bool(false)
迫りくる人手不足の危機。田中医院が挑む業務効率化と次世代へのバトン 後編【イシャチョク】

予約なしのオンライン診療

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

迫りくる人手不足の危機。田中医院が挑む業務効率化と次世代へのバトン 後編

最終更新日:2026年7月3日

鈴木歩の独自インタビュー取材記事

鈴木歩(すずき あゆむ)田中医院院長
青森県五戸町出身。2001年自治医科大学卒業後、青森県立中央病院などで研修。むつ総合病院や大間病院(副院長)、八戸赤十字病院(内科部長)など、県内の基幹病院で幅広い臨床経験を積む。勤務医時代に、病院を転々として苦労する患者を数多く診た経験から、「患者さんを投げっぱなしにしない」という信念を確立。2017年8月、「地域で人の役に立ちたい」と、地元・五戸町の田中医院を継承した。

「うちでは分からない」と突き放さず、必ず次の道筋を示す――。そんな誠実な姿勢で五戸町の医療を支える田中医院の鈴木院長。前編では日々の診療スタンスを伺いました。後編では「これからの地域医療のあり方」に迫ります。
スタッフの高齢化や人手不足といった地域のリアルな危機に対し、テクノロジーを活用した業務効率化など、田中医院が模索する次なる一手とは? 地域の未来へ医療のバトンを繋ぐための、先生の率直な思いをお届けします。

無意味な診療はしない。誠実なホームドクターとしての哲学

医療の課題が山積する中で、患者さん自身ができる「賢い病院のかかり方」どのようなものでしょうか

その先生が心から言っている言葉であれば、信じていいと思います。ただ、明らかに理由もなく毎月来させられて、検査だけされて説明が適当だとか、質問に答えてくれないような先生は、何年通おうとずっとそのままですから。ちゃんと診断と薬が合っていて、医学的な必要性を話してくれる先生を見つけるのがポイントです。

病院にかかる際、患者さんはどのような意識を持つべきだと思われますか

病院側の都合で毎月通院させるようなことは、私はしません。その代わり、他の病院で既に検査をしているなら、そのデータをもらい、同じ検査を重複してしないようにする。「患者さんにとって一番いいことをしてあげたい」というのが私の根本にある思いです。

お互いに情報を共有して、納得感のある治療を進めていくことが大切ですね。患者さんの方からも、分からないこと、納得できないことがあれば、遠慮無く言っていただきたいです。

テクノロジーは“目の前の患者さん”のために。模索する業務効率化

現場の負担を減らすために、導入を検討している技術などはありますか?

音声とAIを活用した問診と、カルテ入力までをサポートするソフトを試してみたことが最近のトピックです。あくまでもお試しで、実際に現場で使うところまでは至っていませんが。音声を拾って文字起こしをし、AIが要約してそのまま電子カルテに貼り付けてくれるという便利なシステムです。

それは画期的ですね。スタッフの中にITに強い方がいらっしゃるのですか?

それが誰もいなくて。私が主体になって、いろいろと試しているところです。 残業の多くを占めているのが、患者さんのデータチェックと紹介状の作成です。月にかなりの数の紹介状を書くので、例えばAIに軽く土台を作ってもらい、事務スタッフに整えてもらって、最後に自分が整えるというようなことができれば、ぐっと効率が良くなって、看護師も採血や処置に時間を割けるようになるのではないかと期待しています。

日々人の役に立てる喜び。地域に医療のバトンを繋ぐ

10年、20年後の医院の存続についてはどうお考えですか?

当院のスタッフは40代、50代が多く、10年後には私自身も含めて高齢になっていきます。若いスタッフも入れていかないといけないのですが、地域全体の高齢化や人手不足の問題もあります。私の他に医師を増やしたくても、経営的には赤字になってしまいますし、現段階で明確なビジョンを持っているわけではないのが正直なところです。 でも、地域で長年親しまれている病院ですから、私がそうであったように、誰かに引き継ぐつもりではいます。

先生ご自身は、どのようにしてこの医院を継承されたのですか?

もともと私は大病院の勤務医で、環境を変えることに躊躇がありました。当院に関わっていた薬局のオーナーが「まだやったことないこと、見たことないことをやろう。地域医療を一緒にやろう」と情熱的に誘ってくれたんです。元々、「人の役に立つことがしたい」というのが医師を目指した理由だったので、「私でお役に立てるなら」と引き受けることにしました。いつか私が誰かにバトンを渡す時も、私の時のように直接思いを繋いでいけたら一番いいなと思っています。

忙しい日々の原動力は何ですか?

患者さんのお役に立てることですね。 大きい病院にいるとなかなか感じにくいですが、田舎だと患者さんとの距離が近くて、直接感謝される機会がたくさんあります。手遅れになる前に病気を見つけてあげられた時は「役に立っているな、医師になって良かったな」と思える。それが生き甲斐というか、モチベーションになっていますね。

健康は何よりの宝。長く元気に暮らすための「2つの約束」

健康寿命を延ばすために、地域の皆さんに実践してほしいことはありますか?

やはり運動しかないんじゃないですかね。日々運動しているかいないかで、健康状態には大きな差が出ると思います。40歳、50歳くらいから始めてほしいですね。歩くことでもマラソンでも、筋トレでも何でもいいです。 実は私も2年半前から筋トレをやっています。体力勝負ですからね。

最後に、患者さんや読者に向けてメッセージをお願いします。

健康寿命を延ばすために大切なのは、運動と予防医療です。脳梗塞や心筋梗塞で倒れてしまうと、その後の人生というのは全く変わってしまいます。ですから、調子が悪ければすぐに病院に来て、必要な検査を受けてください。 何よりも、がんは手遅れになる前に積極的に検診に行ってほしいです。健康は何よりの宝ですから、自分の体を一番大事にしてください。地域で末永く皆さんの健康を守れるよう、私も頑張っていきます。