの喉頭などが含まれます。上気道においてウイルスや細菌などの病原体が感染して炎症を起こすことがあり、このうち咽頭に炎症を起こしたものが「咽頭炎」と呼ばれます。風邪でのどが痛い時に最も多い原因の一つです。咽頭は、鼻や口を通して直接外と接するため、感染を起こしやすい部位です。気温の変化や、寝不足や疲れなどで抵抗力がおちていると感染しやすく、のどの違和感や痛み、嚥下時の痛み、倦怠感や発熱などの症状がみられます。安静にして刺激物を避けて、うがいをしたり、必要に応じて抗菌薬などを内服して治療します。

原因

急性咽頭炎は、細菌やウイルスによって引き起こされます。ウイルス感染ではパラインフルエンザウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルスなど、細菌感染では、連鎖球菌やインフルエンザ菌などが原因となります。慢性咽頭炎は、急性咽頭炎が治りきらなかったり、たばこの煙や飲酒などにより慢性的に咽頭が刺激されることによって起こります。咽頭特殊感染症は、クラミジアや梅毒トレポネーマ、結核菌、ジフテリア菌といった特殊な病原体が原因で起こります。これらの感染症は近年増加の傾向にあり、問題になっています。

症状

咽頭炎はのどに起こる炎症であり、のどの違和感や痛み、嚥下(ものを飲みこむこと)するときの痛み、咳や痰などが主な症状です。また、発熱や、頸部のリンパ節の腫れを伴うこともあります。他にも、筋肉痛や関節痛、倦怠感といった全身症状が現れることがあります。溶連菌に感染した場合は、全身に発疹が現れることがあり、猩紅熱と呼ばれます。

検査・診断

咽頭炎の診断のため、身体所見の問診や、視診によりのどの赤みや白苔付着の有無を確認します。細菌感染が疑われる場合は、咽頭の細菌培養検査で原因菌を特定します。インフルエンザウイルスやアデノウイルス、溶連菌は、キットを用いて数分で判断できます。咽頭特殊感染症は、普通の咽頭炎との鑑別が難しいことも少なくありません。症状がなかなか改善しない場合には、特殊感染症に対する検査が必要となることもあります。病原体保有者と接触した可能性がある場合には、その旨を医師に伝えておくことも大切です。

治療

咽頭炎の治療では、薬物療法やネブライザー治療が行われます。ウイルス性咽頭炎は自然に治癒することも多いため対症療法が主体です。のどの痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤や漢方薬などを用います。細菌性の場合は、適切な抗菌薬を処方します。食事が摂取できないなど重症の場合は、点滴による抗菌薬投与を行うこともあります。咽頭特殊感染症では、それぞれの原因微生物に対する治療をします。そして日常生活において、充分な睡眠と栄養補給を行い、室内が乾燥しないよう注意します。よくうがいをして咽頭を清潔に保ち、喫煙、飲酒などはひかえ、のどに刺激を与えないようにします。

予防/治療後の注意

のどの痛みが軽度であれば、うがいなどをして様子をみてもよいですが、唾液が飲み込めないほどの痛みであったり、発熱を伴う場合には早めに受診するようにしましょう。またイソジンうがいは、回数が多すぎると、咽頭の常在菌も殺菌されてしまい逆効果となってしまうため、1日2〜3回程度にしましょう。また日常生活においては、充分な睡眠と栄養補給を行い、室内が乾燥しないよう気をつけましょう。喫煙者の場合には禁煙も有効です。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団仁明会安部医院

安部 浩一

【経歴】
昭和61年東邦大学医学部卒
昭和62年東邦大学大森病院耳鼻咽喉科
平成1年国立医療センター(現:国立国際医療研究センター)耳鼻咽喉科
平成6年安部医院開業、現在に至る

【所属学会・認定医など】
日本耳鼻咽喉科学会 認定専門医
補聴器適合判定認定医
日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会 代議員
北多摩耳鼻咽喉科学会 常任理事

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