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健康情報の一元管理が可能な「PHR」をご紹介 健康維持・増進を実現できる革新的な技術の現状とは?

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2021年12月9日

注目のPHR企業9選

PHRの本来の意味は、個人の健康情報の記録です。しかし、スマホ・通信サービスが普及し、様々な健康支援アプリが開発される中、PHRは単なる記録に止まらず、「自分の健康に関するデータを自分で管理し、健康維持に活用する」というサービスへと発展を続けています。今回、そんなサービスを行っている企業の中から、イシャチョクが選んだ「注目のPHR企業9選」を紹介させていただきます。

①株式会社CureApp ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー

ニコチン依存症には、「集中力が低下する」・「禁断症状が出る」などの身体的依存と、「口寂しい」・「ストレスが解消できない」などの心理的依存の2つがあります。

身体的依存の治療には、ニコチンガム、ニコチンパッチ、ニコチンを含まない飲み薬の3種類の禁煙補助薬の処方があり、患者は医師の診療を受けた後、自宅でも治療を継続することができます。

一方、心理的依存の治療は、医師からのアドバイスが中心となっていますが、長年、染みついた喫煙習慣は容易に克服することができず、挫折してしまうことが課題となっていました。

この課題を解決するために開発されたのが「ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」です。「ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」は、禁煙外来を受診した際に、医師から薬と一緒に処方されます。毎日、患者が呼気の一酸化炭素濃度を測定し、測定結果をアプリに記録すると、その記録がアプリを通して医師に共有されるため、医療機関で受診しなくても、治療の経過を医師に確認してもらうことができます。また、たばこを吸いたくなったときに、医師に相談できなくても、アプリに相談すれば、禁煙治療の膨大なデータからアプリが自動で判断し、適切なアドバイスを返してくれます。このアドバイスによって、患者の心理的な部分にアプローチすることで、病院の外にいても、考え方や行動を正しく変容させ、正しい生活習慣に導き、治療することができます。

「「ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」を使用することによって、1年間、治療を継続できる患者が27.3⇒53.3%に増加した」という効果も確認されており、ニコチンの心理的依存に対する治療用として、日本で初めて医療機器として承認されました。

その他にも、卒煙プログラム、生活習慣改善プログラム、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ、高血圧治療アプリの開発も行われており、CureAppの目指している『「すべての人が安心して医療を享受できる世界」をソフトウェアで実現する』という目標に向かって、更なるサービスが展開されようとしています。

②DeSCヘルスケア株式会社 健康情報メディアkencom

kencomは、デジタルヘルスの企画・運用に関するノウハウを持つ住友商事、国内最大規模(5000万人)のユーザーを保有するインターネットサービス大手のDeNAが共同で運営するヘルスケアエンターテイメントアプリです。

医療費情報・薬剤情報・検診結果などの健康情報を一元管理できるだけでなく、ライフログ(歩数・体重・体温・血圧・血糖値)の記録、生活習慣病などの将来の健康リスクの予測が可能です。記録した情報を元に、健康状態に合わせて、最適なおすすめコンテンツを毎日配信するサービスも行っており、健康維持・増進に活用することもできます。

「楽しみながら健康に」を目指しており、次回検診前に受診勧奨などの情報発信・キャラクター育成機能・ポイント機能など、継続利用につながるよう、「受けたら終わり」ではなく、受診後も健康サポートを実施する仕組みを取り入れています。

③メディカルデータカード株式会社 医療情報収納アプリMeDaCa

検査データ、レントゲン写真、健康診断書、薬歴など、身の回りにあるたくさんの医療情報について、自分のスマホやパソコンに収納できるアプリを提供しています。

このアプリで重視しているのが「知る」・「伝える」・「備える」の3点です。アプリに保存した医療データを通して、自分の健康状態を深く「知る」ことにより、病気への関心・健康意識を高めるとともに、余分な診察や検査・投薬を防止し、医療費の節約につなげることができます。また、アプリに保存した医療データを「伝える」ことにより、出張先・旅先で始めてかかった医療機関でも、かかりつけ医のように診察を受けることができます。知らない土地で急な病気・ケガをしたときも、安心して医療を受けるために「備える」ことにもつながります。

アプリを通して、医療機関からの通知・リアルタイムな検査データの送付などの情報交換もできるため、「複数の医療機関・臨床検査会社などが連携する場合でも、効率的に医療を行える」というメリットもあります。

④ユニファ株式会社 スマート保育園

世界一との評価を受けた「スマート保育園構想」の実現に向けた事業を展開しています。

園児の登降園の管理、連絡帳・おたよりなどの情報管理、保育士のシフト管理、保育料・その他費用の請求管理など、保育園内の業務・保護者とのやりとりをアプリで一元管理することができ、実現すれば、保育士の業務時間を65%削減することができると試算されています。業務に追われがちな保育士に対して、じっくり子供と向き合うことができる時間を作ることにより、よりよい保育ができるようになることが期待されています。このアプリでは、健康管理の機能として、以下の2つのサービスも実用化されています。

 ・ルクミー午睡チェック
センサーによって昼寝中の子供の向きを検知し、アプリで自動記録・出力できるため、保育士が午睡チェックを行い、記録する業務が不要
(保育業界初となるチャイルドヘルスケアIoTサービス)

 ・ルクミー体温計
誰でも園児の体温変化を素早く検知できるサービス
非接触体温計で体温を測定し、アプリに送信・グラフ化
平熱から1℃以上の差が出たらアラーム表示

⑤株式会社リモハブ オンライン心臓リハビリシステム

 心疾患は世界の死亡原因第1位であり、日本でも心不全患者は120万人以上いると言われています。心不全では、再入院が問題となっており、5人に2人が入退院を繰り返します。心不全患者に対して、1回30~40分・週3~5回の有酸素運動が推奨されており、実施すれば再入院率を40%低減し、1回の入院医療費を120万円削減できます。

しかし、高齢者が多い心不全では、通院・家族負担が大きいため、退院後に外来通院での心臓リハビリができる人は1割もいません。通院の負担をなくし、心臓リハビリの実施率を高めることで、患者の健康増進・医療費削減に貢献するために開発されたのがオンライン心臓リハビリシステムです。

オンライン心臓リハビリシステムでは、エクササイズバイクとウェアラブル心電計をアプリで管理し、血圧・脈拍・心電波形をクラウドで医療機関と共有することができます。リハビリを行っている患者の状況については、医療機関にいる医療従事者がモニタリングして、遠隔でカウンセリング・運動管理ができます。自宅にいながら、医療機関で行う心臓リハビリと同様の効果が期待できるため、自宅をリハビリ室として利用できるようになります。

⑥株式会社PREVENT 重症化リスクの算出・ライフログを活用した健康づくりプランの提案サービス

重症化予測モデルによって、レセプトデータ・特定健診結果から5年以内の重症化イベント発生率を算出することができます。重傷化予測モデルの対象となる疾患は、脳血管疾患、虚血性心疾患の新規発症、高血圧、脂質異常症、糖尿病の新規治療開始となっています。

レセプトデータ・健診結果をもとに、重症化リスクを算出し、重症化リスクの高い疾患について、重傷化リスクの低減効果・医療費の適正化効果を数値化することによって、効果的・効率的な健康増進・医療費削減を実施するための計画を立てることができます。

「アプリによって、脈拍や歩数、塩分摂取量などのライフログを管理し、医療専門者が分析を行うことで、一人ひとりに最適化された健康づくりプランを提案する」、「各種の研究結果とデータに基づき作成された学習教材を読んで、正しい知識を身に付けることで、効率的に生活習慣を改善する」など、重傷化リスクを低減するためのサービスも行っています。

⑦サスメド株式会社 不眠症の治療アプリ

不眠症の治療には、薬物療法(睡眠薬の服用)・認知行動療法があります。この内、薬物療法は、依存症や筋弛緩作用などの副作用があるため、多量の服用・継続的な服用は健康上の問題があります。一方、認知行動療法では、医師のカウンセリング・患者の生活習慣の改善による治療を行うため、薬物療法のような副作用はありません。しかし、認知行動療法に関する専門知識を持った医師の数が少なく、専門外の医師が診療を行っている場合が多いことから、薬物療法に頼りがちなのが現状です。

サスメドでは、「医師の補助がなくても、認知行動療法ができるアプリ」を提供することにより、医療従事者への負担を軽減しつつ、薬物療法に頼らずに、認知行動療法による不眠症の治療を行うことを目指しています。

アプリは医療機器として処方・運用することを想定しています。現在、東北大学臨床研究推進センターと連携し、数百人を対象に治験を行っており、2021年内の承認を目指して、開発が進められています。治験にて、アプリによる不眠症の治療に対する有効性・安全性が確認され、医療機器として国の審査に合格すれば、医師の指導の下、病院で処方することが可能となります。

⑧株式会社Save Medical 2型糖尿病管理指導用アプリ

糖尿病の治療で鍵となるのが血糖値のコントロールです。治療方法としては、食事療法・運動療法・薬物療法があります。何れの治療方法を選択しても、日々の血糖値の変化をタイムリーに、詳しく確認できなければ、血糖値を適正値で維持することはで困難です。また、血糖値をコントロールするために医師が行なった指導についても、患者が日々の生活の中で継続して実践しなければ、効果も期待できません。

2型糖尿病管理指導用アプリでは、生活習慣(食事・運動・体重)や指標(服薬・血圧・血糖値)などを患者自身がアプリに入力すると、その情報に応じて、血糖値を適正値で維持するためのメッセージが自動送信されます。このメッセージによって、患者の行動変容を促すことで、糖尿病の症状を改善することが期待されています。一般的なアプリとは異なり、医師の指導下で、医師と患者が共同して治療を行っていきます。現在、医療機器として、2022年度中に国の医療機器としての承認を取得することを目指して、開発が進められています。

⑨株式会社Mediplat スギサポアプリ

スギサポアプリは、スギ薬局とMediplatが共同で運営するセルフケアサービスです。ミールデリバリーサービス「スギサポdeli」、食事記録アプリ「スギサポeats」、歩数記録アプリ「スギサポwalk」の3つを使って、「食べる」・「歩く」といった生活習慣を改善し、健康増進につなげることができます。

スギサポdeliでは、「医師から食事制限を指示された方」、「料理する時間ないけど栄養バランスのよい食事をしたい方」のために、管理栄養士が監修した食事(塩分カロリー調整食・たんぱく調整食・やわらか食)を冷凍便でご自宅までお届けするミールデリバリーサービスです。ご自宅で、おいしくて身体によい食事を手軽に採っていただくことができます。

スギサポeatsでは、アプリで食事の写真を撮るだけで、AIが食事内容やカロリー、栄養素を自動で判定してくれます。食事の管理だけでなく、体重などの身体情報も記録でき、レコーディングダイエットとしての効果が期待できます。

スギサポwalkでは、アプリ上で日本と世界中の観光地でのバーチャルウォーキングラリーを体験することができます。アプリ内に、毎日の歩数・消費カロリー・距離を自動で記録する機能も付いているため、手軽に楽しく運動しながら、健康管理ができます。

まとめ

PHRによって、医療機関での診療記録の管理だけでなく、これまで取得できていなかった日常の食事・健康情報なども記録・管理・活用できるようになってきています。医療現場で運用する電子機器・個人で保有しているモバイル機器、クラウドサービスの普及などを背景に、今後、更にPHR関連のサービスが成長していくと考えられます。

現状は、開発段階のサービスも多いですが、これまで難しかった「リアルタイムでの健康状態のモニタリング」、「きめ細やかな食事・生活習慣へのサポート」、「1人1人にとって最適な医療の提供」がスマホ1つで手軽に利用できる未来がもうそこまで来ています。

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