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最終更新日:2022年3月9日

こつばんぞうきだつ骨盤臓器脱

こちらの記事の監修医師
丸茂レディースクリニック
丸茂 元三

概要

骨盤臓器脱とは女性特有の病気であり、膀胱、子宮頸部、直腸、膣壁などの骨盤内臓器が「腟」から脱出してくる疾患の総称を言います。これまでは、子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤など言われていましたが、1種類の臓器だけが下垂してくる例は少ないため、総称して「骨盤臓器脱」と呼ばれるようになりました。日本ではあまり知られていない疾患ですが、実際の患者数は多く、特に40代〜60代以上に多く発症します。また、アメリカなどの調査によれば、経腟分娩を経験した女性の約30%にこの症状がみられるという報告もあります。

原因

骨盤臓器脱は、慢性的に強い腹圧がかかっている状態にあることで、子宮、膀胱、直腸などの臓器を支えている骨盤の底にあるじん帯や筋肉、筋膜が緩むことにより生じます。これらのじん帯や筋肉が傷つくと、一旦は回復しますが、加齢などによる筋力の低下が進むと、じん帯や筋肉が骨盤内の臓器を支えきれなくなり臓器が下垂してくることで、骨盤臓器脱が生じます。 強い腹圧がかかる状況については以下のようなことがあります。 ・出産 ・加齢 ・過度の肥満 ・多産 ・重い荷物を持つなどの労働 ・立ち仕事 ・慢性の便秘 ・咳、くしゃみなどの呼吸器疾患 また、子宮がんや子宮筋腫など婦人科系の手術も骨盤臓器脱の原因になることがあります。

症状

骨盤臓器脱は、軽度の場合、強い腹圧がかかったときに一時的に脱出する程度ですが、重度になると常に臓器が飛び出たままになります。そのような状態になると、歩く時に違和感を感じたり、下着でこすれて出血する場合もあります。 骨盤臓器脱の症状として、次のようなものがあります。 ・陰部にピンポン玉状のものが触れる ・股間に違和感がある ・尿漏れ、尿が出にくくなる ・立っているとトイレが近くなり、間に合わないこともある ・下腹部の違和感や、引っ張られる感じがする 長時間歩いたり、運動したあとに悪化しやすくなったり、夕方になると症状が特に気になることが多いと言われています。また、重力により、症状が徐々に悪化します。

検査・診断

骨盤内臓脱の検査は、通常の婦人科内診と、経腟超音波検査などを行い、子宮・卵巣・膀胱などを観察します。尿もれなどの症状が見られる場合は、膀胱の収縮機能を調べ、時間あたりの排尿量や蓄尿機能検査を行います。また必要に応じて膀胱造影やMRI検査も施行します。診断は飛び出しが顕著な場合は容易ですが、複数回の診察の後、初めて診断できる場合もあります。飛び出しの程度は、ステージ1〜4の4段階で評価します。また比較的高齢の方に多い疾患なので、心臓病・高血圧症・糖尿病などの合併症についての評価も必要になってきます。

治療

骨盤内臓脱の治療は、主に手術が中心になります。飛び出しの程度が軽い場合や、手術を希望しない場合は、対処療法として膣内にペッサリーというリングを挿入し、飛び出しを防ぎます。ペッサリーは、外来で比較的簡単に設置でき、手術が困難な症例にも対応できるため、合えば手術とほぼ同様の効果が期待できます。ただし、2〜3ヶ月に1度程度のペッサリー交換が必要になります。また、長期に渡る使用になる場合、膣壁びらんや潰瘍が生じることもあります。ペッサリーが合わない場合や、長期になる場合は、メッシュを膣粘膜の下におき固定する手術を行います。再発率は6%程度と低く、子宮も温存できるというメリットはありますが、メッシュを入れることにより、異物反応が起こる弊害もあります。

予防/治療後の注意

日常生活の中で強く踏ん張らないことで、骨盤底を保護することができます。重いものを持ったり、トイレに長時間座らないなど、腹部に力を入れる時は注意が必要です。また、血流の悪さも関わってくるため、ずっと座っているなど同じ姿勢をとり続けることも危険です。予防のために肛門や、膣、尿道を閉める体操を行うことは高い効果があると言われています。 骨盤底筋体操の方法は以下のとおりです。 ①仰向けに寝て、脚を肩幅に開き、膝を立てる。 ②深呼吸をしてリラックスする ③肛門や膣に力を入れ、絞めた状態でゆっくり10数える ④再度リラックスする これを繰り返します。この時、お尻を持ち上げながら行うと更に効果的です。

こちらの記事の監修医師

丸茂レディースクリニック

丸茂 元三

〇アクセス:東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー4F
〇診療科 :産科,婦人科

《経歴》
1991年3月 旭川医科大学医学部 卒業
1991年6月 東京大学医学部附属病院産婦人科
2003年5月 板橋中央総合病院産婦人科
2004年4月 板橋中央総合病院産婦人科 医長
2013年9月 丸茂レディースクリニック 開設



《資格》
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本超音波医学会 超音波専門医
FMF認定超音波医
母体保護法指定医

《所属学会》
日本産科婦人科学会
日本超音波医学会

治療に適した診療科目

産婦人科 泌尿器科

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