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地球規模の視点で顕微鏡を覗くドクターが、インドネシアの新設医学部を支援するワケは?

最終更新日:2022年4月8日

屋代 隆の独自インタビュー取材記事

【経歴】
栃木県立大田原高等学校卒業
東京慈恵会医科大学卒業・医学博士
自治医科大学医学部・名誉教授/客員教授
インドネシア国ハムカ大学・特任教授
国立モンゴル医科学大学・名誉教授

「ザ・ドクター」は、フリーアナウンサーの松本志のぶさんが、医療の最前線で活躍するドクターをご紹介する番組です。

今回は、「自治医科大学名誉教授 屋代隆ドクター」にスペシャルインタビューを行いました。

 

松本アナ

松本志のぶアナウンー(以下:松本アナ)

こんにちは。ドクターインタビューの時間です。今回のゲストは、自治医科大学名誉教授、屋代隆ドクターです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

屋代隆ドクター(以下:屋代ドクター)

よろしくお願いいたします。

松本アナ

松本アナ

東京慈恵会医科大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学、自治医科大学などで解剖学を専門に研究に従事されました。現在は、自治医科大学名誉教授、那須看護学校、那須看護専門学校校長、国立モンゴル医科大学名誉教授、インドネシア国ハムカ大学特任教授を務めていらっしゃいます。
10年前からインドネシアの新設医学部の支援をされているそうですね。それは何故なんでしょうか?

インドネシア支援の理由

屋代ドクター

例えば私たちの世代は若い時はアメリカの文化、カルチャー、音楽というのに憧れていて、当然医学生ないし若い先生方も当時の世界で一番トップレベルを走っていたアメリカの医学に憧れて、留学しようという時代だったんですよね。

今の東南アジア、発展途上国の若者たちは、秋葉原だとか渋谷、原宿、そういう言葉で代表されるサブカルチャー、カルチャー、ファッションに憧れてますよね。全員では無いと思いますけれども、でも現地の医学生も同じなんですよね。日本の医学医療レベルというのは世界でトップレベルです。彼らは文化的な日本のバックボーンに憧れると同時に、日本での医学医療、研究。こういうのにものすごく憧れて。そういう一面を今持っています。向こうに行きまして向こうの学生さんと直接Face to Faceで講義をしたりしますと、キラキラ輝いているんですよ。

松本アナ

松本アナ

目が。

屋代ドクター

そうなんです。雰囲気が。授業中寝る学生なんていないんですよね。発展途上国ですから、これからの自国の医療を自分たちが担うんだ、背負っていくんだというそういう気概、パッションみたいなものを持っている。ですから向こうにいると本当に楽しいです。私が自治医科大学にいた頃の自分の研究室にも、多い時で5人ぐらい留学生がいましたからね。大学院生が。

松本アナ

松本アナ

日本に来ている。

屋代ドクター

はい。僕たちの研究室に。小さい研究室だったんです。で、母国に帰って、インドネシアの子たちが何人か帰って、現地で新しい医学部のスタッフになると。立ち上げに先生協力してくれないか?ということだったものですから、喜んでやりましょう、ということでこんな仕事が始まったと思って頂ければと思います。

松本アナ

松本アナ

すごく夢の詰まったお仕事ですね。

ドクターを目指したきっかけ

屋代ドクター

実は中学生の頃から、何となくぼやーっと国際社会の中で色んな仕事をできないかなという夢を持っていました。高校2年の時ですか、周りの勧めもあったんですけれど、ちょっと僕へそ曲がりでして。

松本アナ

松本アナ

え?そうなんですか?

屋代ドクター

そうなんです。大体皆、文系理系で工学部行ったり理工学部行ったり、法学部行ったり、そういうところ狙いますよね。へそがちょっと曲がっているものですから、一番少ないのはどこかなって。医学部受験だったんです。じゃあちょっと医者にでもなってやろうかなっていう気持ちがありました。

海外に目を向けている理由

屋代ドクター

医学生になってから、実はやりたいことが何となくぼんやり浮かんできまして、今で言いますとWHO西太平洋事務局長を務められた尾身茂先生。今はもちろんコロナで大活躍ですけれどね。あとは、グローバルファンドという国際機関があるんですけれど、そこで本当に活躍されている國井修先生。彼らのような、国際保健医療行政みたいな仕事をやってみたいなと。
そのきっかけというのが一つありまして、私が大学2年生の時ですか。世界医学生連盟という団体が今でもあるんですが、IFMSAというんですけれども、それが人口問題に関する国際会議というのを開いたんです。アフリカのナイジェリア、ラゴスという街でですね。一応形式的には日本代表ということで参加したんです。50年近く前の話です。そこには世界中から数百名の医学生が集まって、同じ大学のドミトリーに1週間近く寝泊まりして、朝昼晩、夜はお酒も飲みますけれども、ディスカッションを続ける訳ですよ。これが僕の人生で最大なるイベントというか、刺激です。

松本アナ

松本アナ

聞いているだけですごいイベントです・・!

屋代ドクター

はい。楽しかったですけどね。大学を卒業する頃になって、そういう道にいこうかなと思ったんですけれど、大変残念ながら家庭の都合、事情と言うのがありまして、その道を諦めて。二つ目の選択というんでしょうかね。第二選択ということで、基礎研究という道に入ったということなんです。

解剖学とは

松本アナ

松本アナ

解剖と聞くと授業でやったような蛙の解剖ですとか、そういったことをパッと思い浮かべてしまうんですが、これはちょっともちろん違うんですよね。

屋代ドクター

はい。解剖学というのも大きく分けて、仰るような肉眼解剖学というのと、顕微解剖学、要するに顕微鏡を見て細胞だとか組織を見るっていう解剖、2つに分かれます。私はたまたまなんですけれど、その後者の道を長く歩んできました。例えばですけれど、肝臓の細胞を見ます。どんな形かな。どんな大きさかな。そしてその細胞が集まって肝臓という組織ができていますよね。全体の組織構造を見ながら、肝臓の機能って何だろうと。これが組織学という解剖学です。

松本アナ

松本アナ

細胞レベルを見ていかなければ、その集合体である臓器も分かってこない訳ですね。

屋代ドクター

仰る通り!良く言って頂きました。その通りなんです。

研究の醍醐味

屋代ドクター

例えばの話になりますけれども、僕は電子顕微鏡を使って細胞を見るというのがそもそもの研究手法であり、そういう分野の研究者だったんです。電子顕微鏡を薄暗い研究室でその中に入って毎日のように細胞を見る訳ですよ。そうすると、毎回とは言いませんけれど、そこに小さいけれど新しい発見があるんですよ。それは医学生物学的な価値。どれだけ価値のあるものか、何の意味も無いかもしれないけれど、少なくとも世界の誰よりも自分が最初にそこに一歩足を踏み込んでいる。自分が見つけた。このワクワク感ですね。これが僕は醍醐味じゃないかなと。

ドクターの趣味

屋代ドクター

ここのところずっとやってきているのは、やっぱりスキー、スノーボード。特にスノーボードですかね。

松本アナ

松本アナ

スノボですか。

屋代ドクター

はい。50過ぎてから始めました。

松本アナ

松本アナ

スキーは元々やっていらして。

屋代ドクター

スキーは若い時からやっていまして。

松本アナ

松本アナ

で、スノボを最近。

屋代ドクター

はい。スノーボードもワクワク感です。

松本アナ

松本アナ

でもそうなると、趣味の時間でアウトドアを楽しんでいらっしゃる時に、怪我や何かもつきものの世界ですから。

屋代ドクター

はい。日本スキー連盟、SAJという組織があります。そこでドクターパトロール。そういう資格も頂いてですね、近くのスキー場に行くといつもパトロール室って必ずあります。そこへ朝行くんですね。「今日来ましたから、1日いますので何かあったら携帯鳴らしてください。」なんて挨拶してスノボに出かけるんです。

松本アナ

松本アナ

実際に鳴ったことはあるんですか?

屋代ドクター

はい。朝行って連絡して、5分10分経ちましたかね。携帯が鳴ったんです。「パトロール室です。」と。「携帯繋がりますよ。大丈夫です。」と言ったら、「先生、心肺停止、お願いします。」と。もうびっくりしちゃいましたけれど、そんなことも実はありました。

若いドクターに伝えたいこと

屋代ドクター

一番最初に僕が彼らに言うのは、例えば医学部で勉強することは何かと。1つはサイエンスとしての医学。当たり前ですけれど。もう1つが医療人としての、医師としての人格形成だと、いつも言います。説明する時に僕の大恩師なんですが、僕の出身した慈恵医大の元の学長先生。阿部正和先生という先生がいらっしゃいます。もう既にお亡くなりになってしまっているんですけれども、彼は「医の道、医の心」このことを3つの心といって表現されています。1つは、色んな患者さんがいらっしゃいますけれど、その患者さんの痛み、苦しみ、悩み。これに共感できる心。

2つ目はその患者さんに慰めの手、いたわりの手を差し伸ばすことができる心。3つ目がその患者さんに尽くすことができる心。この3つの心が、医の道、医の心である。僕は感動しちゃうんです。非常に分かりやすいんですよ。これを若い先生方、若い医学生、若い看護学生には必ず伝えて、そういう勉強を学生時代してください。そしてプロフェッショナルの道を歩んでくださいと、いつもうるさいぐらいに言っています。そういう学生教育をこれからも続けていきたいなと思っています。

松本アナ

松本アナ

先生のお話を伺っていると安心感を得られます。

屋代ドクター

ありがとうございます。

松本アナ

松本アナ

これから先の医療の世界、私たち本当に頼れる世界だなっていう風に、今ものすごく心が温かくなりました。今回は地球規模の視点で顕微鏡を覗く屋代隆ドクターにお話を伺いました。ドクター、どうもありがとうございました。

屋代ドクター

どうもありがとうございました。


インタビュアー

松本志のぶ

静岡県浜松市出身。上智大学外国語学部卒業後、日本テレビに入社。「24時間テレビ」総合司会、「行列のできる法律相談所」レギュラーMCなどを務め、報道・情報・ニュース・バラエティ各種番組で活躍。2009年よりフリーアナウンサーとして、TBS「教科書にのせたい!」レギュラーMCなども務め、また、テレビだけでなく、報知新聞「報知映画賞」選考委員や、クラシックコンサートの司会、子どものための読み聞かせコンサートでの朗読など、活動の場を広げている。

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