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ファブリー病【イシャチョク】

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最終更新日:2022年10月2日

ふぁぶりーびょうファブリー病

こちらの記事の監修医師
小児科医・新生児科医
今西 洋介

ファブリー病

概要

ファブリー病は1898年に2人の皮膚科医、Johannes FabryとWilliam Andersonによって報告されました。遺伝子変異によって起こる遺伝性の病気であり、男女ともファブリー病の遺伝子を持つと、子どもに遺伝する可能性があります。ファブリー病の典型的な症状は、幼少期の四肢の痛み、汗のかきにくさ(低汗症、無汗症)、体温上昇、被角血管腫、難聴などです。さらに成長とともに多臓器の症状が出てきます。ファブリー病の治療には、根本的な治療法と対症療法の2種類があります。治療することにより、病気の進行を遅らせ、生活の質を改善できる病気です。

原因

ファブリー病は、GL-3(グロボトリアオシルセラミド)という糖脂質を分解する酵素α-ガラクトシダーゼの機能が消失あるいは低下することにより、体内に不要なGL-3が蓄積して起こる代謝異常症です。遺伝子変異によって起こる遺伝性の病気であり、男女ともファブリー病の遺伝子を持つと、子どもに遺伝する可能性があります。家系内で代々と受け継がれていくケースも多くみられます。男児はファブリー病の遺伝子を持つとファブリー病を発病し、多くは重症となるのが特徴です。女児はファブリー病の遺伝子を持っていても、無症状から重症まで症状の幅が広くなります。また、ファブリー病は10,000人に一人ぐらいの頻度で起こる病気と言われています。

症状

ファブリー病は古典型、亜型、ヘテロ接合体の3つに分類されます。古典型は典型的な症状がほぼ全て出現する型であり、α-ガラクトシダーゼの酵素活性はほぼ消失しています。古典型は男性の幼少期からみられます。亜型は症状が限定的で心臓や腎臓の病気だけ見られる型で、α-ガラクトシダーゼの酵素活性が残っています。亜型は男性の成人期からみられます。ヘテロ接合体患者では無症状から重症まで症状はさまざまであり、いろいろな年齢の女性にみられます。ファブリー病の典型的な症状は、幼少期の四肢の痛み、汗のかきにくさ(低汗症、無汗症)、体温上昇、被角血管腫、難聴などです。そして成長に伴い、下記のような多臓器の症状が出てきます。角膜混濁などの目の病気・タンパク尿、腎不全などの腎臓病・心肥大、不整脈、弁膜症などの心臓病・脳血管障害・腹痛、下痢、便秘などの胃腸障害など多彩な症状が特徴的です。また、突然死することもあります。

検査・診断

ファブリー病は、症状、家族歴、酵素診断、病理検査、遺伝子検査から総合的に診断します。最初に多彩な症状で気づくことが多く、幼少期における四肢の痛み、汗のかきにくさに注目が必要です。症状からファブリー病を疑った場合、家族内で同じ病気の人がいないか確認します。また血液検査で、α-ガラクトシダーゼA活性の消失あるいは低下を認めます。さらに障害が疑われる臓器の一部を採取して顕微鏡で調べて、ファブリー病に特徴的な所見が見られれば診断が可能です。女性の場合はα-ガラクトシダーゼA活性検査では分かりにくい場合があり、遺伝子診断することもあります。ファブリー病は早期の診断が難しく、成人期まで分からないことが多い病気です。

治療

ファブリー病の治療には、根本的な治療法と対症療法の2種類があります。根本的な治療法は酵素補充療法と薬理学的シャペロン療法です。酵素補充療法ではα-ガラクトシダーゼを製剤化した薬を定期的に点滴します。薬理学的シャペロン療法は、体の中に残っているα-ガラクトシダーゼの活性を維持する効果がある内服薬による治療です。対症療法としては下記のような治療が行われます。四肢の痛みに対する抗てんかん薬投与・タンパク尿に対するACE阻害薬、ARB投与、塩分やタンパク質制限、透析、腎移植・心臓病に対する強心薬や抗不整脈薬・脳血管障害に対する抗血小板薬などです。

予防/治療後の注意

ファブリー病の四肢の痛みは、疲労やストレスで引き起こされるため、こういった誘因を避けることが大切です。また、腎機能の低下を防ぐため、塩分やタンパク質制限も必要です。さらに成人期においては、心臓病や呼吸器疾患の予防のため禁煙も必要でしょう。ファブリー病は治療することにより、病気の進行を遅らせ、生活の質を改善できます。以前は平均寿命48.53歳でしたが、治療法の進歩で予後が改善すると期待されています。ただし、治療により症状が軽くなっても、定期的に検査して、合併症を早期発見することが重要です。また、国の特定疾患に指定されており、医療費助成制度を利用できます。

こちらの記事の監修医師

小児科医・新生児科医

今西 洋介

【経歴】
2006年富山大学医学部卒業

石川県立中央病院 新生児科勤務
りんくう総合医療センター 新生児科勤務
大阪府医療センター 新生児科勤務

講談社モーニング連載漫画「コウノドリ」のドラマの医療監修を務める。
2022年4月ヘルスプロモーション会社を起業。

現在は一般社団法人チャイルドリテラシー協会の代表理事も務める。

【資格】
日本小児科学会専門医
日本周産期新生児学会新生児専門医