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場面緘黙症【イシャチョク】

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最終更新日:2022年10月14日

ばめんかんもくしょう場面緘黙症

こちらの記事の監修医師
小田 祐子

場面緘黙症

概要

場面緘黙症とは、家族相手だと流暢に話せるにも関わらず、幼稚園や保育園、学校や職場など特定の場面では、一言も話すことができないという状態を指します。ほとんどが子供に発症しますが、おとなしい子供が多く、幼稚園や保育園、学校において目立ったトラブルが起きるようなことはありません。しかし「話したいのに話せない」という症状が、なかなか周囲から理解されずにいじめを受けるケースや、「大人しい性格によるもの」として見過ごされてしまうことも多いです。うまく支援を受けられずに成長してしまうと、症状の改善が遅れてしまうことがあり、大人になっても改善せずに生活に支障をきたす、生きづらさからうつ病を合併させてしまうケースも存在します。場面緘黙は2〜8歳頃に発症する傾向にあり、大人になって発症することは稀です。男性より女性のほうが発症するケースが高く、人口における有病率は0.03〜0.1%と報告されています。場面緘黙症という疾患は認知度が低いため、自分の症状が場面緘黙症だと気づいていないことも多いと考えられます。しかし最近では各種メディアで取り上げられることが増え、徐々にその存在が知られるようになってきました。

原因

場面緘黙の原因は明らかにはなっていませんが、様々な要因が絡み合って発症すると考えられています。脳の中で危険に反応する部位である扁桃体の過活動や、発達障害および感覚過敏や物事の考え方、受け取り方の偏り、また言語の理解の問題、環境変化や人間関係などによるストレスなどが要因として考えられています。周囲から性格や家庭環境、親のしつけ等が原因だと誤解されてしまうことも多いですが、近年ではそれらの説は否定されています。

症状

場面緘黙症は、特定の場面において言葉を発することが困難となる病気ですが、症状には個人差があります。例えば家庭であっても近くに家族以外の人がいると話せなくなってしまう場合や、場所が家庭以外でも家族や馴染みの人であれば話せるといったこともあります。自分が話す場面を人に聞かれたり見られたりすることに対して強い恐怖を抱いているため、日常生活に支障をきたします。子供の場合は、不安や緊張を感じやすい、学校などで動こうと思ってもぎこちなくなってしまう、動けない、また授業中に指名されても答えることができない、手を挙げることができないといった状況になりえます。大人の場合は、不安や緊張を感じやすいほか、動作に時間がかかる、質疑応答ができないなど、同僚とのコミュニケーションや業務遂行において弊害が生じます。子供と大人の共通点として「不安になりやすい」、「緊張しやすい」の2つが挙げられます。そのような状況により、腹痛や頭痛などの身体症状が現れることも多く、さらに二次的な問題としてうつ病を発症させてしまうこともあるため、早期発見や早期支援がとても重要になります。

検査・診断

場面緘黙の診断基準は、基本的にはアメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5、もしくは世界保健機関(WHO)の診断基準であるICD-10によります。また発達障害やうつ病などを併発していないかの診断もなされます。

治療

場面緘黙症の治療は、発達障害やうつ病などの併発の有無を考慮したうえで治療を行っていきます。代表的な治療は認知行動療法、不安やうつ状態への対症療法としての薬物療法、遊戯療法(子供を対象として遊びを通して行う心理療法)のほか、言語聴覚士による支援などです。

予防/治療後の注意

子供に場面緘黙症の症状が見られたら放置せず、園や学校の先生、スクールカウンセラー、専門の医師などに早期に相談しましょう。幼少期の症例では、早い段階でサポートをすれば多くの場合症状は改善していきます。しかし大人の場面緘黙症では、治るまでに時間がかかることが多いため、病気とうまく付き合っていくためには周囲の理解と協力も大切です。

こちらの記事の監修医師

小田 祐子

<経歴>
2002年琉球大学医学部医学科卒業
2002年九州大学病院精神科入局・医学博士
2017年米国留学

<所属学会>
日本精神神経学会
日本うつ病学会
日本生物学的精神医学会
日本精神神経薬理学会

<認定・専門資格>
日本精神神経学会認定指導医
精神保健指定医
日本精神神経学会認定専門医

治療に適した診療科目

児童精神科

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