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和田耕治 教授の独自インタビュー取材記事

最終更新日:2021年10月23日

和田耕治 教授の独自インタビュー取材記事

○所属 :国際医療福祉大学
○経歴 :
2000年 産業医科大学医学部卒業
2006年 McGill大学 産業保険修士課程修了
2007年 北里大学大学院労働衛生学
2009年 北里大学医学部講師
2012年 北里大学医学部公衆衛生学准教授
2013年 独立行政法人国立国際医療研究センター国際医療協力局医師
2014年 ミャンマー国JICA主要感染症対策(HIV)長期専門家
2018年 国際医療福祉大学医学部公衆衛生学・医学研究科教授 就任
2020年 厚生労働省新型コロナウイルス専門家会議委員 アドバイザリーボードメンバーに指名

「ザ・ドクター」は、フリーアナウンサーの松本志のぶさんが、医療の最前線で活躍するドクターをご紹介する番組です。

今回は、「国際医療福祉大学 和田耕治ドクター」にスペシャルインタビューを行いました。

 

松本志のぶアナウンサー(以下:松本アナ)

こんにちはドクターインタビューのお時間です。
今回のゲストは国際医療福祉大学教授の和田耕治ドクターです。
ドクター本日はよろしくお願いいたします。

和田耕治ドクター(以下:和田ドクター)

よろしくお願いいたします。

3密

松本アナ

コロナ禍に入りまして毎日のように「3密」という言葉を身近に感じながら生活をしているんですけれども、この3密という言葉を使い始めたのが和田ドクターだったとお聞きしました。

和田ドクター

そうですね。正確には3密の概念に繋がるところを皆で考えて世に出して、それをある方が3密という言葉で読み始めて広く伝わりました。
3密の概念の元になったのは2020年の4月、5月くらいのデータを見ながらどういったところで感染が広がっているのかということを調査し、密閉したところで人が集まって話をしている場所だということがわかりました。そういったところを徹底的に減らしていくことによって「感染を抑えましょう」と呼びかけたのがきっかけです。今では世界でも広く使われていると聞いております。

松本アナ

それはその専門家会議でのことなんですか?

和田ドクター

はい。クラスター対策班というものが厚生労働省の中で出来まして、我々のような民間の研究者や国立感染症研究所の色々な方が感染症のチームに集められました。
データを見ながら戦略を考える中で様々な対策を打つことは大事なんですけれども、感染の広がりやすい場面をしっかりと抑えていくことの方が大事だ思いました。その観点で改めてデータを見ていくと、3密の概念が重なるところが一番感染者が多かったのでこれを避けることによって出来るだけ感染を抑えようということになりました。

ダイヤモンドプリンセス号

松本アナ

専門家会議に入られる前になるんでしょうか。ダイヤモンドプリンセス号で臨時検疫官として和田ドクター乗り込まれたと。

和田ドクター

そうです。

松本アナ

どういったきっかけで入られたのでしょうか?

和田ドクター

私は元々世界で起こる感染症対策、例えば黄熱病の対策ということでコンゴ民主共和国に国際緊急援助隊として派遣をいただいたりしたんですが、その多くの仲間たちがダイヤモンドプリンセス号に私よりも早く入られて様々な対策をしていました。「私も何かできないかな」と思っていたところ厚生労働省から大学の方にご依頼をいただき、手を上げて「いきます」と。最初は2、3日くらいの滞在かと思いましたが、最終的には11日間現場に行かせていただいて、現場での課題を一つ一つ一緒になって考えていく機会をいただきました。

松本アナ

現場はどんな感じだったのでしょうか?

和田ドクター

検疫という国の法律に基づいた対応策になりますので国の方々が中心となって入っておられました。私たちは検体を患者さんから取ったり、後は個別に説明をさせていただいりしていました。途中からは国の検疫と船側との間を繋ぐ役割を行い、船側と一緒に作業をして向こうの感染対策をしっかりすること、そして乗客にどうやって降りていただくかということを一緒になって考えながら厚労省とをつなぐリエゾンのような役割をさせていただきました。

松本アナ

対応も幅広く色々な事をされなくてはいけないんじゃないのかなと思いますけど、いかがでしたか?

和田ドクター

1年以上経ちますけれども、現場にいるときにはどうしても批判的なことが色々と流れていて。そんな中でも船側の職員の方々は非常にプロフェッショナルで、必要な事はすぐやってくださりました。ダイヤモンドプリンセス号に乗れる機会があれば乗りたいと思っています。

厚生労働省新型コロナウイルス専門家委員

松本アナ

新型コロナウイルス専門家会議には今現在も出席されていらっしゃるんですか?

和田ドクター

今もこういった状況ですので、厚生労働省の中のアドバイザリーボードが毎週のようになされ、様々な感染の場の自治体ごとの違いであったり、病床の確保であったり、そういったものを全国の先生方と連携しながら必要な対策を国として果たしていくお手伝いをさせていただいています。

松本アナ

アドバイザリーボードのメンバーといたしましては、一般市民の皆さんの様々な角度からの言葉というのは、どのように受け止めていますか?

和田ドクター

やはり我々としてはどうしても命を守る、感染症をできるだけ増やさない、ということに力点があります。なので例えば経済的に困っていらっしゃる方、事業者の方々にちょっと配慮が行き届かないというところはあるかもしれません。また食事であったり人が集まるようなところは3密を形成するためできない場面が増えています。
ただワクチンというものがこんなに早く出てきたということに我々は本当にびっくりしているのですが、今度はワクチン接種がある程度進んだ上で、「何が出来るようになるか?」を示す時期であると考えています。

私たちとしては基本的には論文に基づいて、「自分を守りたい」と思っていらっしゃる方を何が守れるのか、をきちんとお示ししていくことが大事だと思っています。特に妊婦さんや高齢者、そういう方と同居されている方。その方々を国としては守っていかなければいけません。ある国によっては「自己責任だ」というような論調のところもあるようです。日本もいずれワクチンを誰もが打てる状況になってくれば、そういった話もあるのかもしれません。ただワクチンを打ちたくないという方も一定数おられて、そういった方々はワクチンしないから感染して重症になっていいかというと、そうでないと思っています。そういった方にもきちんとこのワクチン接種の重要性を伝えていくことが、我々医療者ならびに公衆衛生の専門家の役割だと考えています。

松本アナ

あと安全性ですよね。「もともと病気があるから副作用が怖いな」とか、ただ打ちたくないっていうだけでなくて、理由を持って「打ちたいけれど打てないかもしれない」という不安を抱えている人もまだまだ沢山いっらしゃいますよね。

和田ドクター

そうですね。やはりどうしても集団接種がメインになるので、ゆっくり話す機会が中々ないものですから、ある程度落ち着いてくれば個別にお話をして、場合によっては一泊入院も兼ねてできるような体制でワクチンしていただくことも必要になってくるのかなとは思います。

専門家会議委員と政府

松本アナ

専門家会議とこの政府とのやり取りはスムーズに行われているのでしょうか?

和田ドクター

そうですね、そこは中々難しいところがあると思います。やはり政府としては最終的な判断は当然様々な意見を聞いた上でされると思いますが、一時期専門家の危機感がある意味ではちょっと偏り過ぎてるというような印象があったかもしれません。しかしデルタ株の出現によってゲームのルールが急に変わってきている、といった情報がちゃんと政府に入っているのか、ということが最近の課題ではあったと思います。

例えば「オリンピックの前でのワクチンの効果」、「デルタ株の清浄と一回去った上でわかってきたこと」、「ワクチンが重症化には良いけれど感染予防の効果の減少」とか、こういう新しい危険が出てくる中で、それに向けた認識や知識の変化をどう市民並びに政治家の方に理解していただくのかが、今とても重要な局面だと思ってます。

新型コロナウイルス これからの対応と展望

松本アナ

これは答えがないんでしょうけど、あとどのくらい頑張っていけばいいんでしょうか?

和田ドクター

まずはこの冬をどう乗り越えるか。ワクチンを2回接種されて半年くらい経つと、免疫の力を落ちてくることわかっておりますので、冬のどこかで最初に医療従事者、介護労働者に3回目の接種が必要になってくるという状況にあります。
その中で高齢者の方の免疫も落ちてくるかもしれないとなると、この冬の間にまた多くの方が感染されることが出てくるかもしれない。しかしこの冬をある程度超えられれば、もう少し先が見えてくるかなと思います。その前に今は出来ないことを出来るようにしていきたいと思っています。

例えば高齢者の方がお孫さんに会うとか。病院の中での面会って対策できるんですが、今はストップしています。こういったものを出来るようにしていきたい。あとは飲み会など、いきなり二十人で集まることは難しいので、お二人とか四人とか、ある程度小規模で出来るようにはしていきたいと思っています。

松本アナ

皆さんに無事にワクチンを行き渡った後の世界はどうなっていくんでしょう。

和田ドクター

これからどういう社会にしていきたいのかということを考える良い機会だと思っています。こんな百年に一度のようなことですので、教科書に載るような、歴史の年表に乗るような出来事が今起きている、それを今見ているわけです。良い事もあるし、やっぱり悪い事もある。その中でどういう社会にしていくのか。
感染症は一番近しい方を感染させるし、遠くの方も感染させるので、ある意味社会の分断が起きてしまいます。コロナを乗り越えた後にやっぱり私たちがちゃんと協力をする、助け合うということを大事にするような社会になってほしいと思っています。


インタビュアー

松本志のぶ

静岡県浜松市出身。上智大学外国語学部卒業後、日本テレビに入社。「24時間テレビ」総合司会、「行列のできる法律相談所」レギュラーMCなどを務め、報道・情報・ニュース・バラエティ各種番組で活躍。2009年よりフリーアナウンサーとして、TBS「教科書にのせたい!」レギュラーMCなども務め、また、テレビだけでなく、報知新聞「報知映画賞」選考委員や、クラシックコンサートの司会、子どものための読み聞かせコンサートでの朗読など、活動の場を広げている。

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    和田耕治先生(国際医療福祉大学)は、国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の教授です。産業医科大学医学部卒業後、臨床研修医、専属産業医を経て、カナダ国McGill大学産業保健学修士・ポストドクトラルフェロー、北里大学大学院博士課程を修了しています。北里大学では、衛生学や医学部講師、公衆衛生学准教授として勤務。その後も独立行政法人国立国際医療研究センター国際医療協力局医師や、ミャンマー国JICA主要感染症対策長期専門家などさまざまな経験を経て、現在政府の感染症対策専門家会議のメンバーに任命されています。「企業のための新型コロナウイルス対策マニュアル」など著書も出版しています。今後私たちが感染症にどう向き合っていけば良いか専門的に指南してくれています。

     
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